端的に言えば恰好を付けるの意味は「見た目がいいように体裁を整えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「恰好を付ける」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/eastflower
今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「恰好を付ける」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。
「恰好を付ける」の意味は?
それでは、まず、「恰好を付ける」に関連のある「かっこ付ける」と「格好」の辞書の意味を見ていきましょう。
【かっこ付ける】
1. 見た感じがいいように、体裁をよくする。また、いいところを見せようとする。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「かっこ付ける」
【恰好】
1. 基準、標準と合うこと。ちょうど合うこと。ふさわしいこと。また、そのさま。かっこ。
2. 値段がちょうど手ごろであること。安いこと。また、そのさま。かっこ。
3. (形がちょうどよいというところから) 姿、形、様子。見かけ。かっこ。
4. そのようにはたから見える状態。様子。
5. 体裁。体面。かっこ。
出典:日本国語大辞典(精選版)「格好」
「恰好を付ける」(かっこうをつける)の「恰」の字はあまり見かけない漢字かもしれませんね。「恰」は、音読みでは「こう」と読まれ、訓読みでは「あたかも」と読まれる漢字です。「恰好を付ける」の「恰好」(かつこう)とは、もともと「あたかもよし」と読まれ、「ちょうど似つかわしいさま」や「形がちょうどいい」という意味で使われてきました。現在では、「恰好」だけでなく、「格好」と記載されることも多いのですが、どちらも読み方は、「かっこう」で意味も同じですからどちらの漢字を使ってもいいのです。
「恰好を付ける」と似た表現に「恰好が付く」という言葉がありますが、「恰好が付く」の用語は自動詞的として使われているのに対して、「恰好を付ける」の方は他動詞になります。例をあげると、「電灯が付く」と「電灯を付ける」で考えるとわかりやすいかもしれませんね。「電灯が付く」の方は、「18時になったから街の電灯が自然についた」という自動詞的に使われているのに対して、「電灯を付ける」の方は、「誰かが意図的にスイッチを入れたため」「電灯を付けた」ことになります。「恰好を付ける」は「もともと見た感じがいいわけではなく、誰かが意図的に感じがよく見えるようにする」という意味なわけです。
「恰好を付ける」の語源は?
次に「恰好を付ける」の語源を確認しておきましょう。「恰好を付ける」の「恰好」という文字は、かなり昔から使われていたようです。15世紀の文書にも登場する文字ですし、もちろん、江戸時代や明治時代に発行された文書にも登場します。しかし、1981年(昭和56年)に定められた「常用漢字表」(じょうようかんじひょう)の中から「恰」の字は外れました。「常用漢字表」とは、「法令や公文書、新聞、雑誌など一般の社会生活において記表する漢字使用の目安とされた」2136字の漢字のことです。「常用漢字表」はあくまで目安であり、他の漢字を使ってはいけないという制限はありませんから別に使っても構わないのですが、「恰好」と言えば、「格好」と記載されることも多くなっていきました。
また、「恰好」や「格好」は、もともと「ちょうど合うことやふさわしいこと」の意味で形や見かけに対して使われてきた言葉でしたが、時を経て現在では、漢字よりもむしろ「かっこいい」や「カッコいい」など、ひらがなやカタカナで表記される場合も非常に多く、形や見かけに限らず、生き方や行動などに対しても広く使われるようになってきています。
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