
大学院で植物の研究していた、生物に詳しいライターAnnaと一緒に解説していきます。

ライター/Anna
大学で生物学について幅広く学び、大学院では植物の研究をしていた。生物学の楽しさをたくさんの人に広められるよう日々勉強中。
短日植物ってどんな植物?

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短日植物とは簡単に言うと日照時間が短い時に花をつける植物のことです。もう少し厳密に説明すると、「夜の暗い時間(暗期)がある一定の時間より長くなるような条件で花芽の形成が促進される植物」を短日植物と言います。
一般的に日照時間が短い夏至を過ぎた後〜秋頃に開花するものの多くは短日植物です。短日植物とは逆に日照時間が長い期間に花をつける植物は「長日植物」と呼ばれていて、短日植物や長日植物のように昼の長さ(明期)と夜の長さ(暗期)によって物質の代謝や発育が変化する性質を「光周性(こうしゅうせい)」と言います。光周性は植物だけでなく動物にもあるんですよ。
短日植物の例:アサガオ、コスモス、イネ

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先ほど説明したとおり日照時間が短くなる夏至を過ぎた頃から秋頃に花を咲かせる植物は短日植物であることが多いです。夏の朝に花を咲かせるアサガオや、秋に花を咲かせるコスモスは短日植物なんですよ。また、私たちが普段よく食べるお米はイネから収穫できますがイネも短日植物です。特にイネはモデル植物と言って実験で扱いやすいことからよく生物学の研究に使われていて、日照時間の変化によってどのような遺伝子が働いているのか、といった研究にも使われています。
ここで紹介した3種類の植物は代表的な短日植物ですが、ここでは紹介しきれないくらいたくさんの植物が短日植物として知られているので、ぜひ自分の身近な植物が短日植物かどうか調べてみてくださいね。
短日植物や長日植物に重要な「光周期」とは?
植物が昼や夜の長さ、つまり明期や暗期の長さに応じて花芽を形成する性質を光周性と言いましたが、光周期とは1日の明期と暗期のサイクルのことです。
植物の光周性が発見された当時は光周期のうち明期の長さが重要であると言われていましたが、様々な研究から現在では「連続した暗期の長さ」が重要であると言われています。花芽の形成に必要な連続した暗期の長さを「限界暗期」と言い、短日植物の場合、暗期の長さが限界暗期より長くなると花芽を形成するということです。つまり花芽を形成するかしないかの分かれ目となるわけですね。
ちなみに暗期の途中で光が照射されて連続した暗期でなくなってしまうことを「光中断」と言い、光中断があると花芽の形成が阻害されてしまいます。よって、単純に「暗期の長さ」ではなく「連続した暗期の長さ」が重要となるのです。
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