みんなは、植物などが行う「窒素同化」はどういった反応なのかを説明できるか?名称がよく似ている「窒素固定」とよく勘違いしてしまうことがありますが、この2つは全く違う反応なのです。もし窒素同化が存在していなければ、植物は生きていくことは厳しい。それほど窒素同化は植物にとって重要な働きなのです。そんな窒素同化のメカニズムを窒素固定と合わせて、生物に詳しいライターききと一緒に解説していきます。

ライター/きき

大学生の頃は農学部に所属し植物のことを勉強した。現在は大学院に進学し植物のことを研究中。生物や植物の面白さを伝えられるライターを目指している。

窒素同化って何?

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窒素同化とは、「植物が体外から取り入れた無機窒素化合物からアミノ酸を合成し、核酸やタンパク質などの有機窒素化合物を作る働き」のことを言います。アミノ酸は生物体を構成するタンパク質や塩基、核酸などの生体物を構成する材料になり、私たち人間はもちろん、植物にとっても生きるために欠かせない存在なのです。そんなアミノ酸は、窒素同化という働きで無機窒素化合物を原料として作られます。

アミノ酸の仕組みとは?

アミノ酸の仕組みとは?

image by Study-Z編集部

窒素同化でアミノ酸が合成されるのですが、そのアミノ酸は何で構成されているのでしょうか。実は、アミノ酸は「有機酸」と「アミノ基」からできており、どちらも外界からある物質を取り入れ、植物体内で合成されるのです。

ここでは、窒素同化について解説する前に有機酸とアミノ基はどういった物質で、どのように合成されるのかを学びましょう。

有機酸

有機酸は上記の図の赤い四角で囲まれた部分に当たります。カルボキシ基(-COOH)を含み、植物体内で生成されるのです。

植物は、二酸化炭素や水を元に光合成によってグルコースなどの炭水化物を作ります。この炭水化物を呼吸のクエン酸回路という反応で使われることで有機酸が合成されるのです。

アミノ基

アミノ基とは、図の青い四角で囲まれたNH2の部分に当たる官能基です。構造はアンモニア(NH3)に似ていますよね。アンモニアは植物体内ではアンモニウムイオン(NH4+)の状態でいることが多く、アミノ基はこのNH4+から作られるのです。

\次のページで「窒素同化のメカニズム」を解説!/

窒素同化のメカニズム

窒素同化のメカニズム

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植物の窒素の代謝は「1 窒素固定 or 有機窒素化合物の分解 2 硝化 3 グルタミン酸回路 4 アミノ酸合成」という流れになっています。

アミノ酸を構成する「有機酸」は、光合成で得たグルコースを元に呼吸のクエン酸回路で合成され、アミノ基は植物体内のNH4+から作り出されるのでしたね。

それでは、このNH4+はどこから得られて、アミノ基がどのような過程で有機酸と結合するのでしょうか。結論として、NH4+1と2の過程を経て植物体内に取り込まれ、3から4の過程で、NH4+からアミノ基を作り出して、それが有機酸と結合するのです。この3と4が、無機窒素化合物からアミノ酸を合成する反応である「窒素同化」に当てはまるということになりますね。それでは、1から4までの各段階について詳しく勉強していきましょう。

1 窒素固定or有機窒素化合物の分解

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「窒素固定」とは、空気中の窒素(N2)が「窒素固定生物」によってNH4+に変える働きのことを指します。窒素固定生物はこの働きを利用して窒素化合物を得ようとしているのです。また、動植物の遺体や排出物などに含まれる有機窒素化合物をカビや腐敗細菌によってNH4+に分解されます。植物はこの窒素固定生物や腐敗細菌などによって生じたNH4+をそのまま、もしくは別の形にして体内に取り込まれるのです。

NH4+はそのまま根から吸収されることと、植物によっては根に共生する根粒菌の働きによってNH4+を体内に取り込むことがあります。NH4+を別の形に変換してから植物体内に吸収することは次の2で解説しますね。

2 硝化

土壌中の窒素固定生物や腐敗細菌などによって生じたNH4+は硝化細菌(亜硝酸菌と硝酸菌)によってNO3-(硝酸イオン)に酸化されます。この一連の流れを「硝化」と呼ぶのです。NH4+は初めに亜硝酸菌によってNO2-(亜硝酸イオン)に酸化され、NO2-は硝酸菌によってNO3-に酸化されます。その後、NO3-は根から植物体内に取り込まれるのです。

