
明太子と辛子明太子の違いは明確に分かるか?「同じものでしょ」という意見も聞こえてきそうですが、実はそれは不正解とも言えるのです。その理由を知ることで、明太子への思い入れが一層深くなってくるかもしれない。
今回は世界各国から食品の輸入を手掛ける現役商社マンMIYABIと一緒に解説していきます。

ライター/MIYABI
某大手商社の食品部門に勤務する現役営業ウーマン。食材の特性や組み合わせを考えプレゼンするのが仕事であり、その知識を家事にも活かしながら料理を楽しむのを日課としている。
「明太子・辛子明太子」違いは唐辛子の有無にあり!

image by iStockphoto
炊き立てごはんのおかずにピッタリな明太子。これがあるだけで何杯でもおかわりできちゃいますね。コンビニのおにぎりはさることながら、今やスパゲッティの専門店もあるほど人気の食材、明太子。そんな時にふと「明太子って辛子明太子だっけ?」と思う人もいるのではないでしょうか。ですが実は両者は別物で、辛さの有無自体が違っていたのです。
明太子は辛くない!明太子は「辛子明太子の略語」じゃなかった
明太子と辛子明太子、同じものと思いきや実は別物です。明太子はスケトウダラの卵巣を塩蔵(=塩に漬けること)したものであるのに対し、辛子明太子は塩蔵したスケトウダラの卵巣を、さらに唐辛子を使った調味液に漬けたもの。要は、唐辛子を使って漬けているかどうかが両者の違いであって、「辛子明太子」を略して呼んだものが「明太子」というわけではないのです。
とはいえ一般的に「明太子=辛子明太子」になっている理由
前述の通り、明太子と辛子明太子はそもそもは別物でした。ですが現在は、明太子=「辛く味付けされた魚卵」という概念が一般的となっており、辛子明太子と同義のものとして認識されています。実際に明太子で有名なメーカー数社のホームページでも、いわゆる辛子明太子のことを「明太子」と表記して説明していますね。
これは、日本に明太子をもたらしたと言われる博多の「ふくや」が、辛子明太子を発売する際に「明太子」として販売したことが理由であると言われています。時代と共に辛子漬けした明太子が日本各地に広まり、ここから「明太子=辛く味付けしたもの」という認識が広まったようですね。
日本では昔から食べられていた明太子

image by iStockphoto
前章ではざっくりと、明太子と辛子明太子の違いを説明しました。ここからは明太子についてその詳細を調べ、さらに理解を深めていきましょう。
明太子はスケトウダラの卵の塩漬け
明太子はスケトウダラというタラ科の魚の卵巣を塩漬けしたものです。日本では大正時代には「明太子」という言葉が見られ、メンタイと呼ばれていた資料も残っています。
なお、スケトウダラの卵巣は左右2本で一対を成しており、2本で1腹(ひとはら)と数えるのです。1本が1腹ではないのですね。また、スケトウダラ一尾の卵巣にある魚卵数は20万~150万ほどになるそうで、つまりこれはスケトウダラが1回に産卵する卵の数。そう考えると、明太子に宿る命のパワーたるや、すごいものです。
\次のページで「「明太子とたらこ」実は同じもの!」を解説!/