今日は「ウスターソースと中濃ソースの違い」をみていきます。
スーパーに行くと、ソースにもウスターや中濃、濃厚、とんかつなど様々な種類があるよな。ですが、何となくいつも同じものを手にしてしまってはいないでしょうか。今日これらの違いを知ることで、今度から自分の欲しいソースがどんなものなのかをしっかり認識して買い物できるようになるでしょう。
今回は世界各国から食品の輸入を手掛ける現役商社マンMIYABIと一緒に解説していきます。

ライター/MIYABI

某大手商社の食品部門に勤務する現役営業ウーマン。食材の特性や組み合わせを考えプレゼンするのが仕事であり、その知識を家事にも活かしながら料理を楽しむのを日課としている。

ウスターソースと中濃ソースの違い

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よく見かけるウスターソースと中濃ソース。その違いをあまり深く考えたことがない方も多いのではないでしょうか。ここではまず、ソースとはどんなものなのかを調べ、その上でウスターソースと中濃ソースの違いについてを見ていきましょう。

そもそもソースって?

そもそもソースとは、トマトやたまねぎ、りんご、セロリなどの野菜・果物と酢、スパイスなどを混ぜて作られる調味料です。ソースは「ウスターソース類」と呼ばれ、法律に基づく規格(JAS規格)によって「ウスターソース」「中濃ソース」「濃厚ソース」の3種に分類されています。基本の原材料に大きな違いはないものの、「粘度」「野菜や果実の含有量」「塩分量」などによってそれぞれにカテゴリー分けされるのです。

違いはズバリ「粘度の差」

ウスターソースと中濃ソースの違いで最も大きい点、それは粘度の違いでしょう。ウスターソースはさらっとした液体であるのに対し、中濃ソースはどろっととろみがありますね。これは、中濃ソースには野菜や果物の繊維が多く含まれているからです。実は、JAS規格上でも二つの粘度の規格値はきちんと区別されており、中濃ソースの粘度はウスターソースよりも高い値が設定されています。この粘度の違いは、それぞれのソースに適した使い方にも影響しているのです。

ウスターソースを詳しく

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では、まずソースの一つ目としてウスターソースについて調べていきましょう。

\次のページで「辛さしっかりでサラサラなのがウスターソース」を解説!/

辛さしっかりでサラサラなのがウスターソース

ウスターソースはイギリスのウスターシャー地方が発祥とも言われるソース。酸味が強く、香辛料をしっかりと感じるスパイシーなソースです。他のソースと比べて野菜や果実の繊維は少なく、塩分は若干多めになっています。粘度を表す単位をPa・s(パスカル秒)と言いますが、JAS規格においてウスターソースは「0.2Pa・s未満のもの」とされており、ソースの中でも最もサラっとしているのが特徴です。

ウスターソースは西日本で主流

ウスターソースは、そのさらっとした食感とスパイシーさにより、揚げ物などをさっぱりと食べる調味料として向いています。粘度が低いため、上からかけて食べるよりも、ソースに料理をつけて食べるのがオススメです。そして、このウスターソースは特に西日本で好まれています。串カツを想像してみて下さい。そうすれば、ここまでの特徴すべてが理解しやすいのではないでしょうか。また、料理につけて食べるほかには、隠し味として使うのもコクが出ていいですね。

中濃ソースを詳しく

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さて次は、中濃ソースについて詳しく見ていきましょう。

バランスの取れた中間のソースが中濃ソース

中濃ソースとは、JAS規格で「粘度が0.2Pa・s以上2.0Pa・s未満のもの」とされています。ウスターソースほどスパイシーでもなく、サラリともしていません。かといって濃厚ソースほど粘度も高くなく、また甘くもないのが中濃ソースです。つまり、ウスターソースと濃厚ソースの中間にあるから「中濃」ソース。よって、甘みと辛さのバランスが取れたソースと言えます。

中濃ソースが主流なのは東日本

中濃ソースが主に食されているのは、北海道を含む東日本です。富山・長野・静岡あたりを境に、中濃ソースからウスターソース文化圏へと切り替わるようですよ。西日本出身の友人からも、最初は中濃ソースの存在に驚き、しばらくは慣れなかったという話を聞いたことがあります。関東人の筆者としては中濃ソースは食卓のお供でしたので、この話はとても意外でした。ウスターソースと違って粘度があるため、揚げ物には上からかける方がおすすめです。ただし、そのバランスの良さから、炒め物でも揚げ物でも何にでもマルチに活躍してくれます。

濃厚ソースを詳しく

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さて、最後に3つ目の濃厚ソースについてご説明しましょう。

\次のページで「濃厚ソースの一種がとんかつソースだった!」を解説!/

濃厚ソースの一種がとんかつソースだった!

濃厚ソースとは、JAS規格で「粘度が2.0Pa・s以上のもの」とされています。繊維質もたくさん含まれており、ソース3種の中では最もとろみを感じるソースです。また、果実が一番多く含まれているため、フルーティーで甘みがしっかりとある、濃厚な味わいになっています。実は、「とんかつソース」「お好みソース」などは、この濃厚ソースの一部なのです。濃厚ソースは非常にコクがあるため、お好み焼きや焼きそばに使うだけでなく、甘みやコク出し用にカレーの隠し味としてもおすすめですよ。

濃厚ソースがダントツで人気なのは沖縄

濃厚ソースがダントツ人気なのは沖縄県です。特にステーキでも有名な沖縄では、ソースにはほぼ濃厚ソースが使われています。有名な某メーカーの濃厚ソースは、沖縄の各家庭に必ず1本はあるとも言われますね。それくらい沖縄では濃厚ソースが浸透しているのようです。なお、濃厚ソースは沖縄の他では西日本でも好まれています。お好み焼きやたこ焼き、焼きそばには必須の調味料ですから、西日本での使用率が高いのも分かりますね!

