突然ですが、君は草食動物と肉食動物の違いを説明できるか?名前の通り、草食動物は植物を食べる動物、肉食動物は他の動物を食べる動物です。同じ哺乳類の仲間でも、食性の違いによって目、歯、腸、足、爪など様々な部位においてその特徴が異なる。それは言うまでもなく、草食動物は捕まらないようにするため、肉食動物は獲物を捕まえるために特化した体のつくりになっているんです。今回はそんな草食動物と肉食動物の違いについて、学生時代、獣医学部で動物のことを学んでいたライターみんちと解説していこう。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。最新の記事の情報も集めつつ、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

草食動物と肉食動物の違いをざっくり解説!

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草食動物とは植物を食べて生活している動物のこと。キリンやシマウマ、ヒツジやウシ、ウサギなどが挙げられます。

一方、肉食動物は他の動物を食べて生活している動物のこと。ライオンやチーター、ネコなどが肉食の仲間ですね。

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どちらの動物も同じ哺乳類の仲間ですが、食性によって体のつくりが大きく異なります。ここからは詳しい違いを解説していきましょう。

特徴1:『目』の違い

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草食動物は目が横向き

草食動物の目は横向きについています。目が横にあると広い範囲を見渡すことができるんです。ウサギの場合、なんと360°ぐるりと見渡すことができるんですよ。そのおかげで、草食動物は敵をいち早く見つけて逃げることができるのです。後ろに誰がいるかわかるなんて便利ですね。

肉食動物は目が前向き

肉食動物の目は前向きについており、顔の中心に寄り目がちになっているのが特徴ですね。これは、ものを両目で見るためです。両目でものをみると、ものを立体的に見ることができます。そのおかげで、獲物を捕まえる時に距離感をはかりやすくなるという利点があるんです。

特徴2:『歯』の違い

動物の歯は口の入り口から順に、門歯→犬歯→臼歯と並んでいます。その基本的な構造はそんな動物も同じです。しかし、どんなものを食べるのかによって、発達している歯が異なるんですよ。詳しく見ていきましょう。

草食動物は臼歯が発達している

草食動物は草を主食にしているため、奥歯である臼歯が太くがっしりと生えています。実は食べ方も独特なんですよ。普通、私たちは食べ物をモグモグと縦方向に口を動かして噛みますよね。しかし草食動物はこの臼歯を使って、石うすのように横方向にすり合わせるようにして草を小さくするんです。噛むというよりかはすりつぶすというイメージですね。そのため、歯のかみ合わせの部分は平たくなっていて、でこぼこしていないのが特徴です。こうして草食動物は硬い草でも飲み込むことができるんですね。

肉食動物は犬歯が発達している

肉食動物は犬歯がよく発達しています。犬歯はいわゆるですね。鋭くとがった犬歯を使って、確実に獲物をしとめるんです。また、臼歯も尖ってハサミのような形状になっています。これは肉を裂きやすくして、食べやすいようにするためなんです。草食動物と同じ臼歯でも、その形状や使い方は全く異なるんですね。

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特徴3:『消化管』の違い

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外見からでは判断できませんが、草食動物と肉食動物では腸の長さも違うんですよ。

草食動物は腸が長い

草食動物の腸はとても長いんです。その理由は、植物の消化には時間がかかるため。

ここで、草食動物の消化の仕方には2種類あるのを知っていますか?

1つめが反芻といわれる消化の仕方。これはウシやヒツジにみられる消化方法です。この動物たち、実は胃が4つもあるんですよ。胃に運ばれた食物は4つの胃を順番に通って腸に送られます。中でも1番目の胃(第一胃)には微生物がたくさん住んでおり、それら微生物が発酵をすることによって、植物の中から栄養をとりだしてくれているんですよ。そのおかげで、あんなに大きな身体のウシやキリンでも、植物を栄養にして生きることができるんです。

2つ目は馬やウサギなどの仲間。これらの動物に胃は4つありませんが、かなり太い盲腸を持っているのが特徴です。反芻動物のように盲腸の中には細菌やバクテリアが住んでおり、これらの小さい生物に消化を助けてもらっているんですね。

このように、草食動物は特殊な消化器官をうまく使うことで、普通なら消化が難しい草でも消化することができるんです。そうやって時間をかけて消化してるため、腸が長くないといけないというわけですね。

肉食動物は腸が短い

一方で、肉食動物は腸が短いです。消化管の長さを動物ごとに比較すると、草食動物であるウマは12倍であるのに対し、肉食動物であるネコは体長の3~4倍ほどしかありません。肉はすぐに消化できるため、特別な消化器官もいらないんですね。そのため消化管が短くても大丈夫なんです。ちなみに雑食であるヒトは、体調の7.5倍と、ちょうど肉食動物と草食動物の中間ですね。

特徴4:『足』の違い

草食動物は長距離型

草食動物は非常に長い時間を走ることができます。これは、ライオンなどの自分を食べる捕食者から逃げるためです。また、新しい餌場を求めて長距離を移動する必要があるためでもあるんですよ。

