今回は、睡眠のことについて話していきます。眠くなったり、覚醒したりするホルモンを出しているのは、松果体という内分泌器です。睡眠のこと以外にも様々なことに関係しているぞ。松果体はあまり聞いたことがない人が多いでしょう。そこで今回は、生物に詳しいライターmimosa(ミモザ)と一緒に現在分かっている松果体と睡眠のメカニズムについて解説をしていきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

松果体について

まず最初に松果体とは何か、どのような器官かについて説明していきますよ。

松果体はどこにあるのか

松果体はどこにあるのか

image by Study-Z編集部

松果体とは、脳の中央に位置していて、大きさはなんとグリンピース1個分くらい(1cm弱)という小さな内分泌器なんですね。間脳の背面にある、メラトニンというホルモンを分泌する内分泌腺です。2つの大脳半球の間に位置していて、間脳の一部の2つの視床体が結合する溝の間にありますよ。

人間の松果体は、松果体細胞から構成されている分葉状の柔組織です。ほとんどが松果体細胞で構成されますが、それ以外に間質細胞血管周囲性の食細胞松果体ニューロンペプチド含有ニューロン状細胞で構成されていますよ。

松果体の働き

松果体は、メラトニンというホルモンを分泌します。このメラトニンは概日リズムを制御していますよ。概日リズムという言葉を聞いたことない人は、「体内時計」は聞いたことはあるでしょうか。だいたい同じものと思ってもらって大丈夫です。概日リズムについては後に説明しますね。松果体が概日リズムを制御しているということがわかったのは、1960年代。さらに、「体内時計の分子生理学的仕組み」という研究で、ノーベル医学・生理学賞を受賞しています。これは、2017年のことですよ。

この研究でわかったことは、体内時計は、睡眠覚醒サイクルだけでなく、血圧、体温、消化酵素や内分泌ホルモンの分泌周期、免疫反応などをコントロールするということです。

様々な働きをする松果体ですが、その働きの中でも睡眠について話を掘り下げていきましょう。

概日リズムについて

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松果体が分泌するメラトニンが概日リズムを調整するホルモンということがわかりましたね。では、概日リズムとは何でしょうか。体内時計と言えばわかりやすいでしょうか。もしくは、生物時計とも言いますよ。では、概日リズムについて説明していきますね。

生物時計

概日リズムについてお話しする前に、生物時計についてお話しますね。生物時計とは、私たち人間を含めた生き物が生まれながらに備わっている、時間を測定するしくみのことですよ。この生物時計は無意識下で私たちの行動に大きな影響を与えているのですよ。

例えば、渡り鳥などの鳥類が航路で迷うことなく目的地を目指すことができること(太陽コンパスと呼ばれます)、ミツバチの、太陽が見えない箱の中でも仲間に蜂蜜の場所を教える八の字ダンス、植物の成長や開花も太陽に影響されるので、これも生物時計と言えますね。

 

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概日リズムとは

生物時計の種類は複数あって、よく知られているものに、光周期性や概日リズムがあります。光周期性は、植物が日々の昼の長さ、夜の長さによって反応を変え、また年周期的な変化(夏至や冬至など二中の長さを考慮)をしますよ。

概日リズムは、生体に備わったとくに自律性をもつ内因性のリズムであり、一日約24時間の周期で生体内の変化があることですよ。

実は、生物の体内の日周リズムは正確に24時間ではありません。おそよ25時間周期であると言われていますよ。そうすると、少しずつ体内時計はずれてしまいます。このずれを修正するためには日光に当たるのが必要ですよ。暗いとき(夜)、明るいとき(日中)で光の有無によって体内時計を修正しています。

メラトニンとは

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メラトニンは脳の中に松果体(しょうかたい)でセロトニンを材料につくられるホルモンです。セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれることもありますね。

メラトニンの合成と分泌の量は夜間に高く昼間に低いという一定した特徴がありますので、体内時計に深く関係していますよ。メラトニンは睡眠を促す作用があるので、夜にたくさん分泌されると、夜に眠り、分泌が少ない朝には起きるというリズムができますね。