他のソースで代用するのは可能?

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今まで見てきたように、ソースには3つの種類がありました。ですが、自宅で全種類を揃えているという人も少ないでしょう。そんな時、家にあるもので他のソースの代用ができれば便利ですよね。ここでは、手持ちの1本でほかの2種類のソースが作れるのか、その点を見ていきましょう。

ウスターソースしかない場合の代用

自宅にウスターソースしかない。でも中濃ソースが欲しい場合、ケチャップとハチミツを加えてみて下さい。中濃ソースはウスターソースよりも甘みがあります。それを、ケチャップの酸味と甘み、ハチミツの甘みを利用し、バランスよく出すのです。こうすると少しとろみも増しますよ。また、濃厚ソースの代用にしたい場合は、ケチャップ、ハチミツ、そして焼肉のたれを加えてみてくださいね。

中濃ソースしかない場合の代用

次に中濃ソースしかない場合についてを考えてみましょう。ウスターソースが欲しい時は、中濃ソースに同量程度の醤油を加えてみましょう。食感・味ともにウスターソースに近づけることができます。また、逆に中濃ソースを濃厚ソースの代用としたい場合、そのまま中濃を使ってしまっても料理の全体的な味は大きく変わりません。ただし、少しハチミツを加えると若干粘度と甘みが増し、より濃厚ソースに近づけることができます。

\次のページで「濃厚ソースしかない場合の代用」を解説!/

濃厚ソースしかない場合の代用

最後に、手元に濃厚ソースしかない場合についてです。甘みの強い濃厚ソースをウスターソースの代用にしたい場合は、酢、醤油を加えるといいでしょう。味を見てスパイシーさや塩気が足りなければ塩コショウで調整してみて下さい。また、濃厚ソースを中濃ソースの代用にしたい場合は、酢とケチャップ少量を加えてみましょう。甘さが締まってほどよくなりますよ。また、味によっては醤油もさらに加えてみるのもアリです。

ソースは日本人にとってソールフードのような調味料!

ここまでウスターソースと中濃ソースの違い、そして濃厚ソースも含めた3種について調べてきました。ソースは3種ともに基本となる原材料は同じですが、JAS規格によって定められた粘度や野菜・果実の含有量、塩分量などの規格値により分類されていました。よって、ウスターソースと中濃ソースの違いは「粘度の差」にありましたね。

ですが、いずれのソースであってもソースは日本人には大変なじみが深く、私たちの食卓には欠かせないものです。ああ、なぜソースはあんなにも食欲をそそるのでしょう!せっかくでしたら、今まで買わなかったソースを試し、様々な組み合わせで新しい食の楽しみを見つけてみて下さいね。

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ウスターソースと中濃ソースの違いをズバリ一言で!味や特徴、地域性や濃厚ソースとの違いまでを食品のプロがわかりやすく解説!

辛さしっかりでサラサラなのがウスターソース

ウスターソースはイギリスのウスターシャー地方が発祥とも言われるソース。酸味が強く、香辛料をしっかりと感じるスパイシーなソースです。他のソースと比べて野菜や果実の繊維は少なく、塩分は若干多めになっています。粘度を表す単位をPa・s(パスカル秒)と言いますが、JAS規格においてウスターソースは「0.2Pa・s未満のもの」とされており、ソースの中でも最もサラっとしているのが特徴です。

ウスターソースは西日本で主流

ウスターソースは、そのさらっとした食感とスパイシーさにより、揚げ物などをさっぱりと食べる調味料として向いています。粘度が低いため、上からかけて食べるよりも、ソースに料理をつけて食べるのがオススメです。そして、このウスターソースは特に西日本で好まれています。串カツを想像してみて下さい。そうすれば、ここまでの特徴すべてが理解しやすいのではないでしょうか。また、料理につけて食べるほかには、隠し味として使うのもコクが出ていいですね。

中濃ソースを詳しく

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さて次は、中濃ソースについて詳しく見ていきましょう。

バランスの取れた中間のソースが中濃ソース

中濃ソースとは、JAS規格で「粘度が0.2Pa・s以上2.0Pa・s未満のもの」とされています。ウスターソースほどスパイシーでもなく、サラリともしていません。かといって濃厚ソースほど粘度も高くなく、また甘くもないのが中濃ソースです。つまり、ウスターソースと濃厚ソースの中間にあるから「中濃」ソース。よって、甘みと辛さのバランスが取れたソースと言えます。

中濃ソースが主流なのは東日本

中濃ソースが主に食されているのは、北海道を含む東日本です。富山・長野・静岡あたりを境に、中濃ソースからウスターソース文化圏へと切り替わるようですよ。西日本出身の友人からも、最初は中濃ソースの存在に驚き、しばらくは慣れなかったという話を聞いたことがあります。関東人の筆者としては中濃ソースは食卓のお供でしたので、この話はとても意外でした。ウスターソースと違って粘度があるため、揚げ物には上からかける方がおすすめです。ただし、そのバランスの良さから、炒め物でも揚げ物でも何にでもマルチに活躍してくれます。

濃厚ソースを詳しく

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さて、最後に3つ目の濃厚ソースについてご説明しましょう。

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