水と油の違いはその極性にある
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chris 論 (vectorisation), Raimund Apfelbach – File:Wasserstoffbrückenbindungen Wasser.png, パブリック・ドメイン, リンクによる
水と油では、水の分子間力が強い理由は、極性というものが関わっています。
極性とは分子全体で見た電荷のかたよりのことで、実は水分子は極性を持っているんです。より簡潔に言えば、水分子は局所的に帯電していると言い換えられます。逆に、油は基本的に極性を持っていません。
極性を持っている分子は静電気力で引きつけ合うため、分子間力が大きいです。
水分子が極性を持っている理由は、水分子の構造と電気陰性度というものが関わっています。引き続き、水分子について深堀りしていきましょう。
水分子の極性と水素結合
image by Study-Z編集部
水分子は酸素原子を中心とした折れ線形の構造をとっています。まずは折れ線形になる理由について軽くおさらいしましょう。
水分子は画像のような電子のセット(電子対)を4つ持っている電子配置です。ここで、電子対は全て-の電気を持っているので、最も離れた位置に移動していきます。そのため電子配置全体では正四面体をとっており、水素と酸素だけを見ると結果折れ線形になるんですね。
また、水素原子と酸素原子では、酸素原子の方が電子を引きつけやすく、水分子中の酸素原子は-の電気より、水素原子は+の電気よりにかたよっているんです。各元素の電子の引きつけやすさを電気陰性度と呼びます。
このように極性を持った水分子は、+の電荷を持った水素原子と-の電荷を持った酸素原子が引き合う水素結合という結合を取ることが可能です。水素結合は分子間力による結合よりかなり強いので、水分子どうしがまとまる原因となります。
どうすれば水と油は混ざるの?
水は極性を持っている物質であるため、極性を持っていない油とは相性が悪くほとんど混ざりません。逆に、アンモニアやアルコール類など、極性を持つ物質は水に溶けやすい性質を持ちます。
それでは、水と油を混ぜるにはどうすれば良いのでしょうか?それには、石鹸をはじめとする界面活性剤の作用が必要不可欠です。最後に、界面活性剤の構造とその効果について解説していきます。
水と油の間を取り持つ界面活性剤
image by iStockphoto
界面活性剤は、炭素と水素が直鎖状につながっている油に似た部分と、水分子のように極性を持つ部分が結合した構造をしています。そのため、油に似た部分は極性のない分子と反応しやすく、水に似た部分は極性のある分子と反応しやすいです。
このように、反応を起こしやすい物質の性質を親和性と呼び、界面活性剤の水に反応する部分は親水基、油に反応する部分は親油基(疎水基)と呼ばれています。
水と油が分離しているところに界面活性剤を加えることで、水と油の界面に界面活性剤が集まり、界面張力を弱めることが可能です。界面に作用する物質のため、界面活性剤と呼んでいるんですね。
界面張力が弱まると、界面活性剤に囲まれた形で油滴が水中に分散していき、水に油が溶け込んでいくことになります。ちなみに、料理のレシピなどで耳にする乳化とは、実はこの現象のことを指しているんです。
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