対照実験は、実施されるほとんどの実験で行われている。そんな当たり前に行われている対照実験とはどのような実験なのか、対照実験の必要性や対照実験と再現性との関係についても具体例を見ながら理解していこう。
卒業論文の研究で実際に対照実験を行った農学部卒ライターの園(その)と一緒に解説していきます。
ライター/園(その)
数学は苦手だけれど、生物と化学が得意な国立大学農学部卒業の元リケジョ。動物の中でも特に犬が好きで、趣味は愛犬をモフることらしい。分かりやすく面白い情報を発信していく。
ある条件の効果を調べるために、他の条件は全く同じにして、その条件のみを除いて行う実験。除いたときと除かないときの結果を比較する。医療や統計学では対照試験ともいう。コントロール実験。
出典:“対照実験”.コトバンク .(参照2022/2/23).
対照実験の具体例
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具体例を見ながら、対照実験について一緒に理解していきましょう。
あなたは3頭の犬(A、B、C)と楽しく暮らしているのですが、1つだけ悩みがあります。それは、部屋の中で自由にさせた(フリーにした)まま3頭だけで留守番をさせると、毎回いたずらをされること。後始末も大変ですし愛犬にとってもよくないので、犯人捜しの実験をする決断をしました。実験方法は、それぞれをクレートに入れて物理的にいたずらができないようにし、いたずらの有無を確認するというものです。この実験をするうえで、出かける時間・帰ってくる時間・出かける前に食べさせるフードの量・部屋の状況(明かりは消しておく・おもちゃを片付けておくなど)を同じになるように注意しました。
では、実験の結果を簡潔に示した表を見てみましょう。
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まず3頭ともクレートに入れたとき、いたずらをされないことを確認しました。この実験1の結果を対照(コントロール)とします。そして、対照と比較すると、1番上の段(何も実験していないとき)を除いて実験4だけが「いたずらあり」となっていますね。ほかの条件(出かける時間など)は統一していて、AとBはクレートに入っているので犯人はCだということが判明しました。
このように、対照実験では「対照と比較したときに、ほかの実験の結果と違うときの条件が、その実験の結果に作用している要因」ということが分かるのです。
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