放射性崩壊ってどんな現象?核分裂との違いや放射線のエネルギー、半減期の計算方法を理系ライターが5分でわかりやすく解説!
今回は放射線に関する知識を学習していこう。放射性崩壊という現象を通じて、核分裂反応との違いやエネルギー、半減期の計算方法などを、原子物理学も学習していた理系ライター「ふっくらブラウス」と解説していきます。
ライター/ふっくらブラウス
機械系出身ライター。力学をはじめとした四力学のほか、材料特性などを通じて化学分野も学習。原子物理学の基礎や原子力発電に関しても学んだ経験がある。
放射性崩壊とは原子核の一部が放出される現象
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放射性崩壊(放射性壊変ともいう)とは、不安定な原子核が安定しようとして、原子核の一部が放出される現象を指します。
放射性崩壊などの現象を通じて、原子核から放出される物質群が放射線と呼ばれるものです。また、放射線を出す物質を放射性物質、1秒間に放出する放射線の数を放射能といい、単位Bq(ベクレル)で表します。
不安定な原子核の元素、つまり放射性元素には原子番号が高い、サイズの大きな原子が多いです。サイズが大きい原子が不安定になりやすい原因について、まず解説していきます。
原子核の構造と安定性
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原子は、原子核を中心に電子が周囲に飛び回っている構造であり、また原子核は陽子と中性子から構成されます。陽子と電子は電荷(電気的なかたより)を持っており、陽子が+の電荷、電子が-の電荷です。
原子が持つ陽子の数を陽子数、陽子と中性子の合計数を質量数といいます。各元素の原子番号と陽子数は一致し、また陽子の数と電子の数も同数となることがポイントです。
陽子が集まっている原子核は、そのままでは同じ電荷間の反発力で壊れてしまうように思えます。そうならない理由は、陽子や中性子間に核力という強い力がはたらいているためです。
核力は力が強い反面、有効範囲が安定せず、陽子1個分ほど離れただけで機能しなくなります。また、サイズが大きい原子核ほど陽子数が多い(反発力も大きい)ため、安定しにくいんです。
つまり原子核は、静電気的な反発力と核力のバランスによって成り立っていると言えます。このバランスを整えるために、原子核の一部を切り離す現象が放射性崩壊です。
放射性系列:放射性崩壊は繰り返し起こる
放射性物質の中には、一度の放射性崩壊で安定するものもあれば、変化後の物質も不安定でまた放射性崩壊するものもあります。
そのような放射性元素の一連の崩壊をまとめたものが放射性系列(崩壊系列)です。自然界には3種の放射性系列が存在します。
まず1つがトリウム232(質量数232のトリウム原子のこと)からラドン220などを経て、鉛208まで続くトリウム系列です。質量数が4nの核種が続くので、4n系列とも呼ばれます。
他にはウラン238からラジウム226を経由し鉛206となるまでの、質量数4n+2の核種が続くウラン系列や、ウラン235からアクチニウム227を経由し鉛207となる、質量数4n+3の核種が続くアクチニウム系列が挙げられますね。
これらの系列は、核種の質量数が4ずつ変化しているのが特徴です。これは、放射性崩壊の1種であるα崩壊という現象が原因となります。
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