ライター/きき
大学生の頃は農学部に所属し植物のことを勉強した。現在は大学院に進学し植物のことを研究中。生物や植物の面白さを伝えられるライターを目指している。
雌雄異株とは?
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花と言えば、中心に雌しべがあり、その周りに雄しべを持つものを想像しがちですが、実は、全ての植物の花がこのような構造をしているとは限らないのです。その1つとして「雌雄異株(しゆういしゅ)」があります。
「雌雄異株」とは、雌花(めばな)と雄花(おばな)を別の個体に付ける種子植物のこと。そもそも、「雌花」とは、雌しべのみ機能している花のことであり、「雄花」は雄しべのみ機能している花のことです。そして、雌花は「雌株」に、雄花は「雄株」に付きます。
詳しいことは後ほどご紹介しますが、雄株と雌株に分けたことで、長く生存するための大きなメリットが生まれたと同時に、デメリットも生じてしまったのです。
雌雄異株の利点と欠点の話に進む前に、まずは雌雄異株とよくセットで耳にする雌雄同株(しゆうどうしゅ)について学びましょう。
雌雄同株との違いは?
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上記の図のように、雌雄異株は雄花と雌花が別個体につくのに対して、雌雄同株は同じ個体に雌花と雄花の両方をつけるのです。雌雄同株の植物の例として、トウモロコシ、キュウリ、スイカ、カボチャなどが挙げられます
雌雄異株のメリット
雌雄異株である主なメリットとして「自家受粉を免れられること」が挙げられます。そもそも自家受粉とは何なのか、それをなぜ避ける必要があるのかについても学んでいきましょう。
自家受粉を避けられる
自家受粉とは、ある花に形成される花粉が同じ個体で形成された柱頭にくっつく(受粉する)ことです。この場合、確実に受粉が成功し、子孫を残せるというメリットがあります。しかし、これは近親交配になってしまうので、遺伝的多様性が低下することで、様々な環境に対応できなくなり子孫を残せないという可能性が高くなってしまうのです。さらに、近い遺伝子同士が交配することで、有害な表現形質が現れる(近交弱性という)こともあります。
雌雄異株は雄花と雌花がそれぞれ違う個体に存在することで、自家受粉を完全に避けることが可能です。その代わり、他家受粉(花粉が別個体の花の雌しべに受粉すること)することで、遺伝的多様性を保ちながら子孫を残すことができます。
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