
放射性崩壊ってどんな現象?核分裂との違いや放射線のエネルギー、半減期の計算方法を理系ライターが5分でわかりやすく解説!

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という形になります。これは、原子数Nを時間tで微分した微分方程式で、簡単に言えば原子N個の崩壊率はその原子数自身に比例するというだけのことです。また、λは崩壊定数とよばれる定数で、各元素の崩壊のしやすさを表します。
この式を、半減期t‘に原子数が半減する、つまりN0/2個になるという条件を代入、計算して整理すると

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となります。この式から、半減期までにかかる時間を求めることが可能です。
放射線の性質とそのエネルギー
放射性崩壊などの核反応で生じる放射線は凄まじいエネルギーを持っています。陽子や中性子と極めて小さい粒子がなぜ大きなエネルギーを持つことができるのでしょうか?
その答えは、核反応によってエネルギーが生じるメカニズムを考えることで理解が可能です。
放射線が持つエネルギーの計算方法
実は、陽子と中性子が集まった原子核の質量は、陽子と中性子を別個カウントした合計質量よりもわずかに小さくなっているんです。この質量の差を質量欠損といいます。
この質量欠損が、放射性崩壊含む核反応が大きなエネルギーを持っている原因なんです。核反応では、反応前後で生じる質量欠損が得られるエネルギーに変化し、そのエネルギーは以下の式を使って計算されます。

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これは、あのアインシュタインが特殊相対性理論にもとづいて導き出した関係式です。この式はエネルギーEと質量mは本来等価なものであることを示しています。またcは光の速度を表した記号です。
また、小さな粒子が大きなエネルギーを持つ理由もこの式から見てとれます。光速度c=2.99792458×108[m/s]という大きな値をさらに二乗しているので、わずかな質量でも膨大な量のエネルギーを持つことになるんです。
この式を利用するには、光速度と質量欠損、2つの情報が必要ですね。光速度は定数なので問題はないのですが、では質量欠損はどのように求めるればいいのでしょうか?
核種を考える場合など、原子含む質量が非常に小さい粒子の質量は原子質量単位uという単位を使います。1[u]=1.66054×10-27[kg]であり、陽子1個と中性子1個の平均質量とほぼ同一です。
ここで元素の質量数×原子質量単位=原子核の質量とほぼ同値となることを考えると、反応前後の原子核の質量をそれぞれ求め、差を計算することで質量欠損を求めることができます。
質量欠損と光速度を式に代入して放射線1個分エネルギーを求めると、放射性元素にもよりますが可視光がもつエネルギーの数百万から数億倍にもなるんです。
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