植物に詳しい現役理系学生ライターのききと一緒に解説していきます。
ライター/きき
大学生の頃は農学部に所属し植物のことを勉強した。現在は大学院に進学し植物のことを研究中。生物や植物の面白さを伝えられるライターを目指している。
長日植物ってどんな植物のこと?
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長日植物とは、暗期の長さが限界暗期以下になると花芽形成が行われる植物のことです。これは何を意味しているのでしょうか。
植物は1日の夜の時間(暗期)と昼の時間(明期)のバランス(光周期)を感知することによって、花芽をつける(花芽形成)という性質を持ち合わせています。そして、花芽形成に影響を与える連続した暗期を限界暗期というのです。
これらのことを踏まえると、長日植物は「1日の日照時間が一定時間より長くなると花を咲かせる植物」という意味になりますね。
長日植物のほかに、短日植物と中性植物(または中日植物)も存在し、短日植物は「暗期の長さが限界暗期以上になると花を咲かせる植物」であり、中性植物は「日長に関係なく花芽を形成する」という性質があります。このように植物によっては、日照時間の変化で花を咲かせるかどうかが決まるのです。
長日植物の特徴とは?
長日植物は限界暗期よりも暗期が短くなることで花芽形成が誘導されるという植物であることを学びましたね。この他にも長日植物の重要な特徴が2点あるので、しっかり頭に入れておきましょう。
特徴1:春咲き、秋まき、越年生植物が多い
春咲き、秋まき、越年生植物が多いのは限界暗期の長さが関係しています。春に種をまき春の終わり頃に芽がでる「春咲き生植物」、秋に種をまき夏に開花・結実する「秋まき生植物」、秋に発芽して翌春に開花・結実する「越年生植物」はいずれも花が咲く時期の暗期の長さ(もしくは日長)が共通していることがわかりますね。
限界暗期の長さについては後ほど詳しく解説します。
特徴2: 花芽形成するために「春化処理」が必要とするものもある
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「春化処理」とは、吸水した種子を一定期間にわたって低温状態にさらすことであり、常温に戻したときに花芽形成が誘導されるのです。
例として、秋まきコムギを春に播いて開花・結実させるための春化処理が有名ですよね。もともと、秋まきコムギは、秋に種を播いて寒い冬を乗り越えて春に成長、夏に開花・結実します。しかし、春化処理をせずに春に播いてしまうと発芽はするものの、開花・結実はしません。このことから、秋まきコムギを春に播くならば一定期間の低温にさらす必要があり、春化処理は欠かせないのです。
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