今回は「氷」と「塩」と「熱」がキーワードです。何かを冷やすとき、最もよく使われるのは氷を使うでしょう。氷を使うといろいろなモノを冷やすことができるよな。
しかし、なぜ氷を使うといろいろなモノを冷やすことができるんだ?さらに、氷に塩を入れると0℃以下に温度が下がることを知っているか?
今回は「氷を使うとなぜモノを冷やすことができるのか」、そして「氷に塩を入れるとなぜ0℃より温度を下げることができるのか」を化学に詳しいライターリックと一緒に解説していきます。
ライター/リック
高校生で化学にハマり、大学院までずっと化学を勉強してきた化学オタク。今は化学メーカーで働きながら化学の楽しさを発信する。
まずは水の状態変化を簡単に復習
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まずは、水の状態変化について簡単に復習していきましょう。
氷は、液体の水が固化した物質です。液体の水が0℃で氷るのは、一般的に知られていることですよね。そのため、0℃付近で氷は液体の水に状態変化し、液体の水は氷に状態変化しますよね。固体⇄液体に状態変化するときの温度のことを融点(凝固点)といい、液体⇄気体になるときの温度を沸点といいます。
では、水の沸点は、何度でしょうか?一般的には100℃ですよね。「一般的に」というのには理由があり、沸点は周りの気圧によって変化します。気圧が低くなるほど沸点は低くなり、水の沸点が100℃なのは、常圧の時なんです。
富士山の山頂は、気圧が地上よりも低くなるので、約87℃で水は沸騰します。気圧と沸点の関係は、別の記事で詳しく解説しているので、合わせてチェックしてみてください!
氷を入れると飲み物は冷たくなる!
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夏の暑い日、冷たーい飲み物を作りたい時、氷を使いますよね?氷を入れると飲み物はどんどん冷たくなります。
「どうして氷を入れると、飲み物は冷たくなるんでしょうか?」。当たり前に知っていることですが、氷を使うと物質を冷やすことができる理由って意外と説明できないと思います。氷が冷たいからでしょうか?確かにその通りですが、もう少し詳しくチェックしていきましょう。
氷を入れると飲み物が冷たくなる理由
ここからは「氷を使うと、飲み物が冷たくなる理由」を紹介していきます。
一番のポイントは熱の出入りです!水の融点は0℃でしたよね。例えば20℃の飲み物に氷を入れると、氷は液体の水に状態変化します。氷は水に状態変化するとき、周りから熱を奪って融解していくんです。これは融解熱と呼ばれます。
つまり、氷が液体の水に変化するとき、飲み物から熱を奪って水に変わるんです。そのため、熱を奪われた飲み物は温度が下がって冷たくなるんですね。物質の状態が変化するとき、必ず熱の移動があるんです。融解熱の他にも、液体から気体へ変わるときに発生する「気化熱」や固体から気体に変わるときの「昇華熱」、液体から固体へ変わるときの「凝固熱」などがあります。
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氷だけでは、0℃以下にはならない!?
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水の融点は0℃でしたよね。なので、氷を使って飲み物を冷やしても、飲み物は0℃以下まで冷やすことはできません。氷が水に変化するときに周りから熱を奪って温度を下げていくので、水の融点の0℃以下には温度を下げることができないんです。
「なら、0℃よりもっと冷やしたい時はどうすればいいんでしょうか?」
多くの人は、冷凍庫に入れることを簡単に思いつきますよね!冷凍庫の温度は約-18℃です。冷凍庫に入れれば、-18℃程度まで温度を下げることができます。ただ、実は氷を使っても同程度まで温度を下げることができるんです。
氷に塩を入れると温度が下がる?
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氷を使って飲み物を冷やす時は、0℃以下に温度を下げることはできないと先ほど紹介しました。しかし、あるものを氷と一緒に使うと、0℃以下まで温度を下げることができるんです。
それが食塩。氷に食塩をかけると0℃以下に温度が下がることは、一般教養として知っている方も多いかもしれません。ただ、どうして0℃以下に温度が下がるのか、説明できる人はそれほど多くはないと思います。次からは、氷と塩が合わさると何が起きるのか、解説していきますね。
\次のページで「氷と塩が合わさると2つの熱が発生する?」を解説!/