今回のテーマはみんなの周囲にある空気です。

混合物である空気。空気に含まれているものはなんだ?まず酸素を覆い浮かべる人が多いでしょう。しかし酸素はわずか2割程度しかない。では残りの成分はなんでしょうか。実は空気のほとんどは窒素なんです。

それでは空気の組成やその性質を解説する。担当は周期表マニアの科学館職員、たかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

高校は化学部、大学は工学部化学系、元素周期表マニアのリケジョ。大学受験の勉強では記述対策のため、よく化学用語辞典や学習参考書を読んでいた。赤ちゃんから中学生、高校生、保護者と子供から大人にまで喜んでほしいと化学実験ショーの研究に明け暮れている。

空気ってなんだ?何が含まれる?

image by PIXTA / 65846380

皆さんの周りにある空気。空気を知らない人はいないでしょう。ではその定義を気にしたことはありますか?

空気をコトバンクで調べると、次のようにか書かれています、

地球を包む大気の下層部分を構成している無色透明な気体をいう。大気は地上約1000キロメートルまで存在するといわれ、その最下部の対流圏(地上から約10~17キロメートル)、その上の成層圏(地上約48キロメートルまで)までは、いわゆる空気とよんで、地上から高くなるにつれて密度は減少していくが、その組成は変わらない。

空気は歴史的に生成されたもので、空気がなければ、地表は太陽の激しい光、熱、宇宙線、宇宙塵(じん)などに直接さらされることになり、また炭酸同化も呼吸も窒素固定も行われず、生物は存在することもできない。さらに空中を音が伝わらず、物が燃えることもなく、大気圧や風や雨も存在しない。 

空気という物質はありません。空気は混合気体で、つまりいろいろな物質が混ざったもので主成分は窒素です。そして空気のほとんどは窒素と酸素になります。

乾燥空気の組成はこちらです。

 

空気の体積割合

窒素 78.084

酸素 20.9476

アルゴン 0.93

二酸化炭素 0.0314

その他 ネオン、ヘリウム、クリプトン、キセノン、水素、メタン

単体、化合物、混合物の定義はこちらで。

気体についてはこちらの記事もどうぞ。

空気を構成する気体

空気を構成する気体

image by Study-Z編集部

空気を構成する物質を紹介します。

空気の主成分窒素

image by PIXTA / 78660468

空気の8割は窒素N2です。常温では気体の窒素ですが-196℃まで冷やすと液体となります。これが実験の冷却剤やショーの演出として使われる液体窒素です。

分子式 N2

分子量 28.01

沸点 -195.79

液体窒素は急激にものを凍らせることができ、例えば果物も一瞬で凍らせてしまいます。ただし、体にかかると凍傷などになる可能性があり大変危険です。また液体窒素は気体になると一気に体積が大きくなり、狭い空間でこぼすと一気に蒸発して充満してしまい窒息する恐れがあります。そのため、液体窒素を使う研究者や学生の間では液体窒素を運ぶときは同じエレベーターに乗らないのが常識です。また容器中に密閉すると液体から気体に戻った時に破裂してしまうことも。

窒素はその名の通り窒息してしまう気体です。そのため有毒空気、駄目な空気と呼ばれていたこともあります。日本の窒素という名前は、ドイツ語の窒素が窒息させる物質という意味でStickstoffと名付けられたのを訳したものです。取り扱い注意な窒素ですが、アミノ酸などとして生物の体に欠かせない元素でもあります。

\次のページで「生命に欠かせない酸素」を解説!/

生命に欠かせない酸素

image by PIXTA / 82018784

酸素は常温常圧で無色無臭の気体です。宇宙で水素(H)、ヘリウム(He)に続く3番目に多い酸素、地殻中では最も多い元素になります。これは地殻を構成しているのが石英(SiO2)ためです。ちないに地殻に存在する元素は多い方から順に酸素(O)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)の順となっているので覚えておきましょう。

酸素は医療現場では安定した呼吸を促すために、工業や実験では酸化剤や燃焼剤として使われています。またスキューバダイビングをしたことのある人は酸素ボンベを実際にしょったことがあるかもしれませんね。

分子式 O2

分子量 32.0

沸点 -182.96

酸素は助燃性を持っています。助燃性とは物質が燃焼するのを助ける性質のことで、燃焼とは酸化の一種で激しく酸素と物質が結びつく現象のことです。酸化ってなんだっけ?という人にはこちらの記事を読んでくださいね。

image by PIXTA / 83162265

さて酸素はどうやって作るのでしょうか。工業的には空気を冷却し他の気体と分留するという方法で、実験室では過酸化水素(H2O2)を触媒によって分解することで得ることができます。授業で実際に実験したことがある人もいるかもしれませんね。

実は酸素は、家で簡単に作ることができます。過酸化水素とは消毒薬オキシドールの濃度が濃いもののことです。そのためオキシドールは薬局で購入することができます。そしてオキシドールにレバーやジャガイモ、大根を加えると含まれる酵素、カタラーゼが触媒として働き酸素が発生するのです。

気体の集め方はこちらの記事を参考にしてくださいね、

\次のページで「実は多い、希ガス」を解説!/

実は多い、希ガス

image by PIXTA / 2359453

希ガスとは周期表の18族に属する元素のことでヘリウムHe、ネオンNe、アルゴンAr、クリプトンKr、キセノンXe、ラドンRnが該当します。大気中にはアルゴンをはじめとに希ガスが微量ですが含まれているのです。

