今回は、蒸留と分留の違いと使い分けについて学んでいこう。テストや入試でよく出てくる項目だから、一度きちんと理解しておくように。化学に詳しいライターの小春と一緒に解説していきます。
- 蒸留と分留の違いは「なし」!分留は蒸留の一種
- 蒸留と分留の定義の違いは?
- 蒸留とは、液体の混合物を分離する操作の一種
- 分留とは2種類以上の液体の混合物を、沸点の違いを利用して分離する操作
- 蒸留と分留の目的とは?
- 蒸留の目的:不純物を取り除き高付加価値な液体を生み出す
- 分留の目的:混ざり合った混合溶液から3種類以上に分ける
- 蒸留と分留の実験や操作内容をご紹介!
- 蒸留の実験法は?
- それぞれの実験で使われる実験器具
- 蒸留の実験の注意点!テストや受験に頻出のポイントを解説
- 日常で見かける「蒸留」「分留」
- 蒸留の例「蒸留酒」
- 分留は蒸留の一種!混合物を1回の蒸留で分離できるかどうかがポイント!
この記事の目次
ライター/小春(KOHARU)
大阪大学・大学院で化学を専攻。卒業後はメーカーで開発を担当。最先端の有機デバイスやセンサー開発について詳しい。
結婚を機に退職した今は、子供に身の回りの自然科学や家電の仕組みをどのように教えるか、日々考えている。
蒸留と分留の違いは「なし」!分留は蒸留の一種
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蒸留は英語でdistillation 、分留(分別蒸留)はFractional distillationと言います。この名前を見て分かる通り、分留は蒸留の一種なのです。緑茶と煎茶の違いをイメージしたら分かりやすいかもしれません。分留は蒸留の中に含まれています。
元の混合物が「液体と固体」か「液体同士」かで見分けるという人もいるでしょう。これは覚え方としては良いかもしれませんが、理解としては少し甘いかもしれません。
蒸留と分留の定義の違いは?
分留は蒸留の1種だとざっくりお伝えしましたが、詳しく説明する前にまずはそれぞれの定義を復習しましょう。
蒸留とは、液体の混合物を分離する操作の一種
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混ざってしまった物質を分けるとき、それぞれの物質が固有に持っている性質を活かせば、それらを再び分けることができます。蒸留は、液体の混合物(液体と液体、または液体と固体)を沸点の差を利用して分離する手法です。余談ですが、なぜ物質同士で沸点が違うのかというと分子のサイズが違うためですが、長くなるのでここでは割愛します。一般に、分子量が大きいほど沸点は高くなると覚えれば十分でしょう。
液体の混合物を加熱しているとき、先に気体になるのはより沸点が低い成分ですね。
先に気化した成分だけを集めてみましょう。この気体を冷やしていけば状態変化が起き、加熱する前の状態(液体または固体)に再び戻ることが想像できますか?これで、混合物を2種類に分けることができました。この操作を蒸留と呼びます。
分留とは2種類以上の液体の混合物を、沸点の違いを利用して分離する操作
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分留は、分別蒸留の略称です。すなわち分留は蒸留の一種といえます。
3種類以上の成分が混じった溶液の場合、それぞれの成分に分けるためには蒸留を繰り返さなくてはなりません。この操作を分留と呼んでいます。
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