端的に言えば目が出るの意味は「びっくりして目を見開く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
塾講師を経験したナギセを呼んです。一緒に「目が出る」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/ナギセ
塾講師経験のあるライター。もちろん国語も教えた経験あり。国語好きを生かし、楽しく解説する。
「目が出る」の意味は?
「目が出る」には、次のような意味があります。
1.びっくりして目を非常に大きく見開く。目が飛び出る。目の玉が飛び出る。
2.幸運が巡ってくる。芽が出る。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「目(め)が出る」
異なる二つの意味をもつ慣用句です。聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。よく驚いて目玉が飛び出しているイラストなどがありますよね。1の意味はそのイラストがよく表しています。
2の意味は芽が出るとも書きますよ。こちらの芽の方が覚えやすいかもしれません。
「目が出る」の語源は?
次に「目が出る」の語源を確認しておきましょう。
2の意味は、さいころのいい目が出るというところから来ています。そのため、いい目が出るという言い方をすることもありますよ。
「目が出る」の使い方・例文
「目が出る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.彼のはなはだしい変化に目が出た。
2.全く勝ち目がなくてダメだと思っていた勝負だったがふとしたきっかけで目が出た。
1と2でそれぞれ違う形で「目が出る」を使っています。
その1「目を見張る」
怒ったり驚いたり感心したりして目を大きく見開くという意味の慣用句です。怒ったり感心したりすることも意味に含まれてくるので、その点が「目が出る」とは少し違います。
「見張る」だけで目を大きく開いて見るという意味がありますよ。
1.彼の毎日のたゆまぬ努力には目を見張るものがある。
2.この一週間、漢字の勉強をしていたところなんて一度も見てないが、息子のテストの良い結果に目を見張った。
3.今日の新聞に掲載されている記事の内容のひどさに目を見張る。
その2「呆気にとられる」
意外なことに出会い、驚きあきれる状態のことを表す慣用句です。「あっけ」と読みますよ。あきれるというニュアンスが含まれる点が「目が出る」とは違います。
「呆気」には、古語のぼんやりとしたようすを表す擬音語の「開口(あんけ)」からきたという説があるのですよ。また「とられる」はある状態に取りつかれるという意味です。
1.速報を出した割には情報が薄くて呆気にとられてしまった。
2.彼女が突然踊りだして呆気にとられた。
3.外国人だと思っていた人が日本語の難しい用語や俗語を流暢に話していて呆気にとられた。
その3「腰を抜かす」
驚きや恐れのために立ち上がれなくなるという意味の慣用句です。立ち上がれなくなるという意味が含まれる点が「目が出る」とは違います。
腰は体の上半身と下半身をつなぐ大事な部分ですよね。この腰が抜けてしまうと、立ち上がれなくなってしまいます。そこから腰が抜けるほどの驚きを表しているのでしょう。
1.あまりに未練たらたらの彼の手紙に腰を抜かす。
2.恐ろしさに腰を抜かしてしまった。
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