この記事では妖精と精霊の違いについてみていきます。どちらもファンタジー作品には欠かせない存在であり、ある程度は固定化されたイメージがあるよな。しかしそもそも、本来は目に見えない妖精や精霊のイメージはどう定着したんでしょうか?今回はそんな神秘的な存在の違いを、定義や特徴から確認しつつ、ファンタジー作品が大好きなライターおとのと一緒に解説していきます。

ライター/おとの

ファンタジーが大好きな雑学オタク。妖精や精霊の怪奇的な伝説にも興味が尽きない。花と妖精、小人と食べ物という組み合わせに惹かれてしまい、それがモチーフのポストカードばかり持っている。

妖精と精霊の違いはコレ!

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妖精と精霊はどちらも神聖かつ空想的な存在で、多くの伝承によって語られてきました。国や時代によってその伝えられ方に差異はあるものの、人々は精霊を恐れ敬い、妖精を身近に感じながら暮らしてきたと考えられます。現代ではファンタジー世界において無くてはならない要素ですね。そんな妖精と精霊の大きな違いは実体があるか否かで語ることができます。

精霊は万物の根源となる精気や不思議なエネルギーのこと。つまり、決まった形はなく、物理的に触れることもできません。対して妖精は、自然に宿る精気が姿を持ち、実体化した存在と考えられています。つまり、妖精は精霊に包有されると言えるのです。

ざっくりとした説明は以上。以下の項目でこれらの詳細を語っていきますね。

妖精と精霊の定義は?

この項では、妖精と精霊の定義について解説します。どちらも神秘的な存在で、人間にはない不思議な能力や魔力を持っているイメージがありますよね。彼らは現実世界でどのような存在として認識され、人間と関わって来たのでしょうか。それぞれの定義を調べてみると、人間が妖精や精霊に対して抱いていた印象も共に見えてきました。以下で詳細を確認しましょう。

妖精:神話や伝説上の超自然的な存在

妖精とは神話や伝説に登場する超自然的な存在です。人間でも神でもなく、その中間の存在とされ、魔力と優れた才能を持ちます。狭義ではイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、ノルマンディーの伝承で語り継がれてきたものを指しますが、一般的にはもっと幅広い地域や他国に存在するものも妖精として認識されてきました。

妖精が何なのかについては諸説ありますが、しばしば自然界に宿る精気が具現化したものと考えられています。そのほか、死者の魂という説や征服されて滅した古い種族の記憶との説、さらには小さい姿となった太古の神々であるという説まで。いずれにしても、現実世界の枠を超えた存在であることに変わりはないようです。

精霊:万物に宿り根源となる存在

精霊とはこの世界のあらゆるものに宿る精気のこと。木や花などの植物、犬や人間などの動物のみならず、無生物である石や水などにも宿っているとされています。

妖精と違い、精霊そのものには固定化された姿形はありません。空中に浮遊しており、その物体に対しては自由に出入りすることができます。

時として人間を裁く神に近い立場と見做されることも。信仰によっては神と精霊が区別されていない場合もあるので、人間より遥かに高みに座す畏怖されるべき存在なのですね。

\次のページで「古代日本における精霊の観念」を解説!/

古代日本における精霊の観念

ファンタジー作品との繋がりから、西洋的な雰囲気を感じる精霊ですが、日本においても古来よりその存在は信じられてきました。生物のみならず、無生物にも精霊は宿っているとされ、その名称に「チ」を付けて呼んでいたようです。例として、水の精霊は水虬(ミズチ)、火の精霊は軻遇突智(カグツチ)と呼ばれました。今でも雷のことをイカズチと言いますね。これは厳つ霊(イカツチ)が由来。自然の現象や脅威を精霊の力と考えていたのです。この考えは目に見えるものだけに留まりません。精霊が幸せを運んでくる働きを狭知(サチ)と呼ぶなど、様々な現象において信じられてきました。

妖精と精霊の特徴とは?

