この記事では「三千の寵愛一身にあり」について解説する。

端的に言えば三千の寵愛一身にありの意味は「多くの女性の中で、ひとり君主から可愛がられ愛されること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。
一緒に「三千の寵愛一身にあり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「三千の寵愛一身にあり」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「三千の寵愛一身にあり」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「三千の寵愛一身にあり」(さんぜんのちょうあいいっしんにあり)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「三千の寵愛一身にあり」の意味は?

まずは、「三千の寵愛一身にあり」の辞書の意味を見ていきましょう。

1. 君主など、地位の高い人物の愛情を独占すること。

出典: 故事成語を知る辞典「三千の寵愛一身にあり」

「三千の寵愛一身にあり」とは、中国の唐の時代を代表する詩人である白居易(はくきょい)がつづった「長恨歌」(ちょうこんか)という漢詩の中に登場する言葉です。白居易の「長恨歌」は全部で120句からなる長編の叙事詩で、唐の皇帝と一人の美しい女性との恋愛物語が語られています。

「三千の寵愛一身にあり」の語源は?

次に「三千の寵愛一身にあり」の語源を確認しておきましょう。
「三千の寵愛一身にあり」は、「世界三大美女のひとり」と言われている中国の楊貴妃(ようきひ)が、いかに愛されたかを表現した言葉になります。中国の唐の時代、玄宗皇帝(げんそうこうてい)のまわりには、三千人ほどの美しい女性がいたということです。その中で玄宗皇帝の寵愛を一身に受けたのが楊貴妃でした。「寵愛」とは、「特別に大切に愛してかわいがる」という意味ですが、特に上の位の人、例えば、「王」や「皇帝」や「天皇」などから可愛がれ愛されることをいうのですね。

\次のページで「「三千の寵愛一身にあり」の使い方・例文」を解説!/

「三千の寵愛一身にあり」の使い方・例文

三千の寵愛一身にあり」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 三千の寵愛一身にありといえば、絶世の美女、楊貴妃のことだとわかる方は多いと思いますが、「三千の」を省いた「寵愛一身にあり」も同じ意味でよく使われています。

2. 「周りに三千人の美しい女性がいる中で、その寵愛を一身に受けるというのもすごい話だな。周りからの嫉妬もすごかっただろうし、ひとりの人を思い続けるというのもなかなか大変なことだと思わないか?」
三千の寵愛一身にありは、詩の中で語られた玄宗と楊貴妃の話だからちょっと盛っているのかもしれないじゃないか?そんなに『ロミオとジュリエット』のようなカップルは世の中にそうはいないさ。」

「三千の寵愛一身にあり」と言えば、楊貴妃のことですが、省略形の「寵愛一身にあり」も楊貴妃の話の例えとしてよく使われます。しかし、「寵愛一身にあり」の方は、楊貴妃に限らず類似のケースであれば使える言葉ではありますね。

「三千の寵愛一身にあり」の類義語は?違いは?

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それでは、「三千の寵愛一身にあり」の類義語を見ていきましょう。

「溺愛する」

「三千の寵愛一身にあり」の「寵愛」(ちょうあい)とは、「特別に大切にして愛すること、かわいがること」でしたが、類義語のひとつに「溺愛する」(できあいする)があります。「溺愛する」とは、文字通り「溺れるほどの愛情のこと」ですから、「むやみに盲目的にかわいがること」を意味するのです。「溺愛」が「寵愛」と異なる点は、「溺愛」は一般的な人に対しても使われますが、「寵愛」の方は位や地位の高い人に対して使われる言葉であるため、その点では異なりますね。

\次のページで「「三千の寵愛一身にあり」の対義語は?」を解説!/

「三千の寵愛一身にあり」の対義語は?

