この記事では「草を打って蛇を驚かす」について解説する。

端的に言えば草を打って蛇を驚かすの意味は「意外な結果が生じる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

塾講師を経験したナギセを呼んです。一緒に「草を打って蛇を驚かす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナギセ

塾講師経験のあるライター。もちろん国語も教えた経験あり。国語好きを生かし、楽しく解説する。

「草を打って蛇を驚かす」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「草を打って蛇を驚かす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「草を打って蛇を驚かす」の意味は?

「草を打って蛇を驚かす」には、次のような意味があります。

なにげなくしたことから意外な結果が生じるたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「草(くさ)を打って蛇に驚く(草を打(う)って蛇(へび)を驚(おどろ)かす)」

 

ある者を懲らしめることによって、関連する他の人々への戒めとするたとえ。

出典:現代に生きる故事ことわざ辞典(旺文社)「草を打って蛇を驚かす」

異なった意味を同時に持つ慣用句です。なかなか覚えにくいかもしれません。なにげなく草を打って草むらにいる蛇を驚かしてしまうということでもあり、なにげなく草を打って出てきた蛇に自分が驚くということでもあります。そのため、どちらにせよ、なにげなくしたことから意外な結果が生じるたとえに使われているのです。

また、草を打つことで蛇を驚かせてしまうということは、草という対象を懲らしめることによって、草むらにいる、草に関連している蛇を驚かし戒めとするという風にも捉えることができ、このたとえが使われています。

「草を打って蛇を驚かす」の語源は?

次に「草を打って蛇を驚かす」の語源を確認しておきましょう。

中国によく賄賂をとる王魯(おうろ)という者がいました。部下が「ほかの役人が賄賂をとっている」と告げると、王魯は「汝、草を打つといへども、吾が蛇、すでに驚く」と言い、自分も賄賂をとるのをやめたという故事があります。

そこからこの慣用句が出来上がったようです。

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「草を打って蛇を驚かす」の使い方・例文

「草を打って蛇を驚かす」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.お母さんに質問したら、地雷を踏んだのか、ぴりついた空気になった。草を打って蛇を驚かしてしまったようだ。
2.宿題を忘れてきた生徒を先生が叱った。草を打って蛇を驚かすだ。自分も宿題を忘れないようにしよう。

1の例文はなにげなくしたことが意外なとんでもない結果を生み出すという意味で「草を打って蛇を驚かす」が使われています。2の例文は、ある者を懲らしめることによって他の人々への戒めとするという意味で使っていますよ。

「草を打って蛇を驚かす」の類義語は?違いは?

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「草を打って蛇を驚かす」の類義語にはどのようなものがあるのでしょうか。早速見ていきましょう!

その1「藪をつついて蛇を出す」

必要もないことをしたために災いを受けるたとえを表した慣用句です。また、あれこれせんさくしてかえって自分の不利になるようなことを引き出してしまうたとえにも使われます。藪蛇という言い方もしますね。

ここでは、蛇が災いのたとえとして用いられています。蛇の中には毒を持っているものもありますから、災いなどの良くないもののたとえに使われたのでしょう。少し蛇に同情してしまいますね。

1.「あなたが藪をつついて蛇を出すから、提出物が増えちゃったじゃない!」

   「ごめん。とほほ。」

2.「なあ、あのことについて聞いてみた方がいいんじゃないか?」

      「藪をつついて蛇を出すことないよ。もっと話がこじれるだろ。」

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その2「思いがけない」

意外である、思ってもみない、予期しないという意味の言葉です。思いがけず~してしまったという使い方をすることもあります。例文で見ていきましょう。

1.あと1週間しかない状況でこんな有力な手掛かりが得られたなんて思いがけないことだ。

2.思いがけず姉妹の関係性に傷をつけてしまった。

その3「人のふり見て我がふり直せ」

他人の行いの善悪を見て、自分の行いを反省し改めよという意味の慣用句です。ある者を懲らしめることによって、関連する他の人々への戒めとするたとえという意味である「草を打って蛇を驚かす」。これに対し、「人のふり見て我がふり直せ」は、その懲らしめられている状況を見て自分の戒めとするという意味になります。

1.「人のふり見て我がふり直せと言うだろう。彼の件から学び、君たちは指示通りに動くようにしなさい。」

2.最近彼はミスが多い。人のふり見て我がふり直せだ。私も気を引き締めていこう。

「草を打って蛇を驚かす」の対義語は?

