端的に言えば神経に触るの意味は「不愉快な感情を刺激し、腹が立つ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「神経に触る」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/eastflower
今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「神経に触る」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。
「神経に触る」の意味は?
まずは、「神経に触る」の辞書の意味を見ていきましょう。
1. 神経によくない影響があらわれる。また、不愉快な感情を刺激する。腹だたしく思う。癇にさわる。
出典: 日本国語大辞典(精選版)「神経に障る」
「神経に触る」(しんけいにさわる)の神経(しんけい)とは、人間などの多細胞動物が持つ特有の器官のことで、体のすべての器官の働きを結合したり、制御したりする機能を有し、生命を維持していくのに欠かすことのできない系統のことです。具体的には、神経系統(しんけいけいとう)は、体の内外から受けた刺激を感受して中枢に伝え、その刺激に応じてそれぞれの器官が調整するように動くのですね。ですから、神経は体のセンサーだと言えるかもしれませんね。
「神経に触る」の「さわる」は、「触る」という漢字があてられる場合もありますし、「障る」という漢字があてられる場合もありどちらもよく使われます。「障る」(さわる)は、「障害」(しょうがい)の「障」(しょう)の字です。「障る」の意味は「妨げになる」、「差し支える」、「邪魔になる」、「害になる」の意味を持ちます。「神経に触る」は全体として、辞書に説明されている通り、「神経によくない影響があらわれる」という意味ですが、そこから派生して、「不愉快な感情を刺激する」という意味で使われるようになっていきました。
「神経に触る」の語源は?
次に「神経に触る」の語源を確認しておきましょう。
「神経に触る」の「神経」という言葉が初めて使われたのは、1774年(江戸時代)に杉田玄白(すぎたげんぱく), 前野良沢(まえのりょうたく)らが翻訳した解剖学書である「解体新書」(かいたいしんしょ)で使われた単語だと考えられています。「神経」とは、「神気の経脈」(しんきのけいみゃく)という意味で使われていたようで、「万物のもとである精神の源を担う経路」のような存在だと理解されていたようです。しばしば神経痛の痛みは、「ズキズキ」や「ジンジン」や「ピリピリ」などの擬音語で表現されますが、確かに愉快なものではないですよね。
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