今日は「明太子と辛子明太子の違い」について見ていきます。
明太子と辛子明太子の違いは明確に分かるか?「同じものでしょ」という意見も聞こえてきそうですが、実はそれは不正解とも言えるのです。その理由を知ることで、明太子への思い入れが一層深くなってくるかもしれない。
今回は世界各国から食品の輸入を手掛ける現役商社マンMIYABIと一緒に解説していきます。

ライター/MIYABI

某大手商社の食品部門に勤務する現役営業ウーマン。食材の特性や組み合わせを考えプレゼンするのが仕事であり、その知識を家事にも活かしながら料理を楽しむのを日課としている。

「明太子・辛子明太子」違いは唐辛子の有無にあり!

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炊き立てごはんのおかずにピッタリな明太子。これがあるだけで何杯でもおかわりできちゃいますね。コンビニのおにぎりはさることながら、今やスパゲッティの専門店もあるほど人気の食材、明太子。そんな時にふと「明太子って辛子明太子だっけ?」と思う人もいるのではないでしょうか。ですが実は両者は別物で、辛さの有無自体が違っていたのです。

明太子は辛くない!明太子は「辛子明太子の略語」じゃなかった

明太子と辛子明太子、同じものと思いきや実は別物です。明太子はスケトウダラの卵巣を塩蔵(=塩に漬けること)したものであるのに対し、辛子明太子は塩蔵したスケトウダラの卵巣を、さらに唐辛子を使った調味液に漬けたもの。要は、唐辛子を使って漬けているかどうかが両者の違いであって、「辛子明太子」を略して呼んだものが「明太子」というわけではないのです。

とはいえ一般的に「明太子=辛子明太子」になっている理由

前述の通り、明太子と辛子明太子はそもそもは別物でした。ですが現在は、明太子=「辛く味付けされた魚卵」という概念が一般的となっており、辛子明太子と同義のものとして認識されています。実際に明太子で有名なメーカー数社のホームページでも、いわゆる辛子明太子のことを「明太子」と表記して説明していますね。

これは、日本に明太子をもたらしたと言われる博多の「ふくや」が、辛子明太子を発売する際に「明太子」として販売したことが理由であると言われています。時代と共に辛子漬けした明太子が日本各地に広まり、ここから「明太子=辛く味付けしたもの」という認識が広まったようですね。

日本では昔から食べられていた明太子

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前章ではざっくりと、明太子と辛子明太子の違いを説明しました。ここからは明太子についてその詳細を調べ、さらに理解を深めていきましょう。

明太子はスケトウダラの卵の塩漬け

明太子はスケトウダラというタラ科の魚の卵巣を塩漬けしたものです。日本では大正時代には「明太子」という言葉が見られ、メンタイと呼ばれていた資料も残っています。

なお、スケトウダラの卵巣は左右2本で一対を成しており、2本で1腹(ひとはら)と数えるのです。1本が1腹ではないのですね。また、スケトウダラ一尾の卵巣にある魚卵数は20万~150万ほどになるそうで、つまりこれはスケトウダラが1回に産卵する卵の数。そう考えると、明太子に宿る命のパワーたるや、すごいものです。

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「明太子とたらこ」実は同じもの!

明太子について調べるうちに、「あれ?だとすると明太子とたらこは似ているのでは?」と思った方もいるでしょう。そう、正解です!たらこはタラの卵巣を塩漬けにしたもの。一般的にはスケトウダラの卵巣が使用されることがほとんどで、つまり明太子とたらこは同じものを指していたのです。

「明太子とたらこ」呼び名の違いは語源と地域性の違い

そもそも同じである明太子とたらこ、その違いは「語源の違い」から始まります。たらこは文字通り「鱈(タラ)の子」で、日本語由来の単語。鱈の子は、日本では既に江戸時代には食されており、昭和30年代までは「たらの子」と呼ばれていました。それが徐々に略して「たらこ」と呼ばれるようになったようです。

一方、「明太子」は韓国語がルーツ。スケトウダラは韓国語で「明太(ミョンテ)」と呼ばれますが、そこから日本風に「子」を付け、博多を中心に「明太子」と呼ばれるようになりました。朝鮮半島と行き来が活発だった地域ならではですね。つまり、明太子は「たらこ」の一方言なのです。なお、福岡では「真子(まこ)」、北陸や北海道などでは「紅葉子(もみじこ)」などと呼ばれることもあるそうですよ。言葉のルーツはもとより、結局は地域による呼び方の違いということなのでしょうね。

辛子明太子は朝鮮の味をヒントにアレンジした日本独自のおかず

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では次に、辛子を使用して漬け込んだ辛子明太子がどんなものなのかを詳しくみてきましょう。辛子明太子の原料も、明太子と同じくスケトウダラの卵巣です。明太子はこの卵巣を塩漬けにしますが、辛子明太子は塩漬けにしたあと、さらに唐辛子入りの調味液に漬け込んで作ります。

戦後日本人好みに改良されたのが今の辛子明太子

辛子明太子に近いものは、そもそもは朝鮮半島で食されていました。これは、たらこのキムチ漬けのようなものだったようで、朝鮮と交流のあった九州方面には昔から流通していたようです。ですが、現在私達が食べている辛子明太子とは若干味が異なっていました。

今の辛子明太子の始まりは、日本人の川原夫妻であると言われます。朝鮮半島で育った夫妻は、戦後に日本に戻った後も、現地で食べていたあの辛いたらこの味が忘れられませんでした。そこで10年もの歳月をかけ日本人好みに味の改良を重ね、辛子明太子を完成させました。これが今の辛子明太子の始まりで、かの有名な明太子の元祖「ふくや」です。ふくやが辛子明太子を「明太子」として販売し、これが全国に広がったことで、今では「明太子=辛い」というイメージが定着しています。

