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退化ってなんだ?人間にも退化の名残りがある?!進化との違いについても獣医学部卒ライターが解説!

身体の一部を特化させるため

身体の一部を退化させることで、浮いた分のエネルギーを他の器官に有効利用する生物もいます。例えば寄生虫は、消化器官が退化している一方で、生殖器官が異常に発達しています。消化器官に使っていた分のエネルギーを、生殖器官を発達させるために使うことで、自分の子孫を残していこうとする賢い戦略なんですね。

このように生物は自分の身体の大きさや生産可能なエネルギー量といった限られた範囲の中で、効率よくエネルギーを回していくために退化をしているんですね。

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退化する器官は、単に「使われないから退化した」のではなかったんだな。

進化と退化は表裏一体!

一般的には退化の対語は進化だと思われがちですが、実際は違います。実は退化とは進化のひとつなのです。

進化=「良くなる」は間違いだった

そもそも進化とは何でしょう?「今までよりも良い性質になる」とか「強くなる」というようなイメージがありますが、実際はそうではないんですよ。

生物学的に進化とは「その環境で生きる上で効率の良いものだけが生き残れること」をいいます。同じ種類の生物でも、いろいろな形質がある中でその環境に最も適応した形質をもつものだけが生き残ることなんです。

例えばキリン。よくキリンは高いところにある植物を食べるために首を長くしたと考えられていますが、実際はそうではなく、もともとキリンの中には首が長いキリンもいれば短いキリンもいたんですよ。その中で、たまたま高い植物を食べられる首の長いキリンだけが生き残れたんです。

つまり進化とは、いろいろな形質をもつ個体がいる中で、偶然そのときの環境に最も効率がよかったものが生き残ることをいうんですね。

進化or退化は視点の違いで決まる

進化についての定義がわかったところで、退化の例をみてみましょう。

例えばペンギン。ペンギンはもともと飛ぶ力をもっていた動物ですが、約6000万年前に飛ぶ力を失いました。なぜ飛ぶ力を退化させたのかというと、海での暮らしに特化させるためだったんですよ。

ペンギンの生息地のほとんどは南半球です。南半球は海が多く、陸地にはペンギンを襲う動物たちが生息しています。また、飛ぶことは非常にエネルギーを使う行為。そのため、海での生活に特化するために泳いで主食の魚を食べたほうが、無駄なエネルギーを使わずに効率的だったんですね。

image by Study-Z編集部

この例をもとに進化と退化の関連性を考えてみると、空を飛べる鳥からしてみたら「退化」であり、海で魚を主食とする哺乳類からしたら「進化」といえます。このように、退化と進化は表裏一体だったんですね。

人間にも退化の名残りがあった!

image by iStockphoto

ここまでは退化の定義や退化をする理由、進化との関連性を解説してきました。なんとなく退化は特別な進化のようにも感じられますが、実はほとんどの生物は退化をして今の姿になってきているんですよ。人間も同じです。退化の結果、今の姿になりました。その証拠に、人間の身体にはいたるところに退化の名残りがあるんですよ。詳しく見ていきましょう。

祖先は尻尾がついていた

まず、人間が退化した器官で有名なのが尻尾。はるか昔の私たちの祖先には尻尾が生えていました。その名残りが腰のあたりにある尾てい骨。おしりの下にある、少し飛び出た骨が尾てい骨です。祖先はここからしっぽの骨が続いていましたが、人やゴリラはもう尻尾は生えません

でも実は妊娠4週目の赤ちゃんにはちゃんと尻尾があるんですよ。尻尾をもつ動物の場合はそのまま成長しますが、私たち人間やゴリラなど尻尾をもたない動物はプログラム細胞死によって徐々に失われていきます。進化の歴史で尻尾がなくなったという話は聞いたことがありますが、まさかお腹の中でも尻尾の退化がおきていたなんて驚きですね。

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ごくまれにだが、突然変異によって尻尾をもったまま生まれてくる新生児も報告されているぞ。

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