突然ですが、ラクダのこぶの中には何が入っているか知っているか?水が入っていると勘違いいている人が多いが、実はあの中身は「脂肪」なんです。こぶにはラクダが熱い砂漠で生きるための秘密がたくさん詰まっている。今回はそんな過酷な環境を生きるラクダの秘密について、学生時代、獣医学部で動物のことを勉強していたライターみんちが解説します。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。最新の記事の情報も集めつつ、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

こぶは砂漠を生きるラクダの知恵!?

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ラクダと言えば大きな目に長いまつげ、それから何といっても存在感をほこる背中のこぶ。皆さんはこぶの中身が何か知っていますか?「水なんじゃないの?」と勘違いする人もいますが、実はあれ“脂肪”なんです。一見、頑丈そうにも見えますが、実際は触るとぷにぷにしていて柔らかいんですよ。今回はそんなラクダのこぶの秘密について学んでいきましょう。

こぶに入っているのは水ではなく脂肪

突然ですが、砂漠を生きるラクダにとって一番大変なことは何だと思いますか?答えは”水や食べ物を探す”こと。1年中太陽が照り付け、乾燥した熱い砂地が広がる大地には食べ物や水はほとんどありません。そこでこぶの中にある"脂肪"が役立ちます。脂肪には多くのエネルギーが含まれているため、ラクダは食べ物がなくてもこぶの中の脂肪から栄養を少しづつ取り出して消費しているんです。

また、脂肪は使われると二酸化炭素と水に分解されます。二酸化炭素は呼気として吐き出されますが、水は体の中で有効利用されるんです。つまり、こぶはエネルギーや水の貯蔵庫の役割を果たしているんですね。

image by Study-Z編集部

ちなみに、ラクダの身体にはこぶ以外にも体内の水を確保するための様々な工夫があるんです。その1つに赤血球の形が楕円形であることが挙げられます。赤血球とは血液の主成分のひとつです。赤血球がいるおかげで体中に酸素が運ばれ、私たちは活動することができます。ですが、体内の水分量が少なくなると血液が濃縮し、赤血球の動きが滞ってしまいますね。一方で、ラクダの赤血球の場合は、楕円形の形をしているため、狭い場所でもすり抜けることができるんです。そのため、赤血球濃度が濃くなっても血液を循環させことができます。この仕組みのおかげで、ラクダは水の少ない砂漠地帯でも生きることができるんですね。

こぶには断熱効果がある

こぶには断熱効果の役割もあります。砂漠では暑いときには50℃を超える時期も…。そんなに過酷な環境下で日光に照らされ続けていたら身体が弱ってしまいますよね。そこで、大きな脂肪の塊が日傘の役割をしているんです。脂肪は断熱性が高いため、熱い太陽からも腹部を守ることができるんですね。

こぶが1か所もしくは2か所に脂肪を集中させているのにもちゃんと理由があります。もし、身体全体に脂肪がまとわりついていたとすると今度は熱を体から逃がしにくくなってしまいますね。そのため、こぶとして体の一か所に脂肪をためておくことで、身体全体に脂肪があるよりも体の熱を逃がすのに効率的なんです。

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子供のラクダにはこぶがない!

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ちなみに生まれたばかりのラクダにはこぶがありません。どのようにしてこぶが形成されるのかというと、成長とともに脂肪が蓄積されることでできあがるんです。しかも、子ラクダの背中にはまだこぶがない代わりに脂肪がためられように背中の皮にたるみがあるんですよ。生まれたときから脂肪をためるスペースが確保されているなんて驚きですね。

こぶは栄養状態を観察するための大切な指標でもあるんです。しっかり食べ物を食べて栄養状態がいいとハリがあり、頑丈なこぶになります。一方で、飢餓状態にあるラクダや高齢のラクダのこぶはしぼんでしまい、だらんとした状態なんです。動物園などでラクダを見かけた際には注目してみてくださいね。

違いはこぶの数だけではない?ヒトコブラクダとフタコブラクダ

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世界にはヒトコブラクダフタコブラクダの2種類のラクダがいます。

ヒトコブラクダ:世界のラクダの9割を占める

その名の通り、ヒトコブラクダはこぶが1つで、スリムで足が長く、毛が短いという特徴があります。比較的暑さに強く、湿度にもある程度強いと言われているスゴものなんです。アラビア半島や西アジア、北アフリカなどに生息しています。なんと世界のラクダのうち約9割がヒトコブラクダなんです。こんなに数が多かったなんて驚きですね。

フタコブラクダ:寒い地域にも対応可能

フタコブラクダは比較的体格が大きく、頑丈な体つきが特徴です。背中には大きなこぶがなんと2つも。中国北西部やモンゴルでは野生でも生息しています。ヒトコブラクダとは違い、耐暑性が強いため低温の地域でもへっちゃらなんですよ。ラクダは暑い地域に生息する動物だというイメージがありますが、寒くても大丈夫なんて意外な事実でしたね。

