この記事では「成らぬ堪忍しますが堪忍」について解説する。

端的に言えば成らぬ堪忍しますが堪忍の意味は「我慢できないような我慢をすることが本当の我慢だ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「成らぬ堪忍しますが堪忍」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「成らぬ堪忍するが堪忍」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「成らぬ堪忍するが堪忍」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「成らぬ堪忍するが堪忍」(ならぬかんにんするがかんにん)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「成らぬ堪忍するが堪忍」の意味は?

まずは、「成らぬ堪忍するが堪忍」と共に「堪忍」の国語辞典の意味を見ていきましょう。

【成らぬ堪忍するが堪忍】
1. がまんできないことをこらえるのが、本当の忍耐というものである。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「成らぬ堪忍するが堪忍」

【堪忍】
1 怒りを抑えて、人の過ちを許すこと。勘弁。
2 肉体的な痛みや苦しい境遇などをじっとこらえること。我慢すること。忍耐。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「堪忍」

「成らぬ堪忍するが堪忍」(ならぬかんにんするがかんにん)とは、直訳すると「我慢が不可能な堪忍をするのが本当の堪忍である」となります。堪忍(かんにん)とは、辞書で説明されている通り、「怒りを抑えて相手を許すこと」、例えば「我慢」や「忍耐」のことですが、我慢できないようなことを我慢するようにとは、どんな考え方から来ているのかを次の語源でご説明しましょう。

「成らぬ堪忍するが堪忍」の語源は?

次に「成らぬ堪忍するが堪忍」の語源を確認しておきましょう。
「成らぬ堪忍するが堪忍」の「堪忍」、言い換えると「耐え忍ぶ」ことや「我慢すること」が大切であるという思想は、もともと、インドの仏教から由来していると言われています。
仏教は、朝鮮半島を経て6世紀ごろに日本に伝えられたと言われていますから、かなり昔から日本でも「我慢することの大切さ」は認識されていたのかもしれませんね。「堪忍」(かんにん)という言葉は、インドのサンスクリット語の「サハ―」から来ているとも言われています。

\次のページで「「成らぬ堪忍するが堪忍」の使い方・例文」を解説!/

「成らぬ堪忍するが堪忍」の使い方・例文

「成らぬ堪忍するが堪忍」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.「お前の言っていることは正しいのかもしれない。しかし、相手は先生だ。昔から言われる通り、ここは、成らぬ堪忍するが堪忍。自分の気持ちを再度、抑えて我慢してはどうだろうか?」

2.「成らぬ堪忍するが堪忍とはいうものの俺にはこれ以上我慢できない。野球をするために入部したのに掃除、洗濯、食事の用意。 こんなのやってられないよ。」

「成らぬ堪忍するが堪忍」が大切なことはよくわかるもののどういう場合に我慢して耐えればよいのかわからないことがありますよね。我慢すべきか気持ちのまま怒った方がいいのかもやはり各個人の選択なのではないでしょうか?

「成らぬ堪忍するが堪忍」の類義語は?違いは?

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それでは、「成らぬ堪忍するが堪忍」の類義語を見ていきましょう。

 

「忍の一字は衆妙の門」

「成らぬ堪忍するが堪忍」は、「我慢不可能なことを我慢することが真の我慢である」という我慢の大切さを伝える慣用句でしたね。「成らぬ堪忍するが堪忍」と同様に我慢の大切さを説いていることわざのひとつに「忍の一字は衆妙の門」(にんのいちじはしゅうみょうのもん)があります。

「忍の一字は衆妙の門」の「衆妙の門」(しゅうみょうのもん)とは、「老子」(ろうし)の中にでてくる言葉。「衆」(しゅう)とは、「多い、多くの」という意味で「妙」(みょう)は、「不思議な」や「神妙な」という意味もありますが、この場合は、「すぐれた」の意味で使われています。「衆妙の門」とは、「多くのすぐれた道理, 根源」と意味なのですね。ですから、「忍の一字は衆妙の門」とは、「忍耐の忍の一文字というのは、多くの分野において根源的に意味のあること」であり、「忍耐力を持つことは、あらゆることを行おうとするときの出発点で、この忍耐力によって成就や成功に導かれる」という意味になるのです。

\次のページで「「成らぬ堪忍するが堪忍」の対義語は?」を解説!/

「成らぬ堪忍するが堪忍」の対義語は?

