
二酸化炭素は空気より重いと言われるが、実際どの程度なのかは今ひとつイメージしにくい。また、気体に重さがあること自体ピンとこないやつもいるでしょう。そこで、今回は二酸化炭素を含む気体の重さの考え方を振り返りながら、具体的な計算方法について流体力学を学んでいる理系出身ライター「ふっくらブラウス」と一緒に考えていこう。

ライター/ふっくらブラウス
理系単科大学で機械系を専攻した理系ライター。流体力学や熱力学、化学の講義を通じて、空気含む流体の性質、熱運動を学習した。塾講師時代の経験を活かして「シンプルで分かりやすく」をモットーに様々な事柄を解説している。
そもそも気体の重さってどういうこと?

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気体に重さ(重量)があることを私たちはなかなかイメージできません。なぜなら、気体には明確な形がなく、触れている実感すらつかめない存在だからです。そこで、まず気体の中でも一番身近な空気を例にしながら、私たちが気体の重みを感じにくい理由について考えてみましょう。
重さを実感できない空気、実はとてつもなく重い

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皆さんの生活の中で当たり前すぎて実感することはない空気。実は、日常生活において私たちは空気からとてつもない重みを受けているのですが、実感している人はほとんどいないでしょう。
物体に重さがあるということは、別の表現をすると地球の引力(重力)に物体が引かれているということです。空気も地球の重力がかかっているため、宇宙空間に飛び散らず大気の層を作ることができているんですね。このことは、空気にも重さという指標が存在する証明なんです。
空気は宇宙空間から地表にかけて濃くなっていき、地表付近ではパンパンに詰まった状態となります。物体がある面を押す力を圧力と言いますが、地表付近の空気の圧力(大気圧)は1013hPaという値です。これを分かりやすく書き直すと、1m四方に空気から約10トンもの重みがかかっていることになります。人間の手のひらはだいたい100cm²程度なので、100kg相当の力がかかる計算になるんです。
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私たちが気体の重さを感じないのは、同じ力で押し返されているから
このような強烈な力がかかっている中では、私たちの身体など簡単に潰れてしまいそうに思えますが、現実にはそうなっていません。これは、大気圧がありとあらゆる方向から発生しているためです。大気圧は空気に触れているあらゆる面にはたらくため、上からだけでなく横や下からもかかります。また、消化管や呼吸器官など、体の中にも大量の空気が存在するため、内側にも大気圧がはたらくんです。
このように、あらゆる方向からほぼ同一の圧力がかかるため、私たちは空気の重みを感じることはまずありません。これは空気だけでなく、酸素や二酸化炭素といった気体全般に言えることです。私たちは気体からの力をあらゆる方向から感じるため、気体の重さをイメージすることが苦手なんですね。
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