突然ですが、なぜ血は赤色なのでしょうか?それは血液に「ヘモグロビン」という赤色の色素をもったタンパク質が含まれているからなんです。このヘモグロビンは酸素と結びつく性質があり、この性質のおかげで全身に酸素を運ぶことができる。また、地球上には赤色の血だけではなく青色の血をもつ動物も存在します。青色の血はヘモグロビンの代わりにヘモシアニンというタンパク質が働くこと青色になっているんです。また、なぜ血は赤色なのに手首に見える血管は青色なんでしょうか?今回はそんな血液の謎について、学生時代、獣医学部で動物のことを勉強していたライターみんちが解説します。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

血が赤色の正体はヘモグロビンだった

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血が赤く見える正体はヘモグロビンというタンパク質が関係しています。ヘモグロビンは赤色の色素をもったタンパク質なため、赤色に見えるんですよ。このヘモグロビンは血液の主成分である赤血球に多く含まれているため、血液全体が赤く見えるんですね。ここからは赤血球やヘモグロビンの働きについて詳しくみていきましょう。

ヘモグロビンとは?

ヘモグロビンは赤色色素タンパク質とも言われており、つまり、赤色の色素をもった色素タンパク質なんです。色素タンパク質は色素を結合しているタンパク質の総称で、金属を含んでいることが多く、ヘモグロビンも鉄を含んでいます。ヘモグロビンは英語で「Hb」と略されます。

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赤血球の主成分

赤血球の主成分

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赤血球とは、中央部分がへこんだ形の円盤状の細胞。血液の主成分であり、全身の細胞に酸素を届ける「運送屋さん」としても知られています。

赤血球には核はなく、ミトコンドリア、リボソーム、小胞体などの細胞小器官もありません。その代わり赤血球の95%がヘモグロビンで構成されている。赤血球=ヘモグロビンと言っても過言ではないですね。ヘモグロビンは人の場合、骨髄の赤血球細胞で作られ、寿命は約120日ほどです。

全身に酸素を運ぶ役割

ヘモグロビンは「ヘム」という部位と、タンパク質の「グロビン」という部位で構成されています。「ヘム」は鉄を含んであり、酸素と結びつく力が強く、このおかげで全身に酸素を運ぶことができるんですよ。ちなみにこの「ヘム」の部分が赤色素をもっているため、血液全体も赤く見えるんです。また、ヘモグロビンは酸素と結びつくことでより鮮やかな赤色になるという特徴もあります。

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動脈を流れる血液には酸素が多く含まれているため色は鮮やかな赤です。一方、静脈を流れる血液は酸素が少なく二酸化炭素が多いため、赤黒い色をしています。これは静脈を流れる血液中のヘモグロビンが酸素と結合していないからだったんですね。

血液検査などを受けると「血色素量」という項目があるのですが、それはヘモグロビン量のことを指しているんですよ。鉄分が足りていないと赤血球はヘモグロビンを合成できないため、数がどんどん減ってしまうんです。

ヘモグロビン量が少ないと、十分な酸素を全身に届けることができないため、動悸、息切れ、疲労感などが起きやすくなり鉄欠乏性貧血になりやすくなってしまいます。逆にヘモグロビンの値が高くても多血症や脱水症状の可能性も考えられますよ。健康診断などでもし機会があったら注目してみてくださいね。

 

青い血をもつ動物も存在する?!

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ここまでで、私たちの血はヘモグロビンによって赤色をしているということがわかりましたね。しかし地球には、なんと青色の血を持つ動物も存在しているんですよ。

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イカやタコなど

イカやタコなどの頭足類、アワビなどの腹足類、エビやカニなどの甲殻類の血は鮮やかな青色をしています。これらの生物の青い血の正体はヘモシアニンというタンパク質。ヘモグロビンの代わりにこのヘモシアニンが酸素の運搬を担っているんです。青い血だなんてなんとも奇妙な気がしますが、その働きは私たち人の血液と変わらないんですね。

ヘモシアニンは銅を含む

ヘモシアニンはヘモグロビンと違って鉄ではなく“銅”が含まれています。ヘモシアニンは本来は無色透明ですが、この銅が酸素の運搬を行い、酸素と結びつくことで鮮やかな青色に変わるのです。

また、ヘモシアニンは巨大な分子構造をしています。ヘモグロビンの分子量が64,500であるのに対して、ヘモシアニンは2,500,000以上とかなりの大きさだということがわかりますね。これは自然界でも最も大きなタンパク質分子のひとつとも言われているんですよ。この巨大な構造は、酸素を運搬する際、酸素と結びついたり手放したりするのを効率的に行えるという点でヘモグロビンよりも優れています。

血は赤いのに血管が青く見えるのはなぜ?

