今回は「池田菊苗」という人物について紹介していくぞ!テストにはあまり出ないが、実はすごい物質を発見した人物なんです。
それはうま味成分だ!「味の素」という名前は誰でも聞いたことあるでしょう。「味の素」は世界中で使われているうま味調味料ですが、「味の素」に使われる成分を世界で初めて発見したのが「池田菊苗」です。

この発見は「日本の十大発明」に数えられるほどすごい発見です。
今回は日本の化学者「池田菊苗」の功績と「うま味成分」の正体を化学に詳しいリックと一緒に解説していきます。

ライター/リック

高校生で化学にハマり、大学院までずっと化学を勉強してきた化学オタク。今は化学メーカーで働きながら化学の楽しさを発信する。

池田菊苗って、なにを発見した人?

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不明 - Google Arts and Culture [1], パブリック・ドメイン, リンクによる

池田菊苗って名前聞いたことありますか?戦前日本の化学者で、東京帝国大学理科大学化学科(現東京大学理学部化学科)の教授だった人物です。実は…私たちの生活に欠かせないある調味料の成分を発見した人物なんですよ。

その発見とは、うま味成分であるグルタミン酸ナトリウム。これは「日本の十大発明」の一つに数えられるほどすごい発見でした。

池田菊苗博士、大発見までの道のり

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ここからは、池田博士の功績をご紹介します。

池田博士は1864年京都に誕生。1889年東京帝国大学理科大学化学科を卒業し、1899年からドイツへ1年半留学、ロンドンで半年間過ごしました。ドイツでは、ノーベル化学賞を受賞したオストワルド教授の元で物理化学を学びました。

オストワルド教授は硝酸の製法「オストワルト法」を考案した人物です。高校化学で必ず覚える手法で、反応を覚えるのに苦労した人も多いはず…オストワルド教授は物理化学の分野を確立した人物でもあります。

池田博士が気づいた新たな味覚の存在

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池田博士はドイツで食べたトマトやアスパラガス、肉やチーズにそれまでの研究で分かっていた4つの味覚「甘味、酸味、塩味、苦み」とは別の味覚があることに気づいていました。1901年日本へ帰国し東京帝国大学理科大学化学科の教授に就任、1907年の春、昆布だしの中にドイツで食べたチーズやアスパラガスと同じ味を感じたことを思い出します。

この気づきがきっかけになり、昆布からこの味覚の成分を取り出すための研究を始めました。そして1908年2月、約12kgの昆布から約30gの物質を得ることに成功しました。この物質を分析した結果、グルタミン酸であることがわかりました。そして、この味覚を「うま味」と名付けたんです!

\次のページで「池田博士はあの大企業の生みの親?」を解説!/

池田博士はあの大企業の生みの親?

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武蔵清亮 - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, リンクによる

うま味成分を発見した池田博士に、次の大きな転機が訪れます。それが、鈴木製薬所の当主、鈴木三郎助氏との出会いです。池田博士は日ごろから「うま味成分を主成分にした調味料で、日本人の栄養状態をよくしたい」と考えていました。鈴木三郎助氏が池田博士の元を訪れたことがきっかけで、池田博士の願いが実現へと加速していったのです。

池田博士は実業家で市場を読む能力が高かった鈴木と協力し、一般家庭でより使いやすい調味料の開発を目指し、研究を行いました。グルタミン酸を中和し、グルタミン酸の塩を作る実験を繰り返した結果、水に溶けやすく、吸湿性のないサラサラした特徴のグルタミン酸ナトリウムが調味料に最適だと判断したんです。

そして1909年、化学者と実業家がタッグを組んで開発した全く新しい調味料が誕生しました!

この調味料の名は「味の素」でした。味の素という調味料…と聞けばピンッ!ときますよね。今も私たちの生活に欠かせない調味料の一つ、味の素はこの時誕生したんです。味の素の成分はグルタミン酸ナトリウムなんですよ。そして、鈴木三郎助が当主を務めていた鈴木製薬所がのちに、今も続く巨大企業「味の素株式会社」になったんです。

池田博士の発見から、世界へ広がる新たな味覚

池田博士の発見から、世界へ広がる新たな味覚

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5つ目の新しい味覚「うま味」は日本から世界中へ広がっていきました。1914年に台湾、1918年には中国、そして1920年代にはアメリカへの輸出もはじまっていきました。

また、それまでは味覚は「甘味、酸味、塩味、苦み」の4つとされていましたが、新たな味覚の登場は学会での議論を巻き起こしました。その後、舌の味蕾部分の感覚細胞にグルタミン酸受容体の存在が確認されたことで、「うま味」は味覚の一つであることが認められるようになったんです。実は「うま味」は海外でもそのまま「UMAMI」として認識されているんですよ。

池田博士はうま味の研究以外にもたくさんの分野の発展に貢献して、池田博士が発明者名義の特許は国内で32件、海外で17件にのぼります。

池田博士は理化学研究所の設立にも尽力

うま味成分の研究後、池田博士は1917年、理化学研究所の設立にも関与しました。のちに理化学研究所の主任研究員も務めたんです。さらに、日本化学会会長や帝国学士院会員となるなど、日本の化学界の発展に大きく貢献し、学会・学術活動も盛んに行っていました。