次に「成らぬ堪忍するが堪忍」の対義語を見ていきましょう。

「煩悩の犬は追えども去らず」

確かに理想としては、ことわざの「成らぬ堪忍するが堪忍」の教えの通り、自我に固執せず、耐え続けられればいいのかもしれませんが、なかなかそうはいかないものですよね。そんな慣用句をご紹介しましょう。「煩悩の犬は追えども去らず」(ぼんのうのいぬはおえどもさらず)です。自分を主張したいという欲も含めて人にはいろいろな欲望があり、それを総称して「煩悩」(ぼんのう)と呼びますが、「次から次にわきあがってくる煩悩は、振り払おうと思っても人につきまとう犬のように心から振り払うことはできない」という意味になります。「成らぬ堪忍するが堪忍」よりも「煩悩の犬は追えども去らず」の方が日常生活のなかでよく経験する感情であり共感しやすいかもしれませんね。

「成らぬ堪忍するが堪忍」の英訳は?

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次に「成らぬ堪忍するが堪忍」の英訳を見ていきましょう。

「True endurance means bearing the unbearable」

「成らぬ堪忍するが堪忍」は、一言で言うと「我慢しなさい」ですから「Be patient.」になると思いますが、それではあまりに素気ないので「成らぬ堪忍するが堪忍」の持つ雰囲気をこわさないように丁寧に訳していきましょう。

この慣用句を英訳しやすいように和文を変えると「真の忍耐とは、我慢できないようなことを我慢することだ」くらいになるでしょう。「真の忍耐」は、「True endurance」になります。「endurance」(ɪnd(j)ˈʊ(ə)rəns)は、動詞「endure」の名詞形で「忍耐」や「辛抱」という意味です。「忍耐」は、「endurance」以外にも「patience」(péɪʃəns)なども適切な表現といえるでしょう。「我慢できないようなことを我慢すること」は、「bearing the unbearable」と表現してみてはいかがでしょうか?

動詞の「我慢する」でよく使われる表現に「endure」(ɪnd(j)ˈʊɚ)や「tolerate」(tάlərèɪt)もありますが、今回は、「bear」(béɚ)を使って表現してみましょう。「bear」の反対語は、「unbear」です。「我慢できないもの」は、定冠詞+形容詞で名詞にできることから「the unbearable」としてみました。「真の忍耐とは、我慢できないようなことを我慢することだ」は、全体で、「True endurance means bearing the unbearable」となるわけです。

「成らぬ堪忍するが堪忍」を使いこなそう

この記事では、「ならぬ堪忍するが堪忍」の意味や使い方などを見てきました。「我慢できないことを我慢するのが本当の我慢だ」という意味でしたね。まっすぐに精一杯に生きている若い人には、世の中の理不尽さに対して頭にきたり、怒りが込み上げてくることも多いかもしれません。では、記事の筆者がそんなときどうしているのかというと、怒りが込み上げてきたようなときは、まず、深呼吸してお茶でも飲むことにしています。悩んでどうしようもないときも一歩留まって、とりあえず、お茶を飲んでリラックスするようにしていますね。今日結論を出さなくてもいいんじゃないと自分を励ましたりもします。みなさんも一度、試してみてください。

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【慣用句】「成らぬ堪忍するが堪忍」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「成らぬ堪忍しますが堪忍」について解説する。

端的に言えば成らぬ堪忍しますが堪忍の意味は「我慢できないような我慢をすることが本当の我慢だ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「成らぬ堪忍しますが堪忍」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「成らぬ堪忍するが堪忍」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「成らぬ堪忍するが堪忍」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「成らぬ堪忍するが堪忍」(ならぬかんにんするがかんにん)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「成らぬ堪忍するが堪忍」の意味は?

まずは、「成らぬ堪忍するが堪忍」と共に「堪忍」の国語辞典の意味を見ていきましょう。

【成らぬ堪忍するが堪忍】
1. がまんできないことをこらえるのが、本当の忍耐というものである。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「成らぬ堪忍するが堪忍」

【堪忍】
1 怒りを抑えて、人の過ちを許すこと。勘弁。
2 肉体的な痛みや苦しい境遇などをじっとこらえること。我慢すること。忍耐。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「堪忍」

「成らぬ堪忍するが堪忍」(ならぬかんにんするがかんにん)とは、直訳すると「我慢が不可能な堪忍をするのが本当の堪忍である」となります。堪忍(かんにん)とは、辞書で説明されている通り、「怒りを抑えて相手を許すこと」、例えば「我慢」や「忍耐」のことですが、我慢できないようなことを我慢するようにとは、どんな考え方から来ているのかを次の語源でご説明しましょう。

「成らぬ堪忍するが堪忍」の語源は?

次に「成らぬ堪忍するが堪忍」の語源を確認しておきましょう。
「成らぬ堪忍するが堪忍」の「堪忍」、言い換えると「耐え忍ぶ」ことや「我慢すること」が大切であるという思想は、もともと、インドの仏教から由来していると言われています。
仏教は、朝鮮半島を経て6世紀ごろに日本に伝えられたと言われていますから、かなり昔から日本でも「我慢することの大切さ」は認識されていたのかもしれませんね。「堪忍」(かんにん)という言葉は、インドのサンスクリット語の「サハ―」から来ているとも言われています。

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