日本人に馴染む数々の食材がダシの決め手

明太子と辛子明太子では、もちろん辛さの有無に違いがあります。ですが違いは辛さだけではありません。明太子は塩漬けしたところで製品化されます。しかし辛子明太子はさらにそのあと、唐辛子のみならず、昆布やかつお節、酒やみりん、柚子などを混ぜた調味液にじっくりと漬けこんでゆくのです。特に、昆布のグルタミン酸やかつおのイノシン酸といった魚介のうまみがキモ。私達が辛子明太子が大好きなのは、日本人の舌に馴染むよう、昔ながらの食材で味を出しているからなのですね。

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明太子は「炭水化物+油」で最強のゴハンに!

私たち日本人が大好きな明太子や辛子明太子。それだけでも十分美味しいのですが、さらにおいしく食べる心得は「炭水化物と油分と一緒に食べること」だそうです。明太子パスタに明太高菜チャーハン、明太子のポテトサラダや明太もちチーズなど、人気の定番メニューを考えてみると確かに!とうなずけますね。なお、他の材料が何もない時でも、明太子をごま油と和えてゴハンに乗せるだけでも、コクが増してひと味違った逸品に。「炭水化物+油」でこれ以上ない最強のゴハンになりますよ!

明太子も辛子明太子も、幸せを運ぶ魔法の食べ物

明太子と辛子明太子は、スケトウダラの卵巣を塩漬けしたものが明太子、そのあとに唐辛子のきいた調味液に漬け込んだのが辛子明太子でしたね。つまり、辛味づけしてあるものが辛子明太子で、塩気のみが明太子なのです。そして明太子はたらこの一方言であり、どちらも意味は一緒。ですが、一般的には明太子は辛子明太子の略語のように認識されているのが現状です。それは、辛子明太子を立派な日本の食文化として根付かせてくれた製造者たちの存在があったからこそでした。

様々な理解があるとはいえ、いずれにしても明太子も辛子明太子も、みんなに愛されるごはんのお供。たった一切れあるだけで、なんだかウキウキしてしまう魔法の食べ物ですね!

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雑学食べ物・飲み物

「明太子・辛子明太子」実は別物だった!特徴・由来と味、たらことの違いまで食品のプロがわかりやすく解説

今日は「明太子と辛子明太子の違い」について見ていきます。
明太子と辛子明太子の違いは明確に分かるか?「同じものでしょ」という意見も聞こえてきそうですが、実はそれは不正解とも言えるのです。その理由を知ることで、明太子への思い入れが一層深くなってくるかもしれない。
今回は世界各国から食品の輸入を手掛ける現役商社マンMIYABIと一緒に解説していきます。

ライター/MIYABI

某大手商社の食品部門に勤務する現役営業ウーマン。食材の特性や組み合わせを考えプレゼンするのが仕事であり、その知識を家事にも活かしながら料理を楽しむのを日課としている。

「明太子・辛子明太子」違いは唐辛子の有無にあり!

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炊き立てごはんのおかずにピッタリな明太子。これがあるだけで何杯でもおかわりできちゃいますね。コンビニのおにぎりはさることながら、今やスパゲッティの専門店もあるほど人気の食材、明太子。そんな時にふと「明太子って辛子明太子だっけ?」と思う人もいるのではないでしょうか。ですが実は両者は別物で、辛さの有無自体が違っていたのです。

明太子は辛くない!明太子は「辛子明太子の略語」じゃなかった

明太子と辛子明太子、同じものと思いきや実は別物です。明太子はスケトウダラの卵巣を塩蔵(=塩に漬けること)したものであるのに対し、辛子明太子は塩蔵したスケトウダラの卵巣を、さらに唐辛子を使った調味液に漬けたもの。要は、唐辛子を使って漬けているかどうかが両者の違いであって、「辛子明太子」を略して呼んだものが「明太子」というわけではないのです。

とはいえ一般的に「明太子=辛子明太子」になっている理由

前述の通り、明太子と辛子明太子はそもそもは別物でした。ですが現在は、明太子=「辛く味付けされた魚卵」という概念が一般的となっており、辛子明太子と同義のものとして認識されています。実際に明太子で有名なメーカー数社のホームページでも、いわゆる辛子明太子のことを「明太子」と表記して説明していますね。

これは、日本に明太子をもたらしたと言われる博多の「ふくや」が、辛子明太子を発売する際に「明太子」として販売したことが理由であると言われています。時代と共に辛子漬けした明太子が日本各地に広まり、ここから「明太子=辛く味付けしたもの」という認識が広まったようですね。

日本では昔から食べられていた明太子

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前章ではざっくりと、明太子と辛子明太子の違いを説明しました。ここからは明太子についてその詳細を調べ、さらに理解を深めていきましょう。

明太子はスケトウダラの卵の塩漬け

明太子はスケトウダラというタラ科の魚の卵巣を塩漬けしたものです。日本では大正時代には「明太子」という言葉が見られ、メンタイと呼ばれていた資料も残っています。

なお、スケトウダラの卵巣は左右2本で一対を成しており、2本で1腹(ひとはら)と数えるのです。1本が1腹ではないのですね。また、スケトウダラ一尾の卵巣にある魚卵数は20万~150万ほどになるそうで、つまりこれはスケトウダラが1回に産卵する卵の数。そう考えると、明太子に宿る命のパワーたるや、すごいものです。

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