ここまでで血が赤色に見える理由や、血が青色の生物がいることがわかりましたね。ところで、手首や腕の内側を見ると血管が青っぽく見えますよね?血は赤いはずなのにどうして血管は青っぽく見えるのでしょうか?

よく、「静脈を流れている血液が酸素が少ないため青っぽく見えるのでは?」と思われがちですが、実は違うんですよ。

どうして血管が青く見えるのかというと、光の波長の違いが関係しているからなんです。私たちが見えているものは様々な色の集まりの光なのですが、赤い光と青い光を比べると、赤い光は波長が長く、青い光は波長が短いという特徴があります。

波長が長い光は、光を通しやすい特徴があるため、赤い光は皮膚の内部で乱反射してから血管に吸収されます。しかし、波長の短い光は透過性が弱いため、青い光は皮膚の表面近くで反射するんです。その結果、血管部分での赤い光は吸収されて弱まるため認識できませんが、青い光は吸収されずに反射して目に届くため青く見えるというわけですね。

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血は赤色だけじゃなかった!

ここまで読んでいただきありがとうございました。今回は、血が赤色をしている理由についてお話してきましたね。血が赤色をしている理由はヘモグロビンというタンパク質が多く含まれているから。ヘモグロビンは赤血球の中に存在しており、酸素を全身に運ぶ大切な役割を担っているんですね。また、青色の血をもつ動物についても紹介しました。イカやタコなどの血液にはヘモグロビンの代わりにヘモシアニンというタンパク質が含まれており、これは銅が含まれているため、酸素と結合すると青色に見えるのでしたね。単に血液と言っても様々な物質が含まれた液体であり、意外と複雑な構造をしていたんですね。血液検査などを受ける機会があったら、ぜひ赤血球やヘモグロビンの値に注目してみてくださいね。

画像使用元:いらすとや

" /> どうして血は赤色なの?ヘモグロビンや青色の血の動物についても獣医学部卒ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
タンパク質と生物体の機能理科生物雑学

どうして血は赤色なの?ヘモグロビンや青色の血の動物についても獣医学部卒ライターがわかりやすく解説!

突然ですが、なぜ血は赤色なのでしょうか?それは血液に「ヘモグロビン」という赤色の色素をもったタンパク質が含まれているからなんです。このヘモグロビンは酸素と結びつく性質があり、この性質のおかげで全身に酸素を運ぶことができる。また、地球上には赤色の血だけではなく青色の血をもつ動物も存在します。青色の血はヘモグロビンの代わりにヘモシアニンというタンパク質が働くこと青色になっているんです。また、なぜ血は赤色なのに手首に見える血管は青色なんでしょうか?今回はそんな血液の謎について、学生時代、獣医学部で動物のことを勉強していたライターみんちが解説します。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

血が赤色の正体はヘモグロビンだった

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血が赤く見える正体はヘモグロビンというタンパク質が関係しています。ヘモグロビンは赤色の色素をもったタンパク質なため、赤色に見えるんですよ。このヘモグロビンは血液の主成分である赤血球に多く含まれているため、血液全体が赤く見えるんですね。ここからは赤血球やヘモグロビンの働きについて詳しくみていきましょう。

ヘモグロビンとは?

ヘモグロビンは赤色色素タンパク質とも言われており、つまり、赤色の色素をもった色素タンパク質なんです。色素タンパク質は色素を結合しているタンパク質の総称で、金属を含んでいることが多く、ヘモグロビンも鉄を含んでいます。ヘモグロビンは英語で「Hb」と略されます。

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