自己免疫疾患とは一体何?原因や症状、アレルギーとの関係などを現役研究者がわかりやすく解説
その3:関節リウマチ
関節リウマチでは関節の内面を覆っている滑膜に炎症が起こります。そうすると滑膜が増殖して周囲の軟骨や骨を溶かし関節に長期間にわたって炎症が起こることで、結果として関節が破壊され関節の腫れ、変形脱臼、こわばり、痛みなどが現れる。
アレルギーは自己免疫疾患ではない?
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アレルギーも免疫機能に異常が生じた状態ですが、花粉症などのアレルギーは自己免疫疾患ではありません。この2つの病気の大きな違いは、免疫が体内の物質に反応するのか、外から侵入してきた物質に反応するのかにあります。アレルギーは免疫が外から侵入してくる無害な物質にまで反応してしまい、免疫反応が過剰に起こっている状態なのです。
自己免疫疾患とコロナウイルスの関連性は?
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自己免疫疾患の人が新型コロナウイルスにかかりやすいといった報告はありません。ただ、感染すると重症化する恐れもあるので予防は重要です。一部研究では新型コロナウイルス感染後の息切れ、頭痛、咳、倦怠感、認知機能障害、ブレインフォグ(頭にもやがかかったような状態)、筋肉痛などの慢性的な後遺症の原因に自己免疫疾患が関与している可能性が示唆されていますが、明確な答えは出ていません。
また、これまでに1億人以上の日本人が行なっているワクチン接種ですが(2022年2月17日 現在)、現在のところ世界的にみてもワクチン接種に伴う、自己免疫疾患の報告はありません。一般的に感染症に伴い認められる自己免疫疾患は、感染後数週間以内に発症することから、ワクチン接種による副反応が数年たってから起こるということはほぼないと思われる。本人の意思や症状に応じた主治医との相談もあると思いますが、自己免疫疾患で治療中の患者さんであってもワクチン接種が推奨されています。
自己免疫疾患は突然、誰にでも起こりうる病気
自己免疫疾患は突然、誰にでも起こりうる病気です。日本でも患者数は年々増加しています。あなたの身近にも病気で苦しんでいる人がいるかもしれません。その原因は薬剤、感染症、ストレスと様々です。周りへの理解と共にバランスの取れた食事、運動、質のいい睡眠など健康的な生活を送ることで予防していきましょう。
イラスト使用元:いらすとや