草食動物は群れで生きる動物です。数が多ければそれだけ捕食者に狙われるリスクは低減しますし、それだけ目があれば捕食者を察知することもできます。ただし、その分エサがすぐになくなってしまいますよね。そのため定期的に場所を移動する必要があるのです。ヌーの大移動などが有名な例ですね。そんなときに長距離を走ることのできる持久力が活躍するんです。

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肉食動物は短距離型

肉食動物は短い距離を一気に駆け抜けることができます。獲物を追いかける時に、瞬間的に加速して速度をつけることで、獲物との距離を一気に縮めることができるんですね。世界最速の哺乳類と言われるチーターは時速120km/hで走ることで有名ですよね。ですが、スタミナがないためすぐに疲れてしまいます。

特徴5:『爪』の違い

草食動物はひづめがある

草食動物には硬くおおきなひづめがついているものが多いです。これは敵から逃げるために長距離を走りやすくする工夫なんですよ。また、草食動物は身体が大きいですよね。あの大きな身体を支え、足を痛めないようにするためにも強くて頑丈なひづめが必要なんですね。

肉食動物はかぎづめがある

肉食動物には鋭くとがったかぎづめがあります。猫に引っかかれた経験がある方もいるのではないでしょうか?かぎづめは、獲物を捕らえるためのいわば武器です。あの爪のおかげで自分よりも大きな身体の動物にとびかかり、決して離さないようにできるんですね。チーター以外のネコ科の爪は使わないときにはしまっておける優れものなんですよ。

雑食動物とは?

雑食動物とは、肉食、草食両方の食性をもつ動物のことです。人間はお肉も野菜も食べるため雑食ですよね。その他雑食動物にはイヌやカラス、ドブネズミなどがおり、比較的人の生活に近い生き物が多いです。野生動物だとクマやチンパンジーなどが雑食動物ですね。

雑食動物の歯は肉食動物と草食動物のちょうど中間のような形をしているんですよ。前歯では肉を噛み切りやすいように、奥歯は食べ物をすりつぶしやすいように、両方の特徴を持ち合わせています。

消化器の長さも肉食動物と草食動物の中間の長さです。草食動物の腸は大変長いですが、肉食動物は短いという特徴があることをお話ししましたね。その中間の長さの腸をもつ私たちは肉と野菜の両方から栄養を吸収できるのです。

これらの特徴は他の動物に比べ、進化的に利点が多いといえます。もし、生態系の環境に変化があった場合、時に動物は自分の食性などを変えなくてはなりませんね。しかし雑食の場合、栄養を補給する”あて”が幅広いため、あらゆる環境に適応できると考えられます。この特徴は、自分の行動範囲や生息地を拡大するためにも大いに役立っているんですよ。

草食動物と肉食動物の違いは生きるための工夫

ここまで読んでいただきありがとうございました。今回は、草食動物と肉食動物の違いについて解説してきましたね。目のつき方、歯や爪の形状、腸の長さ、それぞれの得意な走り方まで様々な点で大きな違いがありましたね。このような動物ならではの変わった身体の特徴や行動には必ず意味があります。これらは草食、肉食に限らず動物みんながもっている、生きていくための工夫なんです。だから動物には様々な種類や形があって面白いんですよね。今回の記事を読んで、動物たちが生きるために様々な工夫をしているということを知ってもらえたら嬉しいです。動物園などを訪れた際には、今日読んだ記事のことを思い出してみてくださいね。

画像使用元:いらすとや

" /> 草食動物と肉食動物には5つの違いがある!雑食動物についても獣医学部卒ライターが徹底わかりやすく解説! – Study-Z
理科生き物・植物生物

草食動物と肉食動物には5つの違いがある!雑食動物についても獣医学部卒ライターが徹底わかりやすく解説!

突然ですが、君は草食動物と肉食動物の違いを説明できるか?名前の通り、草食動物は植物を食べる動物、肉食動物は他の動物を食べる動物です。同じ哺乳類の仲間でも、食性の違いによって目、歯、腸、足、爪など様々な部位においてその特徴が異なる。それは言うまでもなく、草食動物は捕まらないようにするため、肉食動物は獲物を捕まえるために特化した体のつくりになっているんです。今回はそんな草食動物と肉食動物の違いについて、学生時代、獣医学部で動物のことを学んでいたライターみんちと解説していこう。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。最新の記事の情報も集めつつ、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

草食動物と肉食動物の違いをざっくり解説!

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草食動物とは植物を食べて生活している動物のこと。キリンやシマウマ、ヒツジやウシ、ウサギなどが挙げられます。

一方、肉食動物は他の動物を食べて生活している動物のこと。ライオンやチーター、ネコなどが肉食の仲間ですね。

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どちらの動物も同じ哺乳類の仲間ですが、食性によって体のつくりが大きく異なります。ここからは詳しい違いを解説していきましょう。

特徴1:『目』の違い

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