「草を打って蛇を驚かす」の対義語にはどのようなものがあるのでしょうか。見ていきましょう!

その1「案の定」

予想していた通りに事が運ぶようすを表した言葉です。よく使われますよね。「案」には予想、考えという意味があります。「定」にはその通りであることという意味があるので、案の定=予想の通りとなるのですね。

1.彼女は案の定失敗した。

2.彼の人気はすさまじく、発売された雑誌は案の定すぐ売り切れた。

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その2「対岸の火事」

こちらは、はっきりと対になっている対義語という形ではありませんが、関連している部分があるのでご紹介します。「対岸の火事」は自分には関係がなくなんの苦痛もないことという意味です。これは、向こう岸の火事は、自分の方まで災いをもたらす心配がないということから来ています。

「草を打って蛇を驚かす」は、ある者を懲らしめることによって、関連する他の人々への戒めとするたとえで使われる言葉です。これに対し、「対岸の火事」は関係ないからとなんの心配も人に与えないことを指すのですよ。

1.このお知らせで話題になっていることは、僕にとっては対岸の火事だ。気にすることはない。

2.この問題を対岸の火事だと相手にしないのではなく、自分事と捉えて行動しよう。

「草を打って蛇を驚かす」の英訳は?

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「草を打って蛇を驚かす」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。見ていきましょう!

「stir up a hornet's nest」

stir upでよくかきまぜる、(騒ぎなどを)引き起こすという意味があります。hornetはスズメバチという意味です。nestは巣という意味なので、直訳すると「スズメバチの巣をよくかきまぜる」となります。

わざわざスズメバチの巣をかきまぜたら、どんなことになるか想像がつくでしょう。

Don't stir up a hornet's nest. Leave it as it is.

(訳:草を打って蛇を驚かすもんじゃない。そっとしておけ。)

「草を打って蛇を驚かす」を使いこなそう

この記事では「草を打って蛇を驚かす」の意味・使い方・類語などを説明しました。間違いやすい慣用句でもあるので気を付けて使いましょう。皆さんは草を打って蛇を驚かすようなことがないように注意してくださいね。

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【慣用句】「草を打って蛇を驚かす」の意味や使い方は?例文や類語を元塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「草を打って蛇を驚かす」について解説する。

端的に言えば草を打って蛇を驚かすの意味は「意外な結果が生じる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

塾講師を経験したナギセを呼んです。一緒に「草を打って蛇を驚かす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナギセ

塾講師経験のあるライター。もちろん国語も教えた経験あり。国語好きを生かし、楽しく解説する。

「草を打って蛇を驚かす」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「草を打って蛇を驚かす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「草を打って蛇を驚かす」の意味は?

「草を打って蛇を驚かす」には、次のような意味があります。

なにげなくしたことから意外な結果が生じるたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「草(くさ)を打って蛇に驚く(草を打(う)って蛇(へび)を驚(おどろ)かす)」

 

ある者を懲らしめることによって、関連する他の人々への戒めとするたとえ。

出典:現代に生きる故事ことわざ辞典(旺文社)「草を打って蛇を驚かす」

異なった意味を同時に持つ慣用句です。なかなか覚えにくいかもしれません。なにげなく草を打って草むらにいる蛇を驚かしてしまうということでもあり、なにげなく草を打って出てきた蛇に自分が驚くということでもあります。そのため、どちらにせよ、なにげなくしたことから意外な結果が生じるたとえに使われているのです。

また、草を打つことで蛇を驚かせてしまうということは、草という対象を懲らしめることによって、草むらにいる、草に関連している蛇を驚かし戒めとするという風にも捉えることができ、このたとえが使われています。

「草を打って蛇を驚かす」の語源は?

次に「草を打って蛇を驚かす」の語源を確認しておきましょう。

中国によく賄賂をとる王魯(おうろ)という者がいました。部下が「ほかの役人が賄賂をとっている」と告げると、王魯は「汝、草を打つといへども、吾が蛇、すでに驚く」と言い、自分も賄賂をとるのをやめたという故事があります。

そこからこの慣用句が出来上がったようです。

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