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皆さんはそれぞれにどのようなイメージを持っているでしょうか。妖精は羽が生えた小人。精霊は綺麗な女性。もしくは生き物の形をしていないキラキラした光や澄んだ空気のようなものを考えるかも知れません。では性格はどうでしょう。優しい?意地悪?それとも気難しいのでしょうか。イメージは人によって異なって当たり前。好きな物語や印象深いシーンに影響されることも多いと思います。ここでは一般的に考えられていたり、広く言い伝えられたりしている妖精と精霊の性格や容姿の特徴について解説していきますので、自身のイメージと比べて楽しんでみて下さい。

妖精:悪戯好きで気まぐれ

多くの妖精は悪戯好きで気まぐれと言われています。人間の手伝いをしたり、親切に対してお礼をしたりと好意的な一面があるかと思えば、妖精を怒らせてとんでもない仕返しをされたという伝説も。遊ぶのが好きでダンスが得意な彼らの宴に参加してしまったら、1曲や2曲では帰してもらえません。現代でこそ可愛らしい印象が強い妖精ですが、元は不思議な力を持つ存在として恐れられる対象だったようです。

姿や大きさ、男女の違いは多種多様。人間を惑わすほど美しい姿をした妖精もいれば、お世辞にも可愛いとは言い難い見た目の妖精も。

当時の人間の知識や常識では証明できない自然の現象を妖精の力だと考えて伝承が生み出されたのであれば、気まぐれで善悪が極点な性格をしていても納得がいきますね。

精霊:性格や容姿は存在しない

精霊はそもそも、人格があるとされている場合とそうでない場合があります。あくまでも万物を成す不思議な精気なので、本来は実体もありません。そのため、性格や見た目の特徴は無いに等しいのです。

しかし、映画やゲームなどでは、精霊が神秘的な女性や幻想的な動物の姿で登場しますよね。それらは観客やプレイヤーに精霊を視認させる必要があることから、世界観に沿った見た目や性格が与えられているのです。そのような擬人化やイメージ化の代表と言えるのが、16世紀の医学者であり錬金術師でもあったパラケススによって論じられた四大精霊。水、火、風、地の四大元素が実体化したものとして、多くのファンタジー作品で取り上げられています。この四大精霊の詳細については次項で解説していきますね。

妖精と精霊の種類を確認しよう!

上の項では妖精と精霊の定義や特徴について解説しました。しかし勿論のこと、すべての妖精と精霊が同じ特徴を有しているわけではありません。ここでは妖精と精霊にはどんな種類がいて、それぞれどのように言い伝えられているのかを調べました。妖精は独断で有名どころを選出、精霊は上記した四大精霊についてまとめています。他にも多くの種類や種族がいるため、興味が湧いたら是非の自分のお気に入りの妖精や精霊を探してみて下さいね。

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妖精の種類:知名度の高い妖精は!?

妖精と聞いて一般的にイメージされるのは、美しく薄い羽を持った愛らしい小人の姿ではないでしょうか。おとぎ話の『ピーターパン』に出てくるティンカー・ベルが代表的ですね。しかし調べてみると、妖精にはその他にもとても多くの種類がいることが分かりました。ここでは認知度の高い妖精を5匹、ピクアップして解説します。

ピクシー
イングランドのコーンウォールなどの民間伝承に登場する小人の妖精です。赤い髪の毛に尖った鼻を持ち、緑色の服と帽子を着用。ダンスと悪戯が好きで、人間からの好意には好意的を、悪意には悪意を返すという、一般的に考えられる妖精のイメージをそのまま持ち合わせています。

トロール
主に北欧の伝説に登場する妖精です。よくイメージされるトロールは巨大で乱暴者。怪力ですが知能はあまり高くありません。しかし北欧の国々にはそれぞれ違った伝承があり、その姿は小人だったり女性がいたりもします。ノルウェーではものが忽然と消えることを「トロールの悪戯」というのだとか。