希ガスについてはこちらの記事を参考にしてください。

予想より少ない?二酸化炭素

image by PIXTA / 80504014

炭素の酸化物である二酸化炭素。水に溶けやすく、炭酸水の泡の素がこの二酸化炭素です。呼吸や人間の経済活動によって発生する二酸化炭素ですが、植物の光合成によって酸素と有機物を作ることができます。

二酸化炭素といえば温暖化の原因物質として聞く機会が多いですね。しかし空気に含まれる二酸化炭素はの量はわずか0.03%。意外と少ないと感じるかもしれません。実は地球温暖化の原因物質としては二酸化炭素よりも水蒸気の方が大きな原因となっているのです。

二酸化炭素は基本的には無毒な物質ですが、空気中の濃度が3%を超すと頭痛やめまい、吐き気の原因に、7%を超すと数分で意識を失いそのまま放置すると死に至る場合もあります。ニ酸化炭素はドライアイスの正体でもありますが、ドライアイスを使うときはきちんと換気をしましょう。

分子式 CO2

分子量 44.01

沸点  -78.5℃

空気とは?

身の回りにあたりまえにある空気。その組成を知らない人もいるかもしれません。その組成と各成分の特徴を覚えましょう。

空気中で最も多いのは窒素です。それなのに窒素は生物を窒息させると考えるとちょっと不思議な気もしますね。そして生命に必要な酸素ですが、空気には2割程度しか含まれていません。しかし、その酸素のおかけで生命は呼吸し、また燃焼や酸化といった化学現象が起きているのです。

" /> 空気には何が含まれる?その成分や割合を周期表マニアの科学館職員がわかりやすく解説! – Study-Z
化学理科

空気には何が含まれる?その成分や割合を周期表マニアの科学館職員がわかりやすく解説!

今回のテーマはみんなの周囲にある空気です。

混合物である空気。空気に含まれているものはなんだ?まず酸素を覆い浮かべる人が多いでしょう。しかし酸素はわずか2割程度しかない。では残りの成分はなんでしょうか。実は空気のほとんどは窒素なんです。

それでは空気の組成やその性質を解説する。担当は周期表マニアの科学館職員、たかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

高校は化学部、大学は工学部化学系、元素周期表マニアのリケジョ。大学受験の勉強では記述対策のため、よく化学用語辞典や学習参考書を読んでいた。赤ちゃんから中学生、高校生、保護者と子供から大人にまで喜んでほしいと化学実験ショーの研究に明け暮れている。

空気ってなんだ?何が含まれる?

image by PIXTA / 65846380

皆さんの周りにある空気。空気を知らない人はいないでしょう。ではその定義を気にしたことはありますか?

空気をコトバンクで調べると、次のようにか書かれています、

地球を包む大気の下層部分を構成している無色透明な気体をいう。大気は地上約1000キロメートルまで存在するといわれ、その最下部の対流圏(地上から約10~17キロメートル)、その上の成層圏(地上約48キロメートルまで)までは、いわゆる空気とよんで、地上から高くなるにつれて密度は減少していくが、その組成は変わらない。

空気は歴史的に生成されたもので、空気がなければ、地表は太陽の激しい光、熱、宇宙線、宇宙塵(じん)などに直接さらされることになり、また炭酸同化も呼吸も窒素固定も行われず、生物は存在することもできない。さらに空中を音が伝わらず、物が燃えることもなく、大気圧や風や雨も存在しない。 

空気という物質はありません。空気は混合気体で、つまりいろいろな物質が混ざったもので主成分は窒素です。そして空気のほとんどは窒素と酸素になります。

乾燥空気の組成はこちらです。

 

空気の体積割合

窒素 78.084

酸素 20.9476

アルゴン 0.93

二酸化炭素 0.0314

その他 ネオン、ヘリウム、クリプトン、キセノン、水素、メタン

空気を構成する気体

空気を構成する気体

image by Study-Z編集部

空気を構成する物質を紹介します。

空気の主成分窒素

image by PIXTA / 78660468

空気の8割は窒素N2です。常温では気体の窒素ですが-196℃まで冷やすと液体となります。これが実験の冷却剤やショーの演出として使われる液体窒素です。

分子式 N2

分子量 28.01

沸点 -195.79

液体窒素は急激にものを凍らせることができ、例えば果物も一瞬で凍らせてしまいます。ただし、体にかかると凍傷などになる可能性があり大変危険です。また液体窒素は気体になると一気に体積が大きくなり、狭い空間でこぼすと一気に蒸発して充満してしまい窒息する恐れがあります。そのため、液体窒素を使う研究者や学生の間では液体窒素を運ぶときは同じエレベーターに乗らないのが常識です。また容器中に密閉すると液体から気体に戻った時に破裂してしまうことも。

窒素はその名の通り窒息してしまう気体です。そのため有毒空気、駄目な空気と呼ばれていたこともあります。日本の窒素という名前は、ドイツ語の窒素が窒息させる物質という意味でStickstoffと名付けられたのを訳したものです。取り扱い注意な窒素ですが、アミノ酸などとして生物の体に欠かせない元素でもあります。

\次のページで「生命に欠かせない酸素」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: