それが面白いんですけどね!
何はともあれ、「分類学上の肉鰭魚(肉鰭類)」を考えると少々話が複雑になってしまうので、今回は「一般的に肉鰭類と認められている魚類」について、解説をしていきたいと思います。
肉鰭魚は大きく2つに分けられる
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現生の肉鰭魚は、大きく2つのグループに分けられると考えられます。シーラカンスとハイギョの仲間です。
どちらの仲間も肉鰭魚の特徴である”肉質のヒレ”をもっていますが、長い進化の道筋を経て、その姿かたちには今やかなりの相違点がみられます。シーラカンスとハイギョ類それぞれについて、特徴や具体例などを見ていきましょう。
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肉鰭魚の仲間1:シーラカンス
シーラカンスは肉鰭魚に属する生物の一つです。
もともとシーラカンスの仲間は化石として多く産出し、現在はすでに絶滅してしまった生物だと考えられていました。古生代という地質時代の地層からも化石が見つかりますが、恐竜の絶滅が起きた時代(中生代白亜紀末期)以降の化石が見つからなかったのです。
ところが1938年に生きているシーラカンスが発見されました。
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その姿かたちは化石として見つかる種とそれほど変わりませんでした。まさしく『生きた化石』といえます。恐竜が繁栄するより前の時代に出現し、ひっそりと海中で命をつなぎ続けていたのです。
その後も幾度か生きて泳いでいる姿が目撃されていますし、捕獲され研究に供されたものもいます。しかしながら、やはり個体数は少ないようで、まだ研究の余地がある希少な生物です。
現生種は分布域や体色が異なる2種とする説と、それらを1種とする説があります。いずれもラティメリア属という属に分類されていますね。
シーラカンスの特徴
現生のシーラカンスは、体長1~2mほど。ずんぐりとした体で、体重は100kgを超えることも少なくありません。おもに深海に生息し、魚やイカなどの生物を捕食しているようです。
私たちが一般的に知る硬骨魚よりも多くのひれをもちます。とくに胸鰭(むなびれ)や腹鰭(はらびれ)などはしっかりした骨格と筋肉で支えられていて、これこそが”肉鰭”の由来です。その構造は、両生類によく似ているともいわれます。
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骨格にも面白い特徴があります。シーラカンスは硬骨魚であるにもかかわらず、ほぼ全身の骨が軟骨でできているんです。
背骨(脊椎骨)も私たちのもつような硬い骨に発達しておらず、脊柱(せきちゅう)とよばれる中空の管に液体を満たしています。また内臓を保護する肋骨などもありません。
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