今回は娘細胞について学んでいきます。娘細胞は細胞分裂をしたあとの細胞のことです。細胞分裂はからだのいたるところで起きており、細胞分裂のぶんだけ娘細胞も形成されている。細胞分裂には体細胞分裂と減数分裂の2種類がありますが、その種類によって形成される娘細胞の数も異なるんです。今回はそんな細胞分裂のしくみや、分裂方法ごとになぜ娘細胞の数が違うのかについて、学生時代、獣医学部で生物学を学んでいたライターみんちが解説します。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

娘細胞とは分裂後の細胞のこと!

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娘細胞(むすめさいぼう・じょうさいぼう)とは細胞分裂後に形成される細胞のこと。反対に、分裂前の細胞は母細胞(ぼさいぼう)といいます。
細胞とは、生物を構成する最小単位の構造のこと。人はもちろん、動物や植物なども細胞が集まってできています。私たちの皮膚も、血液も、口の中の粘膜もぜんぶ細胞からできているんですよ。私たちが見ている生き物はみんな、細胞のかたまりだったんですね。

娘細胞は細胞分裂で形成される!

細胞分裂とは、1つの細胞が2つ以上にに分裂すること

ヒトは37兆個もの細胞からできています。「37兆個」と聞いてもピンときませんよね。仮に37兆個の細胞を1つずつ並べておいたとすると、地球を9周以上もしないといけないくらいの長さになるそうですよ。

そんな想像もつかないくらいの数の細胞からなる身体ですが、もともとは受精卵という1つの細胞だったんですよ。それが細胞分裂を繰り返すことでこんなに数を増やすことができたんですね。細胞分裂の偉大さを感じますね。

細胞分裂のしくみ

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細胞の中にはというものが存在しています。核の中には遺伝情報の源であるDNAが含まれており、核は細胞にはなくてはならない存在です。細胞が2つに分裂するためにはもう1つ核が必要になりますよね?そのため、核の中にあるDNAを複製してもう1本のDNAを合成します。こうして2つの核を作り出し、細胞は分裂することができるんです。

このような細胞分裂の過程は大きく間期分裂期(M期)にわけられます。

\次のページで「間期:分裂の準備をする細胞」を解説!/

間期:分裂の準備をする細胞

間期とは、細胞が分裂するために新たな核をつくる時期のこと

間期の細胞はDNAを新たに複製し、遺伝情報を2つ用意しておきます。このとき、細胞の中では「分裂をしてもいい状態なのか」「分裂するために必要な材料はそろっているか」「遺伝情報に間違いはないか」などの細かいチェックがされているんですよ。まるで仕事を進めるための前準備みたいですよね。そして問題がなければ分裂期(M期)へと進んでいきます。

分裂期:分裂途中の細胞

分裂期(M期)とは、細胞分裂を行っている時期のこと。分裂期はさらに前期、中期、後期、終期の4つの期に分けられるんですよ。

前期では、核を覆っていた核膜や核の中心にある核小体が消え、染色体が太く短い形になります。染色体とは、DNAがヒストンというタンパク質と結合したものです。染色体は細胞分裂を学ぶ上ではなくてはならない用語なのでしっかり覚えておきましょう。中期になると染色体は細胞の真ん中に整列します。後期で染色体は両端から引っ張られるように2つに別れ、終期で染色体はひも状となり細胞は2つに仕切られ、細胞分裂は完了です。

細胞分裂には2種類ある!

細胞分裂には、体細胞分裂減数分裂の2種類があります。

体細胞分裂は、主にからだを作る細胞(体細胞)を増やすための細胞分裂のことで、減数分裂は精子や卵などの生殖に関わる細胞をつくるための細胞分裂のことです。

分裂によって生じた娘細胞は分裂の種類によって数が異なります。体細胞分裂では2つ、減数分裂では4つの娘細胞がつくられるんですよ。ここからはどうしてそのような違いがあるのか詳しく見ていきましょう。

\次のページで「体細胞分裂:からだを作るための細胞分裂」を解説!/

体細胞分裂:からだを作るための細胞分裂

体細胞分裂主に体をつくる細胞がおこなう分裂のことです。理科の授業などでタマネギの芽を観察したことがある人もいるでしょう。体細胞分裂は身体中のいたるところで行われていますが、特に動物では皮膚や骨髄、植物ならば茎や根の先端部分で盛んに分裂が起きています。つまり、これらの部位は生まれたてでピチピチの新しい細胞、つまり娘細胞が多く集まっている場所といえますね。

娘細胞は2つできる

体細胞分裂では娘細胞が2つ形成されます。先に説明したように、母細胞はDNAが複製され、核が2つになると細胞が2つに分かれますよね?こうして2つの娘細胞が形成されるんですね。形成された2つの娘細胞は、のちに元となる細胞と同じ形へと変化していきます。

減数分裂:生殖を行うための細胞分裂

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体細胞分裂とは違い、生殖に関わる細胞をつくるのが減数分裂です。生殖に関わる細胞は生殖細胞と呼ばれ、動物ならば精子や卵、植物ならば精細胞や卵細胞が挙げられますね。減数分裂は体細胞分裂とは違い、少し特別な分裂をするんですよ。