次に「三千の寵愛一身にあり」の対義語を見ていきましょう。

「少し愛して。長く愛して。」

「三千の寵愛一身にあり」と言われるように玄宗皇帝は楊貴妃が亡くなるまで一筋に楊貴妃を愛し、白居易に書かれた「長恨歌」(ちょうごんか)は、玄宗と楊貴妃のラブストーリーでした。情熱的で一途な愛もすばらしいですが、ちょっと違った形の愛へのあこがれの表現をここではご紹介しましょう。

「少し愛して。長く愛して。」です。これは、1970年代や1980年代に放送されたウイスキーのCMのキャッチ・コピーとして流行しましたが、もとは、1500年代に編纂された詩集に掲載された言葉で、原文の英語では、“Love me little, love me long.”となっています。今では、ことわざとして知られるほど、多くの人に知られている“Love me little, love me long.”ですが、「激しい愛もいいけど、情熱はすぐに燃え尽きやすいもの。それよりは、穏やかで長く続く永遠の愛の方がいい」。「少し愛して。長く愛して」にはそんな願いが、込められているのです。

「三千の寵愛一身にあり」の英訳は?

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次に「三千の寵愛一身にあり」の英訳を見ていきましょう。

「win someone's favor」

「三千の寵愛一身にあり」を英訳にする際に気をつけたい点は、「寵愛」をどう訳すかではないでしょうか? 「寵愛」とは、「愛される」ことですから「be loved」や似通った表現を使えば、言えば言いたいことは伝わると思いますね。より深くニュアンスを伝えたいのであれば、「win someone's favor」を使うとピッタリとくるかもしれません。「win someone's favor」の「win」(wín)は、「勝つ」という意味ですが、「勝ち取る」や「獲得する」という意味合いでも広く使われています。「favor」(féɪvɚ)は、「好意」という意味ですが、しばしば、「偏愛」や「寵愛」という意味でも使われる単語です。「win someone's favor」で、「(誰かの)好意を勝ち取った」という意味になります。もし、「彼女は3000人の美女の中から王の愛情を勝ち取った」と表現する場合には、「She wan the King’s favor out of 3000 beautiful women」となりますね。

 

「三千の寵愛一身にあり」を使いこなそう

この記事では、「三千の寵愛一身にあり」の意味や使い方を見てきました。言葉の意味は、「大勢の女性の中で、ただ一人だけが寵愛を受けること」でした。皇帝でなくても一般人にも美しい女性に夢中になる気持ちはわかりますよね。「三千の寵愛一身にあり」の類義語に「溺愛する」がありますが、少子化の中、子どもを溺愛するお父さんやお母さんも増えているのではないでしょうか?こちらも気持ちはよくわかるのですが、ペットのように可愛がるだけでは、いつまでも子供も親から独立できません。可愛がることはよいことだと思いますが、節度を持った愛し方を考える必要はあるのかもしれませんね。

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【慣用句】「三千の寵愛一身にあり」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「三千の寵愛一身にあり」について解説する。

端的に言えば三千の寵愛一身にありの意味は「多くの女性の中で、ひとり君主から可愛がられ愛されること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。
一緒に「三千の寵愛一身にあり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「三千の寵愛一身にあり」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「三千の寵愛一身にあり」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「三千の寵愛一身にあり」(さんぜんのちょうあいいっしんにあり)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「三千の寵愛一身にあり」の意味は?

まずは、「三千の寵愛一身にあり」の辞書の意味を見ていきましょう。

1. 君主など、地位の高い人物の愛情を独占すること。

出典: 故事成語を知る辞典「三千の寵愛一身にあり」

「三千の寵愛一身にあり」とは、中国の唐の時代を代表する詩人である白居易(はくきょい)がつづった「長恨歌」(ちょうこんか)という漢詩の中に登場する言葉です。白居易の「長恨歌」は全部で120句からなる長編の叙事詩で、唐の皇帝と一人の美しい女性との恋愛物語が語られています。

「三千の寵愛一身にあり」の語源は?

次に「三千の寵愛一身にあり」の語源を確認しておきましょう。
「三千の寵愛一身にあり」は、「世界三大美女のひとり」と言われている中国の楊貴妃(ようきひ)が、いかに愛されたかを表現した言葉になります。中国の唐の時代、玄宗皇帝(げんそうこうてい)のまわりには、三千人ほどの美しい女性がいたということです。その中で玄宗皇帝の寵愛を一身に受けたのが楊貴妃でした。「寵愛」とは、「特別に大切に愛してかわいがる」という意味ですが、特に上の位の人、例えば、「王」や「皇帝」や「天皇」などから可愛がれ愛されることをいうのですね。

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