
地球上には、自ら光を放つ仕組みを手に入れた生物が存在する。発光しない生物が多い中で、発光生物はなぜ光るようになったのでしょうか?また、どのようにして光っているのでしょうか?光る生き物の不思議に切り込んでいこう。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらうぞ。

ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
発光生物は”なぜ”光るのか?

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今回のテーマは「発光生物はなぜ光るのか?」ですね。
自ら光を放ついきものといえば、私たちのよく知っているところでいうとホタルやクラゲなど。深海生物やキノコなんかにも光るものがいます。光り方にしても、ぼんやり光る程度のものから、とても明るい光まで多様です。
それらが「”なぜ”光るのか」をお話したいのですが…その前に確認しておきたいことがあります。
”なぜ”に対する答えは一つじゃない
みなさんは、どんな解説を想像してこの記事を開いてくれたのでしょうか?
”なぜ”という質問には、いくつかの答え方が考えられます。以下は、「ティンバーゲンの4つのなぜ」とよばれる考え方に基づいた、4つの答え方です。
・「何のために光るのか」…機能(理由)
・「どのようにして光るのか」…機構(しくみ)
・「どのようにして光るしくみを獲得していったのか」…系統発生(歴史)
・「どのように光るしくみができていくのか」…個体発生(発達)
※()内は筆者が言い換えたもの
”なぜ”に対して、「何のために光るのか」という答えを期待してくれた人もいれば、「どうやって光っているのか」を知りたい人もいるでしょう。
質問に対するアプローチが複数あるということを忘れてしまうと、期待していた答えが得られなかったり、議論がかみ合わなかったりします。

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今回は、色々な発光生物の光る”理由”をメインに紹介し、一部の生物については光る”しくみ”も少し解説していくことにします。
発光生物は「何のために」光る?
では、発光生物の光る”理由”や”目的”のうち、代表的なものをいくつかみてみましょう。
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