
肉鰭魚は魚類の仲間ですが、非常に興味深い特徴をもった生物です。我々人間が登場するまでの進化の過程でも重要な存在といわれている。どんな生物が当てはまるのか、どんな特徴があるのか…この機会に確認していこう。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらうぞ。

ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
「ヒレ(鰭)が肉」の肉鰭魚
肉鰭魚…少々読みにくい用語ですが、「にくきぎょ」とよみます。
肉鰭魚は魚の仲間でありながら、そのヒレ(鰭)が肉質になっている生物をまとめた呼び名です。一般的には「肉鰭類(にくきるい)」という言葉を使う方が多いかもしれません。
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分類学上は、脊椎動物にふくまれる硬骨魚綱(硬骨魚類)の下位分類である肉鰭亜綱(肉鰭下綱とすることもある)に属する生物、と説明されることもあります。
しかしながら、肉鰭亜綱という分類群を設定すると、他の生物の分類にすこし影響があるため、一般的にはあまり分類学上の「肉鰭亜綱」にとらわれず、肉鰭類に独特の述べる特徴がある魚を「肉鰭魚」と呼ぶことが多いようですね。
簡単にいってしまうと、私たちも肉鰭魚になるのです。
生物の進化の道筋を表した系統樹を書き、肉鰭亜綱という分類群を想定すると、その中に我々人間を含めた哺乳類や、他の四足動物(四肢動物)もふくまれてしまうんですよ。
では”ヒレが肉質になっている魚の部分だけを肉鰭亜綱とすればいい”と思われるかもしれませんが、そうすると肉鰭魚は系統樹上では”ひとつのまとまり”とみなされない側系統とよばれる分け方になります。
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