
クロマトグラフィーの原理は2相との相互作用がポイント
クロマトグラフィーでは2つの相を使用しますが、1つの相は固定し、もう1つの相は一定方向に移動させることからそれぞれ「固定相」「移動相」と呼んでいます。
混合物のうち固定相との相互作用が弱い成分はすぐに固定相から溶出し、固定相との相互作用が強い成分は固定相に長い時間保持されるので、混合物の各成分が試料導入点からの距離の違いとなって分離されるのです。このとき、試料導入点からの距離=固定相からの溶出時間ですので、複数の成分が混ざっていても別々の場所に溶出します。
単成分ごとに使用した固定相からの溶出時間が分かっていれば、結果を見ることで混合物に含まれていた成分が何か分かるというわけです。
クロマトグラフィーの種類と使い分け

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クロマトグラフィーの分類方法はいくつか種類がありますが、ここでは西川計測株式会社のHPを参考にしています。
この中でも特に有名なものは、ガスクロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーです。
クロマトグラフィー理解に必須! 薄層クロマトグラフィー
ここでは、筆者小春が実際に大学の学生実験で使用した薄層クロマトグラフィーを例に、結果の分析法についてご紹介します。クロマトグラフィーには他にもたくさん種類があってそれぞれ分析内容は異なるので、後ほど詳しくご紹介しますね。
薄層クロマトグラフィーとは?

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薄層クロマトグラフィー(以下TLC)は、混合物中の成分の固定相と移動相(液体)との親和性の違いに基づいて分離します。
TLCの固定相は、ガラス製の不活性なプレート表面にシリカゲルからなる吸着剤の薄い膜がコーティングされたものが多いです。移動相は有機溶媒であることが多いですが、解析・分離しようとしている物質に合わせて選びます。
TLCを用いる大きなメリットとしては、プレート表面に複数サンプルをのせて同じ展開溶媒で同時に分析可能なことと、高価な装置が不要なことでしょう。
薄層クロマトグラフィーの用途
薄層クロマトグラフィーの代表的な用途としては以下が挙げられます。
残留薬物、食品・環境サンプル中の抗生物質の分析
食品・化粧品中の色素、成分、防腐剤および甘味料の同定・定量
製剤処方の品質管理・純度試験
HPLC前の迅速ハイスループットスクリーニング
化学反応の確認検査
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