

君たちが「展示動物」と聞いてまず思いつくのは、動物園や水族館の動物ではないか?もし、その動物たちがストレスを感じているかもしれないと言われたらどう思うだろうか?具体例を見ながら、展示動物の定義から展示動物が抱える問題とそれに対する日本と海外で行われている解決策について考えていこう。
大学で動物福祉について勉強した農学部卒ライターの園(その)と一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/園(その)
数学は苦手だけれど、生物と化学が得意な国立大学農学部卒業の元リケジョ。動物の中でも特に犬が好きで、趣味は愛犬をモフることらしい。分かりやすく面白い情報を発信していく。
展示動物の飼養及び保管に関する基準
(4)展示動物 次に掲げる動物をいう。
ア 動物園、水族館、植物園、公園等における常設又は仮設の施設において飼養及び保管する動物(以下「動物園動物」という。)
イ 人との触れ合いの機会の提供 、興行又は客よせを目的として飼養及び保管する動物(以下「触れ合い動物」という。)
ウ 販売又は販売を目的とした繁殖等を行うために飼養及び保管する動物(畜産農業に係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用に供するためのものを除く。以下「販売動物」という。)
エ 商業的な撮影に使用し、又は提供するために飼養及び保管する動物(以下「撮影動物」という。)
出典:環境省.“展示動物の飼養及び保管に関する基準”.

ちなみに、サーカスでショーをしているゾウは「触れ合い動物」、ペットショップで売られている子犬とその親はどちらも「販売動物」だ。さらに、テレビCMや映画に出ている動物は「撮影動物」だぞ。
展示動物はなぜ問題になっているのか
人と同じように、動物にも感情があり欲求があります。野生動物は、自然の中で暮らし、自身のチカラで自由に欲求を満たすことができるでしょう。一方で、展示動物は食べるものから住むところまで人に決められ、自身の自由に欲求を満たすことができません。
そのため、人には、人の都合で飼育している動物の欲求を満たす(つまり、動物福祉に配慮する)義務があります。
よって、私が考える展示動物が問題視される理由は以下の2つです。
1つは、展示動物の中心が野生動物であり、人が飼育するうえで、限られたスペースで本来暮らす自然と同じ環境を作り出すことが難しいこと。もう1つは、営利目的で飼育されるという展示動物の側面から、命としてではなく商品(モノ)として扱われることが多いため、動物福祉に対する義務感が薄いことが挙げられます。

動物福祉はさまざまな定義があるが、簡単に言うと「動物が快適な環境で暮らし、心身ともに健康で幸福であること」だ。
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