クジラの呼吸はどこでしている?
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クジラは哺乳類であることはお分かりいただけたかと思います。哺乳類は肺を持つ生物。つまり、クジラは海で生活しているのに、肺呼吸をしている生物なのです。
しかし、ほかの水中に生息している魚類はえら呼吸をしていますね。ここで、肺呼吸とえら呼吸はどのような違いがあるのかを整理してみましょう。さらにクジラが海の中でどのように肺呼吸しているか解説していきたいと思います。
肺呼吸とえら呼吸の違い
まずは肺呼吸のしくみから説明していきましょう。肺は肺胞という袋状の構造物を多数もつ器官。口から取り入れられた空気は、気管を通って肺の肺胞に入っていきます。その肺胞には毛細血管が張り巡らされおり、空気と毛細血管の間で、いわゆるガス交換が行われることに。空気中の酸素が血液に取り込まれ、血液中の二酸化炭素が肺胞に排出されます。このガス交換により、細胞呼吸に必要な酸素を取り入れているわけです。
それではえら呼吸はどうでしょうか。魚類はえらという器官をもっています。実はえらは肺と同様で、毛細血管が張り巡らされた器官。えら呼吸では口から海水を取り入れたあと、えらを透過させることで海水中に存在している酸素を血液中に取り込み、血液中の二酸化炭素を海水中に放出するのです。その後水はえら蓋から排出されます。
クジラのしおふきは呼吸!
クジラはえらを持たず、肺呼吸をしている生物。海水中から酸素を取り入れることができません。水中で暮らしているクジラはどのように空気を取り入れているのでしょうか。
実はクジラは口からではなく、鼻から空気を取り入れています。その鼻というのが頭の上の方にある鼻孔(噴気孔)というところ。水面に浮上して頭を少し出して、呼吸をしています。この体内の空気を吐き出したのが、きりのように噴き上げて見える「しおふき」なんです。そう、あくまでも吹き上げられているのは海水ではなく空気。クジラの肺で温められていた空気は外に噴出されるときに冷やされるため、白く見えているということなのです。また、鼻孔のまわりに溜まっていた海水が勢いで噴出することもあるそうですよ。
そして、このクジラの鼻の位置。呼吸がしやすいように、進化の過程で徐々に頭の上の方に移動していったようです。環境の変化に応じて進化をしてきたからこそ、今のように多くの種類があらわれるほど繁栄していったのかもしれません。
クジラの種類としおふき
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このクジラのしおふきは、クジラの種類によって違います。それは鼻孔がクジラによって違うから。例えばハクジラは鼻孔が1つ、ヒゲクジラは鼻孔が2つあります。そのため吹き出すしおも、ハクジラは1本、ヒゲクジラは2本なのです。
さらに鼻孔の向きや形によっても、しおの形は違います。中でもコククジラが噴き出す潮は、なんとハート型に見えるのだとか。最も大きいクジラであるシロナガスクジラは、しおふきの高さが10~15mほどにもなるようです。しおふきを見ただけで、クジラの種類が分かるとも言われています。
クジラの呼吸の頻度もその種類によって違うとのこと。10分程度で呼吸をするクジラもいますし、マッコウクジラは1時間以上も呼吸をせずに潜水していられるようですよ。
イルカもしおふきをするの?
では、ハクジラの仲間であるイルカも「しおふき」をするのでしょうか。もちろんイルカも肺呼吸。クジラと同様で、鼻孔が頭の上にあり、鼻孔で呼吸をしています。しかし、イルカは小型のため肺の大きさもクジラ程ではありません。さらに潜水時間も5~15分程度とのこと。
したがって、クジラのように大量の空気を噴出するわけではないため、クジラのような豪快な「しおふき」は見られないようです。
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