この記事では「神に入る」について解説する。

端的に言えば「神に入る」の意味は「技術が非常にすぐれ、人間業には思えない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「神に入る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を生かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい説明で解説していく。

「神に入る」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「神に入る」という表現をご存知ですか?日常生活でなかなか使われることのない表現ですが、意味をしっかり押さえれば、まわりから一目置かれる言い回しとして使える表現です。ここでは、そんな「神に入る」について詳しく解説していきたいと思います。

それでは早速「神に入る」の意味や使い方を見ていきましょう。

「神に入る」の意味は?

「神に入る」には、次のような意味があります。

技術が非常にすぐれ、とても人間わざとは思えないほどである。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「神に入る」は「しんにいる」と読む慣用句です。プロのスポーツ選手や熟練の職人など、その人の持つ技術が人間離れをしていて、まるで神様の技であるかのような常人のものとは思えない領域まで達している様子を表す場合に用いられます。

「神に入る」の使い方・例文

「神に入る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「神に入る」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.全国大会決勝で見せた彼のシュートは、まさに神に入ったシュートであった。
2.彼女の詩を読むと、見たことのない景色でも不思議と頭に浮かんでくる。情景描写の技術が神に入っているのだ。

上記では例文を2つ挙げました。ひとつひとつ意味を解説していきたいと思います。

例文1は、サッカーの大会で見せたシュートの技術が非常に優れていたことを表す例文です。このように、スポーツ選手の技など、人間離れした素晴らしい技術であると表現をしたい場合にこの慣用句を使うことができます。

また、例文2は彼女の情景描写の技術が卓越したものであることを表す例文です。例文1ではスポーツの技術について使うことができると説明しましたが、例文2のように文の表現力などを表す際にも使えます。熟練した職人などの技術を表現する際にも用いるのです。

「神に入る」の類義語は?違いは?

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「神に入る」の「技術が非常に優れていて人間技とは思えないほど」と似た意味を持つ表現にはどのようなものがあるのでしょうか。ひとつひとつ確認していきましょう。

その1「神業」

「神業」は「かみわざ」と読む熟語です。神にしかできないような素晴らしい技という意味を持ちます。「神に入る」と似た意味を持ちますが、「神業」の方が日常的に使用されることが多いので、みなさんもなじみがあるのではないでしょうか。

また、「神業」には神のような技術という意味以外に、神に関する行事という意味もあります。一般的には前者の意味で用いられることがほとんどですが、文章で出てきた場合は文脈で判断をしましょう。

1.彼のそろばんで計算する速度と正確性はほかの誰よりも抜きんでている。まさに神業といっても過言ではない。
2.針の穴に糸を通すような精度の神業ショットを、彼女は何てことない顔をして何発も決めてしまう。

\次のページで「その2「至難の業」」を解説!/

その2「至難の業」

「至難の業」は「しなんのわざ」と読みます。「至難」は極めて難しいさま、「業」は何らかの意図をもって成したこと、その行為・行いの意味。つまり、「至難の業」は実現することがこの上なく難しいことを意味します

「神に入る」が、その人の持つ技術が人間技とは思えないほどであるという程度を表しているのに対し、「至難の業」は実現がこの上なく難しいという行為の程度を表すのでニュアンスの違いには注意が必要です。

また、「至難の業」は「至難の技」と書き間違えられることも多いので注意してください。

1.不景気の今、未経験にも関わらず一から会社を立ち上げて利益を上げるのは至難の業だ。
2.普段の3分の1しか時間がないのに、プログラムを組んで上げるのは至難の業だ。

「神に入る」の対義語は?

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「神に入る」の明確な対義語を見つけることはできませんでした。しかし、「技術が非常に優れていて人間業とは思えないほど」と反対の意味である考えられる表現には下記も挙げられるのではないでしょうか。

その1「人間業」

「人間業」は「にんげんわざ」と読みます。類義語で紹介した「神業」と同様に、「人間技」と書かないように注意してください。人の力でできる仕事・人間の成しうることを意味することから、人間のものとは思えないほどのすぐれた技術」を意味する「神に入る」とは反対の意味であると考えられるのではないでしょうか。

ただし、「人間業」はその後ろに打消しの語「~ない」を付けて、上記で説明した意味とは反対のことを表現する際に用いられることがほとんどです。使用する際は十分注意してください。

1.あれだけ走り込みをしたのにも関わらず一切呼吸が乱れないなんて、人間業とはとても思えない。
2.一度聞いた話を一言一句たがわず暗唱できるなんて人間業とは思えない。

その2「普通」

「普通」(ふつう)は下記の3つの意味があります。

\次のページで「「神に入る」を使いこなそう」を解説!/

1.いつでもどこにでもあって、めずらしくない・こと
2.ほかと比べて特に変わらない・こと
3.特別ではなく、一般的である・こと

出典:大辞林 第3版(三省堂)

上記の意味通り、「普通」は全体から見て一般的、平均的であるという様子を表します。このことから、明確な対義語ではありませんが、技術が非常にすぐれていてとても人間わざとは思えないほどを意味する「神に入る」と反対の意味を持つと考えられるのではないでしょうか。

また、上記で示した意味は名詞ですが、副詞として用いる場合は、その事柄が多くの事例が多くの事例に当てはまるさま、いつもそうではないがほとんどそうであるさまという意味を持ちます。あわせて覚えておきましょう。

1.SNS上では才能に溢れた人気者に見えるが、いざ会ってみると普通の人だった。
2.遅刻をしそうになったら、普通は会社に電話を入れておくものだ。

「神に入る」を使いこなそう

この記事では「神に入る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「神に入る」は「しんにいる」と読む述語です。「かみにはいる」と読まないように注意してください。技術が非常にすぐれていてとても人間業には思えないほどだという意味なので、ただ平均より少し上手いだけの場合に使うのは避けましょう。

また、類義語として「神業」「至難の業」を挙げました。どちらも意味は似ていますが、ニュアンスが異なるので、それぞれ意味を確認しておいてください。

なお、「神に入る」の明確な対義語は見つかりませんでしたが、非常に秀でていて一般的に見ても特殊であるという観点から考えると、「人間業」「普通」が反対の意味を持つと考えられるのではないでしょうか。

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国語言葉の意味

【慣用句】「神に入る」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターがわかりやすく解説!

この記事では「神に入る」について解説する。

端的に言えば「神に入る」の意味は「技術が非常にすぐれ、人間業には思えない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「神に入る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を生かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい説明で解説していく。

「神に入る」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「神に入る」という表現をご存知ですか?日常生活でなかなか使われることのない表現ですが、意味をしっかり押さえれば、まわりから一目置かれる言い回しとして使える表現です。ここでは、そんな「神に入る」について詳しく解説していきたいと思います。

それでは早速「神に入る」の意味や使い方を見ていきましょう。

「神に入る」の意味は?

「神に入る」には、次のような意味があります。

技術が非常にすぐれ、とても人間わざとは思えないほどである。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「神に入る」は「しんにいる」と読む慣用句です。プロのスポーツ選手や熟練の職人など、その人の持つ技術が人間離れをしていて、まるで神様の技であるかのような常人のものとは思えない領域まで達している様子を表す場合に用いられます。

「神に入る」の使い方・例文

「神に入る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「神に入る」の類義語は?違いは?」を解説!/

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