日本の動物園にはフタコブラクダが多い印象ですが、世界的に見ればその数はわずか10%程度。意外と動物園でみるラクダはレアな生き物だったんですね。

ラクダ以外のこぶをもつ動物

最後に、ラクダ以外にこぶを持つ動物をいくつか紹介しましょう。

1匹目はコブダイ。日本の海にも生息する大型の魚です。名前の通り、頭部に大きなこぶがついていて、ラクダと同じく脂肪でできています。ですが生態学的にはこぶがついている理由はわかっていないんだそうです。

お次はガチョウ。ガチョウと言えばアヒルと間違われることが多々あります。そんな時に見分けるポイントになるのが顔についてるこぶ。くちばしの根本の部分に少しでっぱりが見えるのですが、それがこぶなんです。こぶがある詳しい理由はわかっていませんが、もしアヒルとガチョウを見分ける機会があれば注目してみてくださいね。

最後はシロイルカ。癒し顔で愛嬌たっぷりのシロイルカの頭には大きなこぶがあります。このこぶは果物のメロンに形が似ていることから「メロン」と呼ばれているんですよ。このメロンは音波を出して、コミュニケーションをとったり、エサをみつけるのに使われているんだそうですよ。

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こぶはただの飾りじゃない!

ここまで読んでいただきありがとうございました。今回はラクダのこぶについて、その役割や砂漠を生きるための身体の仕組みなどを紹介しましたね。単にこぶといっても砂漠を生きるために欠かせない栄養源でもあり、日傘の役割でもあります。これはすべて、過酷な環境を生きるための生物ならではの戦略だったんですね。今回の記事を読んで、少しでも動物に興味を持ってもらって「ラクダってすごいな」と思っていただけたら嬉しいです。動物園に行った際にはぜひ思い出してみてくださいね。

画像使用元:いらすとや

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理科生き物・植物生態系生物生物の分類・進化

こぶの中身は水じゃなかった!砂漠を生きるラクダの秘密を獣医学部卒ライターがわかりやすく解説!

突然ですが、ラクダのこぶの中には何が入っているか知っているか?水が入っていると勘違いいている人が多いが、実はあの中身は「脂肪」なんです。こぶにはラクダが熱い砂漠で生きるための秘密がたくさん詰まっている。今回はそんな過酷な環境を生きるラクダの秘密について、学生時代、獣医学部で動物のことを勉強していたライターみんちが解説します。

ライター/みんち

学生時代、獣医学部で動物の知識を学んだ。趣味は動物園巡り。最新の記事の情報も集めつつ、初心者にもわかりやすく、質のある情報を提供できるよう、日々奮闘中。

こぶは砂漠を生きるラクダの知恵!?

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ラクダと言えば大きな目に長いまつげ、それから何といっても存在感をほこる背中のこぶ。皆さんはこぶの中身が何か知っていますか?「水なんじゃないの?」と勘違いする人もいますが、実はあれ“脂肪”なんです。一見、頑丈そうにも見えますが、実際は触るとぷにぷにしていて柔らかいんですよ。今回はそんなラクダのこぶの秘密について学んでいきましょう。

こぶに入っているのは水ではなく脂肪

突然ですが、砂漠を生きるラクダにとって一番大変なことは何だと思いますか?答えは”水や食べ物を探す”こと。1年中太陽が照り付け、乾燥した熱い砂地が広がる大地には食べ物や水はほとんどありません。そこでこぶの中にある”脂肪”が役立ちます。脂肪には多くのエネルギーが含まれているため、ラクダは食べ物がなくてもこぶの中の脂肪から栄養を少しづつ取り出して消費しているんです。

また、脂肪は使われると二酸化炭素と水に分解されます。二酸化炭素は呼気として吐き出されますが、水は体の中で有効利用されるんです。つまり、こぶはエネルギーや水の貯蔵庫の役割を果たしているんですね。

image by Study-Z編集部

ちなみに、ラクダの身体にはこぶ以外にも体内の水を確保するための様々な工夫があるんです。その1つに赤血球の形が楕円形であることが挙げられます。赤血球とは血液の主成分のひとつです。赤血球がいるおかげで体中に酸素が運ばれ、私たちは活動することができます。ですが、体内の水分量が少なくなると血液が濃縮し、赤血球の動きが滞ってしまいますね。一方で、ラクダの赤血球の場合は、楕円形の形をしているため、狭い場所でもすり抜けることができるんです。そのため、赤血球濃度が濃くなっても血液を循環させことができます。この仕組みのおかげで、ラクダは水の少ない砂漠地帯でも生きることができるんですね。

こぶには断熱効果がある

こぶには断熱効果の役割もあります。砂漠では暑いときには50℃を超える時期も…。そんなに過酷な環境下で日光に照らされ続けていたら身体が弱ってしまいますよね。そこで、大きな脂肪の塊が日傘の役割をしているんです。脂肪は断熱性が高いため、熱い太陽からも腹部を守ることができるんですね。

こぶが1か所もしくは2か所に脂肪を集中させているのにもちゃんと理由があります。もし、身体全体に脂肪がまとわりついていたとすると今度は熱を体から逃がしにくくなってしまいますね。そのため、こぶとして体の一か所に脂肪をためておくことで、身体全体に脂肪があるよりも体の熱を逃がすのに効率的なんです。

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