なぜ特別な分裂方法をとらなければならないのかというと、まずは生殖の仕組みを知る必要があります。生物が誕生するには精子と卵が融合して受精卵となることが必須ですね。実は、精子と卵は通常との細胞とは異なり、遺伝情報を半分しか持っていないんですよ。

私たちの細胞の核の中にあるDNAは染色体という形で存在しています。染色体は2本1セットで構成されており、そのうち1本は父親から、もう1本は母親から受け継いだものです。こうして父親と母親から1本ずつ受け継いだ染色体を2本で1セットにして、新たに子供の染色体が作られるわけですね。そのとき、父親から受け継ぐ染色体1本=精子、母親から受け継ぐ染色体1本=卵だったんです。

よって、通常の細胞は2本の染色体で構成されるのに対し、精子や卵は1本の染色体しかもたない特別な細胞なんですね。そんな精子や卵を生成するために行われるのが減数分裂です。

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娘細胞は4つできる

娘細胞は4つできる

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説明が長くなりましたが、ここからは精子や卵をつくる減数分裂はどのようにして行われるのか見ていきましょう。

体細胞分裂が間期→分裂期だったのに対し、減数分裂では間期→第一分裂→第二分裂というように分裂が2回起こります。DNAの複製は1度だけ行い、第一分裂で元と同じDNA量に、第二分裂で半分の量にするんです。よって、分裂を2回するため計4つの娘細胞ができるというわけですね。これらの娘細胞はのちに動物ならば精子や卵に、植物ならば精細胞や卵細胞に形を変えていきます。

娘細胞と他の細胞との違いは?

娘細胞は他の細胞に比べて小さいという特徴があります。細胞が分裂するときには細胞の真ん中にくびれができたり、細胞壁ができることで分裂しますね。よって、分裂直後の娘細胞は元の細胞の半分の大きさしかないんですよ。その後、娘細胞は元の細胞の大きさになるまで徐々に成長していきます。

細胞はとても身近な存在

ここまで読んでいただきありがとうございました。今回は娘細胞について、体細胞分裂や減数分裂にも着目して解説してきました。娘細胞は細胞分裂によって形成された細胞であること、細胞分裂の種類によって形成される娘細胞の数が異なることを学びましたね。細胞はとても身近な存在です。私たちの皮膚も、目も、耳も、すべて細胞からできているんですよ。細胞は目には見えないですが、今日も分裂が起きたり複製したりと様々な出来事が起きています。自分の細胞たちがせっせと動いているのを想像するのも面白いかもしれませんね。

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理科生物細胞・生殖・遺伝

3分でわかる「娘細胞」体細胞分裂や減数分裂についても獣医学部卒ライターがわかりやすく解説!

今回は娘細胞について学んでいきます。娘細胞は細胞分裂をしたあとの細胞のことです。細胞分裂はからだのいたるところで起きており、細胞分裂のぶんだけ娘細胞も形成されている。細胞分裂には体細胞分裂と減数分裂の2種類がありますが、その種類によって形成される娘細胞の数も異なるんです。今回はそんな細胞分裂のしくみや、分裂方法ごとになぜ娘細胞の数が違うのかについて、学生時代、獣医学部で生物学を学んでいたライターみんちが解説します。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。ライターとして、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

娘細胞とは分裂後の細胞のこと!

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娘細胞(むすめさいぼう・じょうさいぼう)とは細胞分裂後に形成される細胞のこと。反対に、分裂前の細胞は母細胞(ぼさいぼう)といいます。
細胞とは、生物を構成する最小単位の構造のこと。人はもちろん、動物や植物なども細胞が集まってできています。私たちの皮膚も、血液も、口の中の粘膜もぜんぶ細胞からできているんですよ。私たちが見ている生き物はみんな、細胞のかたまりだったんですね。

娘細胞は細胞分裂で形成される!

細胞分裂とは、1つの細胞が2つ以上にに分裂すること

ヒトは37兆個もの細胞からできています。「37兆個」と聞いてもピンときませんよね。仮に37兆個の細胞を1つずつ並べておいたとすると、地球を9周以上もしないといけないくらいの長さになるそうですよ。

そんな想像もつかないくらいの数の細胞からなる身体ですが、もともとは受精卵という1つの細胞だったんですよ。それが細胞分裂を繰り返すことでこんなに数を増やすことができたんですね。細胞分裂の偉大さを感じますね。

細胞分裂のしくみ

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細胞の中にはというものが存在しています。核の中には遺伝情報の源であるDNAが含まれており、核は細胞にはなくてはならない存在です。細胞が2つに分裂するためにはもう1つ核が必要になりますよね?そのため、核の中にあるDNAを複製してもう1本のDNAを合成します。こうして2つの核を作り出し、細胞は分裂することができるんです。

このような細胞分裂の過程は大きく間期分裂期(M期)にわけられます。

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