日本人化学者が発見した新たな「うま味」

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新しい味覚「うま味」を発見した池田博士ですが、その高弟である小玉新太郎氏が鰹節から「イノシン酸」を発見しました。さらにその後、国中明博士が核酸の分解物である「グアニル酸」もうま味物質であることを発見しました。「グルタミン酸ナトリウム」「イノシン酸」「グアニル酸」の3大うま味成分はすべて日本人化学者によって発見されました。

 

\次のページで「「味の素」の名前が決まるまでの裏話」を解説!/

「味の素」の名前が決まるまでの裏話

ここでは「味の素」という名前が決まるまでの裏話をご紹介します。「味の素」は全く新しい調味料だったので、ネーミングは一つ大きな問題になりました。

池田博士は新調味料をはじめ「味精」と名付けました。しかし、当時アルコールは「酒精」、デキストリンは「糊精」、サッカリンは「甘精」と呼ばれていて「味精」では薬品をイメージしてしまい、商品名としてはよくないのでは?という意見が出ていたんです。

協議の結果「だしの元」「鰹の元」「味の王」「味の元」などの名称が候補に挙がりました。さらに検討した結果、「味の元」が候補の中から選ばれましたが、決定の直前「元」を「素」に変えてはどうか?という意見が出たため、最終的に「味の素」が商品名として決定したんです。

「味の素」の名前は、1909年11月8日に特許庁に出願され、12月24日に商標登録されています。なので、「味の素」という名前は皆さんが思い出すあの商品にしかつけることができないんですよ!

世界を変えた「新しい味覚」を発見した池田博士

今回は池田博士の功績と新しい味覚「うま味」成分の正体をご紹介しました。私たちの生活に欠かせない調味料は池田博士の小さな気づきから生まれました。そして今も続く大企業「味の素株式会社」も化学者と実業家の2人からはじまったんです。

テストで出題されることは少ないですが、世界を変えた発見の一つであることは間違いないので、ぜひチェックしてください!

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化学理科

池田菊苗は味の素の生みの親!旨味成分の発見者の功績やグルタミン酸との関係について理系ライターがわかりやすく解説


今回は「池田菊苗」という人物について紹介していくぞ!テストにはあまり出ないが、実はすごい物質を発見した人物なんです。
それはうま味成分だ!「味の素」という名前は誰でも聞いたことあるでしょう。「味の素」は世界中で使われているうま味調味料ですが、「味の素」に使われる成分を世界で初めて発見したのが「池田菊苗」です。

この発見は「日本の十大発明」に数えられるほどすごい発見です。
今回は日本の化学者「池田菊苗」の功績と「うま味成分」の正体を化学に詳しいリックと一緒に解説していきます。

ライター/リック

高校生で化学にハマり、大学院までずっと化学を勉強してきた化学オタク。今は化学メーカーで働きながら化学の楽しさを発信する。

池田菊苗って、なにを発見した人?

Kikunae Ikeda.jpg
不明 – Google Arts and Culture [1], パブリック・ドメイン, リンクによる

池田菊苗って名前聞いたことありますか?戦前日本の化学者で、東京帝国大学理科大学化学科(現東京大学理学部化学科)の教授だった人物です。実は…私たちの生活に欠かせないある調味料の成分を発見した人物なんですよ。

その発見とは、うま味成分であるグルタミン酸ナトリウム。これは「日本の十大発明」の一つに数えられるほどすごい発見でした。

池田菊苗博士、大発見までの道のり

image by iStockphoto

ここからは、池田博士の功績をご紹介します。

池田博士は1864年京都に誕生。1889年東京帝国大学理科大学化学科を卒業し、1899年からドイツへ1年半留学、ロンドンで半年間過ごしました。ドイツでは、ノーベル化学賞を受賞したオストワルド教授の元で物理化学を学びました。

オストワルド教授は硝酸の製法「オストワルト法」を考案した人物です。高校化学で必ず覚える手法で、反応を覚えるのに苦労した人も多いはず…オストワルド教授は物理化学の分野を確立した人物でもあります。

池田博士が気づいた新たな味覚の存在

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池田博士はドイツで食べたトマトやアスパラガス、肉やチーズにそれまでの研究で分かっていた4つの味覚「甘味、酸味、塩味、苦み」とは別の味覚があることに気づいていました。1901年日本へ帰国し東京帝国大学理科大学化学科の教授に就任、1907年の春、昆布だしの中にドイツで食べたチーズやアスパラガスと同じ味を感じたことを思い出します。

この気づきがきっかけになり、昆布からこの味覚の成分を取り出すための研究を始めました。そして1908年2月、約12kgの昆布から約30gの物質を得ることに成功しました。この物質を分析した結果、グルタミン酸であることがわかりました。そして、この味覚を「うま味」と名付けたんです!

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