ブラウニー
チョコレートケーキの一種であるブラウニーの語源とも言われる妖精。北部イングランドやスコットランドに言い伝えられています。茶色いボロの服を着て、家を掃除したり家畜の世話をしたりする働き者。この妖精が家にいたら、お礼は隠すようにこっそりと置いておかなくてはいけません。

ケルピー
スコットランドの水辺に住む妖精で、馬に似た姿、もしくは下半身が魚の馬であると言われています。知性的で穏やかな馬の印象に反して、人間を誘って水に引き摺り込み、溺れさせるという残虐な性格。大きい海洋生物が怖い筆者には、少々迫力がありすぎる妖精です。

ゴブリン
ファンタジーゲームが好きな人にはお馴染みの敵キャラクターですね。人間の膝丈ほどの大きさで、大概はとても醜悪な存在として描かれています。しかし、伝承によっては子供好きで行儀の良い子にプレゼントをくれたり、家の手伝いをしたりと友好的な一面も。そう言われると倒しにくいような……

精霊の種類:有名な四大精霊とは!?

ここでは、上記した四大精霊について解説していきましょう。このイメージは現代でも多くの作品に影響を与えています。映画やゲーム、ファンタジー作品が好きな人は、自身の知識や設定との相違点や一致点を探してみて下さい。

水の精:ウンディーネ
人間の女性と変わらない容姿をしていて、多くのイラストでは上品で華麗な女性として描かれています。人間の男性と結婚することもあり、人間から愛されることによって初めて魂を得ることができるのだとか。ロマンチックにも思えますが、その男性がほかの女性を愛した場合は彼を殺さなくてはいけないという制約があります。ドイツの作家フケーは、美しいウンディーネと騎士の悲恋を描きました。

火の精:サラマンダー
灼熱の火や溶岩の中に住むと言われるトカゲまたはドラゴン。火の精霊なのでどれほど大きいのかと思いましたが、なんと手のひらサイズとのこと。なんだか可愛らしいですね。冷たい皮膚で火を消し去ることが可能とされ、さらに火を操る能力があると信じられました。もともとイモリ類(サラマンダー)は火にくべても死なないとの迷信があり、そこから精霊としてのサラマンダーの姿に結びついたと思われます。ただし、パラケスス自身はサラマンダーに人間的な容姿をイメージしていたようです。

風の精:シルフ
空気の要素を持つ精霊で、基本的にその姿は目に見えません。元は男女の区別が無い存在と思われていましたが、後にその容姿は華奢で優美な人間の少女として定着しました。一説によると人間と妖精のハーフともされ、ウンディーネと同じく人間と恋をして魂を得ることができます。ただし、こちらの恋愛はもっと自由が許されている様子。何にも制限されない風のイメージに似合っていますね。貞潔な人間は死後にシルフとなることができると言い伝えられています。

土の精:ノーム
お洒落な庭にずんぐりした小人の置物が飾られているのを見たことはありませんか?あの小人こそノームです。体長12cmほどの彼らは老人のような風貌で、その顎には長い髭。まるで魔法使いや賢者のような見た目どおり、知性の高い精霊です。服は派手な色の炭鉱夫に似た格好とされ、三角の長い帽子をかぶっています。手先が器用で巧みに細工品を作るほか、地中で暮らしているため鉱脈に詳しいようです。自然や動物を愛し、調和を大切にする心優しい精霊と言われています。

ファンタジー作品における妖精と精霊

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壮大な冒険物語からほのぼのとした日常系まで、色々な世界観を持つファンタジーは古今東西で不動の人気ジャンルですね。小説や映画、漫画やゲームなど数多くのファンタジー作品が日々生み出されています。ではそれらの作品の中で、妖精と精霊はどのような役割を担っているのでしょうか。この項では筆者が個人的に見たり読んだりした作品から感じた印象をお話ししていきます。