\次のページで「メラトニンをたくさん分泌させるには」を解説!/

メラトニンをたくさん分泌させるには

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睡眠をうまくとれない人にとっては、メラトニンをたくさん分泌すれば、睡眠が改善されるでしょう。では、どのようにしたら、メラトニンがたくさん分泌されるでしょうか。

メラトニンは、朝日を浴びて14-16時間後に最も分泌量が多くなりますよ。また、朝日を浴びることによって、メラトニンの原料であるセロトニンの分泌も増えますよ。

メラトニンの分泌を妨げる行為

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メラトニンの分泌を妨げる行為は、寝る前にたくさん光を浴びてしまうことです。心当たりはないのに、よく眠れていないと感じる人は、スマホを寝る直前まで操作しているのではないでしょうか。スマホなどの画面から発しているブルーライトは、メラトニンの分泌量の低下に関連していますよ。スマホの使用は、寝る2時間前までが望ましいでしょう。

松果体は体内時計と深いかかわりがある

松果体は、脳の中心に位置する小さな内分泌器です。睡眠に関する重要なホルモンのメラトニンを分泌しますよ。

まだ睡眠については謎が多いです。現在でももちろん、睡眠について、松果体や体内時計の研究は進んでおり、2017年には、体内時計には、睡眠覚醒サイクルだけでなく、血圧、体温、消化酵素や内分泌ホルモンの分泌周期、免疫反応などをコントロールするということがわかっており、この研究はノーベル医学・生理学賞を受賞していますよ。

体内時計ヒトの松果体は、爬虫類のように直に光の感受に関わるわけでは、ありませんが、メラトニンやセロトニンの分泌を語るうえで、「光」はキーワードになってきますよ。

きちんと夜眠るためには、しっかり朝日を浴びることが大事ですよ。

このように、睡眠に関するメラトニンが体内時計に関係する、ということは、松果体は体内時計、特に概日リズムと関係があるということがわかりましたね。

今日の科学医学の発展は目覚ましいです。睡眠は、私たちの寝ている無意識の状態なので、わかっていないこともあるので、これからも新しいことが発見されることでしょう。

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体の仕組み・器官理科生物

睡眠を司る小さな内分泌器官、松果体とは?医学系研究アシスタントがわかりやすく5分で解説

メラトニンをたくさん分泌させるには

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睡眠をうまくとれない人にとっては、メラトニンをたくさん分泌すれば、睡眠が改善されるでしょう。では、どのようにしたら、メラトニンがたくさん分泌されるでしょうか。

メラトニンは、朝日を浴びて14-16時間後に最も分泌量が多くなりますよ。また、朝日を浴びることによって、メラトニンの原料であるセロトニンの分泌も増えますよ。

メラトニンの分泌を妨げる行為

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メラトニンの分泌を妨げる行為は、寝る前にたくさん光を浴びてしまうことです。心当たりはないのに、よく眠れていないと感じる人は、スマホを寝る直前まで操作しているのではないでしょうか。スマホなどの画面から発しているブルーライトは、メラトニンの分泌量の低下に関連していますよ。スマホの使用は、寝る2時間前までが望ましいでしょう。

松果体は体内時計と深いかかわりがある

松果体は、脳の中心に位置する小さな内分泌器です。睡眠に関する重要なホルモンのメラトニンを分泌しますよ。

まだ睡眠については謎が多いです。現在でももちろん、睡眠について、松果体や体内時計の研究は進んでおり、2017年には、体内時計には、睡眠覚醒サイクルだけでなく、血圧、体温、消化酵素や内分泌ホルモンの分泌周期、免疫反応などをコントロールするということがわかっており、この研究はノーベル医学・生理学賞を受賞していますよ。

体内時計ヒトの松果体は、爬虫類のように直に光の感受に関わるわけでは、ありませんが、メラトニンやセロトニンの分泌を語るうえで、「光」はキーワードになってきますよ。

きちんと夜眠るためには、しっかり朝日を浴びることが大事ですよ。

このように、睡眠に関するメラトニンが体内時計に関係する、ということは、松果体は体内時計、特に概日リズムと関係があるということがわかりましたね。

今日の科学医学の発展は目覚ましいです。睡眠は、私たちの寝ている無意識の状態なので、わかっていないこともあるので、これからも新しいことが発見されることでしょう。

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