3 グルタミン酸回路

根から吸収されたNO3-は硝酸還元酵素によってNO2-になり、さらに亜硝酸還元酵素によってNH4+に戻ります。グルタミン合成酵素によってNH4+とグルタミン酸からグルタミンができ、グルタミン酸合成酵素によって、このグルタミンが呼吸によって生じたα-ケトグルタル酸と反応して2分子のグルタミン酸が生じるのです。一方のグルタミン酸は再びNH4+と結合し、もう一方のグルタミン酸はそのアミノ基を使って次の段階に進みます。

このように、グルタミン酸回路ではNH4+からのアミノ基をいくつかの物質を移動(転移)しながら、アミノ酸合成を目指すのです。

\次のページで「4 アミノ酸の合成」を解説!/

4 アミノ酸の合成

4 アミノ酸の合成

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アミノ基はグルタミン酸に行き渡り、最後にアミノ基転移酵素によってアミノ基と呼吸によって生じた様々な有機酸が結合して各種のアミノ酸が合成されます。アミノ基が取り除かれたグルタミン酸は再びα-ケトグルタル酸に戻ってグルタミン酸回路にて再利用されるのです。

例として「アラニン」というアミノ酸の合成過程を見てみましょう。図のように、有機酸である「ピルビン酸」に、グルタミン酸にあったアミノ基がアミノ基転移酵素によって受け渡されて、アラニンが生成されます。

植物体内では、このような過程でNH4+からアミノ酸が合成されて、有機窒素化合物が生成されるのです。

窒素同化は植物体内で起こる反応!

窒素同化は窒素固定を含む反応だと勘違いすることがありますが、窒素同化は植物体内で起こる「グルタミン酸回路」と「アミノ酸合成」のところに当たることを覚えておきましょう。

私たち人間の場合、有機窒素化合物は食べ物から摂取すれば良いのですが、植物はそういうわけにはいきません。その代わり、土壌中のシンプルな無機窒素化合物を取り込んで、植物体内で窒素同化を行い、植物体を構成する有機窒素化合物が合成されるのでしたね。植物にとって窒素同化がなければ生存することは不可能です。非常に複雑な反応で難しいのですが、しっかりと頭に入れましょう。

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理科生き物・植物生態系生物

窒素同化とは?どこで合成される?窒素固定や仕組みを現役理系学生が徹底わかりやすく解説

みんなは、植物などが行う「窒素同化」はどういった反応なのかを説明できるか?名称がよく似ている「窒素固定」とよく勘違いしてしまうことがありますが、この2つは全く違う反応なのです。もし窒素同化が存在していなければ、植物は生きていくことは厳しい。それほど窒素同化は植物にとって重要な働きなのです。そんな窒素同化のメカニズムを窒素固定と合わせて、生物に詳しいライターききと一緒に解説していきます。

ライター/きき

大学生の頃は農学部に所属し植物のことを勉強した。現在は大学院に進学し植物のことを研究中。生物や植物の面白さを伝えられるライターを目指している。

窒素同化って何?

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窒素同化とは、「植物が体外から取り入れた無機窒素化合物からアミノ酸を合成し、核酸やタンパク質などの有機窒素化合物を作る働き」のことを言います。アミノ酸は生物体を構成するタンパク質や塩基、核酸などの生体物を構成する材料になり、私たち人間はもちろん、植物にとっても生きるために欠かせない存在なのです。そんなアミノ酸は、窒素同化という働きで無機窒素化合物を原料として作られます。

アミノ酸の仕組みとは?

アミノ酸の仕組みとは?

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窒素同化でアミノ酸が合成されるのですが、そのアミノ酸は何で構成されているのでしょうか。実は、アミノ酸は「有機酸」と「アミノ基」からできており、どちらも外界からある物質を取り入れ、植物体内で合成されるのです。

ここでは、窒素同化について解説する前に有機酸とアミノ基はどういった物質で、どのように合成されるのかを学びましょう。

有機酸

有機酸は上記の図の赤い四角で囲まれた部分に当たります。カルボキシ基(-COOH)を含み、植物体内で生成されるのです。

植物は、二酸化炭素や水を元に光合成によってグルコースなどの炭水化物を作ります。この炭水化物を呼吸のクエン酸回路という反応で使われることで有機酸が合成されるのです。

アミノ基

アミノ基とは、図の青い四角で囲まれたNH2の部分に当たる官能基です。構造はアンモニア(NH3)に似ていますよね。アンモニアは植物体内ではアンモニウムイオン(NH4+)の状態でいることが多く、アミノ基はこのNH4+から作られるのです。

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