\次のページで「妖精:憎めないトリックスター」を解説!/

妖精:憎めないトリックスター

ファンタジー作品における妖精は、主人公たちの味方や仲間であることが多いように思います。例えばディズニー映画の『シンデレラ』に登場するフェアリー・ゴット・マザー。シンデレラにドレスとガラスの靴を与え、優しく舞踏会に送り出す彼女は魔法使いのおばあさんと思われがちですが、名前から分かるように妖精です。

ゲームや漫画の妖精は、主人公と一緒に冒険をしたり、妖精の国の問題ごとを解決してもらおうと頼ってきたりと、比較的親しみやすい立場にいるのではないでしょうか。おっちょこちょいで問題を引き起こすトリックスターですが、愛嬌があって憎めない存在です。一方で見た目が人間から離れたトロールやゴブリンはモンスターとして扱われています。伝説上の性格に起因しているとは言え、この差は何だか少し可哀想ですね。

シェークスピア作の喜劇『真夏の夜の夢』は日本でも有名ですが、ここに登場する悪戯好きな妖精パックが、人々の妖精に対する印象を和らげ変化させたと言われています。その流れか、現代では人間型の妖精は可愛いというイメージが定着していて、それがファンタジー作品にも強い影響を与えているようです。

精霊:人智を超えた偉大な存在

ファンタジー作品における精霊は、自然や現象、時間、能力などを司る偉大な存在とされることが多いようです。例えばRPGでは精霊と契約することによって魔法を使うことが出来たり、能力を開花させたりする展開が見られます。また、人間を見放した精霊が敵として立ちはだかることも考えられますね。

チャールズ・ディケンズ著の『クリスマス・キャロル』には過去・現在・未来のクリスマスの精霊が現れます。その際、その容姿はろうそくの光のようだったり、巨人だったり、はたまた死神のようだったりと様々。この精霊は“spirit“と表されていますが、彼らが自己紹介をするときには“ghost“という単語が用いられており、実体の無い存在であることが分かります

作品中に見られる精霊とは、威厳に満ちた高次元の存在。主人公を助け、導きますが、ときとして人間に罰を与える残酷さも持ち合わせているようです。上記したように、作品内の精霊たちには仮初の容姿が与えられることがほとんど。どのように描かれるのかも見どころの1つではないでしょうか。

妖怪や幽霊との違いは?

不可思議で非科学的な存在としては、妖怪や幽霊も挙げられます。この項では、これらと妖精・精霊の違いについて確認していきましょう。

妖怪とは、日本において怪異や不思議な現象を起こす超常的な存在です。遡ると古事記や日本書紀にまで、その存在が記されています。鬼や河童、天狗などは昔話にも登場し、村人を困らせたり、逆に退治されたりもしていますね。妖怪は邪悪なものもいれば、座敷童子のように人間に幸福をもたらすもの、良くも悪くも干渉してこないものなど多種にわたります。もともと日本は精霊信仰があった国。そんな日本人による民間伝承のなかで語り継がれてきた妖怪は、人智を超えた現象の原因や根源とされる役割を担ってきたのです。そこを踏まえると、その存在は東洋版の妖精と言っても良さそうですね。

一方、幽霊とはこの世に未練や恨みがあり、成仏できない人間の魂のことです。ユーモラスに描かれることも多い妖怪に比べ、幽霊はおどろおどろしく、恨みが強ければ祟りや呪いを引き起こすなど、生きていた頃の人間臭さがしっかりと感じられますよね。実は精霊には肉体から離脱して自由になった魂との解釈もあります。しかし幽霊は肉体こそ無くなったものの、この現世に縛られたままの存在。死者の国に旅立つことも出来ず、精霊にもなれない幽霊は、恐ろしいと言うよりも悲しい魂なのかも知れません。

妖精も精霊も身近な存在!

