
原子量って何?定義や単位、求め方を化学の基礎用語を科学館職員が徹底わかりやすく解説
化学の教科書や参考書、資料集を見るとまず出てくるのが原子のつくりです。そして原子の重さについての言葉が出てくる。これらは化学を理解するうえで絶対に欠かせない。そのなかのひとつが原子量です。
というわけで、化学の基礎用語「原子量」を解説する。説明は元素周期表マニアの科学館職員、たかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか
高校は化学部、大学は工学部化学系のリケジョ。 職場大好き、実験大好き、研究大好きの科学館職員。
原子量とは?定義から確認

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化学の教科書や参考書の見開きにほぼ確実に乗っている周期表。 この周期表を見ると水素は1.008、炭素は12.01と数字が書かれています。 これが原子量です。
この原子量についてその定義から確認しましょう。 コトバンクを見ると、原子量は次のように解説されています。
質量数12の炭素同位体12Cの質量を12とし、そこから相対的に他の原子の質量を表した値。 相対原子質量。
各元素の原子の質量を表す値。 ただし絶対値がきわめて小さいので、一つの元素の原子をある一定数として基準にとり、すべてそれに対する相対的な値で示す。
同位体ってなんだっけ? 人もいるかもしれません。 そこで、原子量の導き方と合わせて理解するのに欠かせない原子の構造についても説明していきます。

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陽子 正の電荷を持つ
中性子 電荷を持たない(電気的に中性)
電子 負の電荷を持つ
陽子と中性子はほぼ同じくらいの重さです。 陽子は1.673×-24g、中性子は1.675×-24g。 これを見てもどのくらいの重さがイメージできない人も多いでしょう。 そこでまず普段見る機会の多いg(グラム)を基準に、質量の単位を確認していきます。
1.0g
その1000分の1の重さは1㎎(ミリグラム)=1.0×10-3g
さらにその1000分の1の重さは1μ(マイクログラム)=1.0×-6g
さらにその1000分の1の重さは1ng(ナノグラム)=1.0×-9g
さらにその1000分の1の重さは1pg(ピコグラム)=1.0×-12g
さらにその1000分の1の重さは1fg(フェムトグラム)=1.0×-15g
この表を見ると、いかに原子1粒が軽いのかわかりますね。 そして電子は9.109×-28gとさらに小さく、原子の重さを考えるとき電子はほぼ無視して考えられます。
原子についてもっと知りたい人はこちらの記事を読んでくださいね。
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質量数と同位体とは

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先ほど原子は原子核(陽子、中性子)と電子からできている、原子の重さのほとんどが陽子と中性子と解説しました。 ところで、陽子の数でその原子はどの元素か決まります。 例えば陽子が1個なら水素に、2個ならヘリウムです。 陽子の数は、その元素の原子番号となります。 つまり、
陽子数=電子の数(イオンではないとき)=原子番号
という式が成り立ちます。 あれ? 中性子出てこない? と思った人もいるかもしれませんね。 陽子と電子が元素の種類を決めているのに対し、中性子の数は元素の種類と関係がありません。 そのため、中性子を持たない水素もあれば、中性子を1つ持つ水素もあるのです。 ちなみに、中性子を1つ持つ水素を重水素と言います。
原子の質量を決める陽子と中性子の和が質量数です。 といってもその存在比はとても偏っていて例えば中性子のない質量数1の水素1Hが99.985%、その残りのわずか0.015%が質量数2の2H(重水素)になります。このように同じ元素で中性子の数が異なる関係が同位体です。そして、原子核が不安定で放射線を放出して壊れるものを放射性同位体、ラジオアイソトープと言います。 質量数、原子番号の表記法として、上に図で示した書き方を覚えておきましょう。 また、陽子や中性子についてもっと知りたい人はこちらの記事を参考にしてくださいね、
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