ファンタジーが大好きな筆者は、可憐な妖精や美麗な精霊に惹きつけられてしまいます。高次元の存在のはずの精霊や妖精にどこか愛嬌を感じるのは、自然の脅威や不可思議な出来事に直面した人間が、その原因にキャラクター性を持たせて、少しでも親しみを持とうとした結果ではないでしょうか。自分に好意を向けてくれる相手には優しくしたくなり、意地悪をされれば仕返しをしたくなるのは、なんとも人間味を感じます。そう思うと、精霊や妖精はファンタジー的要素が強い一方で、私たちにとって非常に身近な存在でもあるわけですね。ところでこの記事の執筆中、何度も睡魔に襲われてはテーブルで寝落ちしてしまったのですが、これも妖精の悪戯だったのではないかと思います。

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5分で分かる妖精と精霊の違い!定義や特徴・種類から作品における役割までファンタジー好きライターが徹底わかりやすく解説!

この記事では妖精と精霊の違いについてみていきます。どちらもファンタジー作品には欠かせない存在であり、ある程度は固定化されたイメージがあるよな。しかしそもそも、本来は目に見えない妖精や精霊のイメージはどう定着したんでしょうか?今回はそんな神秘的な存在の違いを、定義や特徴から確認しつつ、ファンタジー作品が大好きなライターおとのと一緒に解説していきます。

ライター/おとの

ファンタジーが大好きな雑学オタク。妖精や精霊の怪奇的な伝説にも興味が尽きない。花と妖精、小人と食べ物という組み合わせに惹かれてしまい、それがモチーフのポストカードばかり持っている。

妖精と精霊の違いはコレ!

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妖精と精霊はどちらも神聖かつ空想的な存在で、多くの伝承によって語られてきました。国や時代によってその伝えられ方に差異はあるものの、人々は精霊を恐れ敬い、妖精を身近に感じながら暮らしてきたと考えられます。現代ではファンタジー世界において無くてはならない要素ですね。そんな妖精と精霊の大きな違いは実体があるか否かで語ることができます。

精霊は万物の根源となる精気や不思議なエネルギーのこと。つまり、決まった形はなく、物理的に触れることもできません。対して妖精は、自然に宿る精気が姿を持ち、実体化した存在と考えられています。つまり、妖精は精霊に包有されると言えるのです。

ざっくりとした説明は以上。以下の項目でこれらの詳細を語っていきますね。

妖精と精霊の定義は?

この項では、妖精と精霊の定義について解説します。どちらも神秘的な存在で、人間にはない不思議な能力や魔力を持っているイメージがありますよね。彼らは現実世界でどのような存在として認識され、人間と関わって来たのでしょうか。それぞれの定義を調べてみると、人間が妖精や精霊に対して抱いていた印象も共に見えてきました。以下で詳細を確認しましょう。

妖精:神話や伝説上の超自然的な存在

妖精とは神話や伝説に登場する超自然的な存在です。人間でも神でもなく、その中間の存在とされ、魔力と優れた才能を持ちます。狭義ではイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、ノルマンディーの伝承で語り継がれてきたものを指しますが、一般的にはもっと幅広い地域や他国に存在するものも妖精として認識されてきました。

妖精が何なのかについては諸説ありますが、しばしば自然界に宿る精気が具現化したものと考えられています。そのほか、死者の魂という説や征服されて滅した古い種族の記憶との説、さらには小さい姿となった太古の神々であるという説まで。いずれにしても、現実世界の枠を超えた存在であることに変わりはないようです。

精霊:万物に宿り根源となる存在

精霊とはこの世界のあらゆるものに宿る精気のこと。木や花などの植物、犬や人間などの動物のみならず、無生物である石や水などにも宿っているとされています。

妖精と違い、精霊そのものには固定化された姿形はありません。空中に浮遊しており、その物体に対しては自由に出入りすることができます。

時として人間を裁く神に近い立場と見做されることも。信仰によっては神と精霊が区別されていない場合もあるので、人間より遥かに高みに座す畏怖されるべき存在なのですね。

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