この記事では「世間を狭くする」について解説する。

端的に言えば世間を狭くするの意味は「信用を失い交際の範囲を狭くする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「世間を狭くする」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「世間を狭くする」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「世間を狭くする」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「世間を狭くする」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「世間を狭くする」の意味は?

まずは「世間を狭くする」の辞書の意味を見ていきましょう。

1. 世間に対する信用を失い、交際の範囲を狭くする。肩身を狭くする。

出典:日本国語大辞典 (精選版) 「世間を狭くする」

「世間を狭くする」(せけんをせまくする)の「世間」(せけん)とは、「世の中」や「社会」、「交際の範囲」(こうさいのはんい)という意味ですから、「世間を狭くする」は、辞書に説明されているとおり「交友関係や地域での人付き合いなどの交際の範囲を狭くする」という意味になるのです。

「世間を狭くする」とよく似た言葉に「世間が狭い」(せけんがせまい)という慣用句がありますが、「世間を狭くする」が、「世間に対する信用を失った結果、交際範囲が狭(せば)まった」のであるのに対して、「世間が狭い」は、「交際範囲が狭い」という状態を表現する言葉であって、原因が必ずしも世間に対する信用を失ったからではありません。生まれつき内向的な性格で人に感情を伝えることが少し苦手で交流範囲が狭かったり、他の人と価値観が合わないために交際範囲が少ない場合もあるでしょう。

「世間を狭くする」の語源は?

次に「世間を狭くする」の語源を確認しておきましょう。
「世間を狭くする」は「世間の信用を失い交際の範囲が狭く、肩身の狭い生活をおくること」でしたが、このような生活を強いられてきた人は昔から少なくなかったでしょう。農耕社会であり、島国であった日本で生活をおくるためには、村のルールを守り、平和な生活を維持していくことがなによりも大切だったのだと考えられています。村の調和を乱したり害をもたらすおそれのある行動、社会に合わない考え方などは排除されていったことでしょう。もちろん、村社会からはじき出された人たちは自動的に交際範囲が減り、肩身が狭くなったかもしれませんが、調和を維持するために伝統を守り新しいものを受け入れようとしてこなかった村の住人たちもある意味では、世間を狭くして生きてきたのかもしれませんね。

\次のページで「「世間を狭くする」の使い方・例文」を解説!/

「世間を狭くする」の使い方・例文

「世間を狭くする」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 「人のやり方や言うことにいちいち批判するのはやめなさい。自分がいつも正しくて相手が悪いという考え方のパターンを変えないと世間を狭くするよ。」

2. 「わたしがこのボランティアに参加しようと思った理由は、もともとがシャイで友達も少なかったから、自分の方から話しかけて友人を作り、世間が狭くならないようにしたいと考えたからです。」

自分の見えている世界だけが正しいと思い込むことは世間を狭くする理由のひとつです。相手の言ったりやったりすることにも、その人なりのきちんとした理由があるのだと認識し、相手の立場で考える習慣がついていけば、多様な人々やいろんな仕事、業界に興味を持ち好奇心に満ちた生活がおくれるようになるかもしれませんね。

「世間を狭くする」の類義語は?違いは?

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それでは、「世間を狭くする」の類義語を見ていきましょう。

「引きこもる」

「世間を狭くする」は、「世間の信用を失い交際の範囲を狭くする」ことでしたね。「人とのつきあいを自ら拒絶する」という意味で類義語といえる言葉のひとつに「引きこもる」(ひきこもる)があります。また、「引きこもる人」のことは「引きこもり」といいますね。「引きこもる」は、内面を他人に見せず、自室に閉じこもって親を含めて人との接触を断つことですが、近年、実際に日本や韓国などでは、大きな社会問題となっています。不登校などをきっかけに人との関りを拒絶するようになり、社会的な活動への参加をしなくなるような場合も多いようです。「世間を狭くする」が信用を失ったことをきっかけに交際の範囲が狭くなることであるのに対して、「引きこもる」の方は「引きこもることによって社会的な信用を失う」という点で異なりますが、世間との交流が遮断されていているという点では「引きこもり」も類義語のひとつと考えられるでしょう。

\次のページで「「世間を狭くする」の対義語は?」を解説!/

「世間を狭くする」の対義語は?

次に「世間を狭くする」の対義語を見ていきましょう。

 

「顔が広い」

「世間を狭くする」原因は、交際の範囲を狭くすることでしたから対義語は、交際の範囲が広いという意味を持つ言葉になりますよね。そんな言葉にピッタリとくる表現に「顔が広い」があります。「顔が広い」(かおがひろい)は、「つきあいの範囲が広く知り合いが多い」という意味です。この場合の「顔」(かお)は、「社会に対する体面や名誉」という意味で使われています。社会や地域で知名度や力があり、無理なことでも押し通せることを「顔が利く」(かおがきく)とも言いますね。「世間を狭くする」はどこか内向的で元気のない様子を想像させる言葉ですが、「顔が広い人」や「顔が利く人」は、社交的で人気者でつきあいが上手い人を想起させますね。

「世間を狭くする」の英訳は?

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「couch potato」

「世間を狭くする」は、交際の範囲が狭くなることで、肩身の狭い生活を余儀なくされることでした。そんな人の中には、1日中ゴロゴロして過ごす人もでてくるかもしれませんね。このような生活をおくる人のことを英語では、「Couch potato」(kάʊtʃ pətéɪṭoʊ)と言うのです。「Couch potato」の「Couch」(kάʊtʃ)とは、「カウチ」と呼ばれる「寝いす」で「ソファー」のようなもののこと、「potato」(pətéɪṭoʊ)は「ジャガイモ」のことですから、「Couch potato」は全体で、「一日中、寝椅子で寝そべりながらポテトチップスを食べている人」という意味になります。

もし、「世間に対する信用を失い、世間から相手にしてもらえなくなった村八分(むらはちぶ)的な状態」を英語にすると、social ostracism(sóʊʃəl άstrəsìzm)、「社会からの追放」がピッタリと来る表現になるでしょう。

「世間を狭くする」を使いこなそう

この記事では、「世間を狭くする」の意味や使い方などを見てきました。「世間を狭くする」は、「人様の信用を失い、つきあいの範囲が狭くなること」や「肩身が狭く感じる」ことでしたね。しかし、現在は、SNSやインターネットが普及していますので、あなたの感じ方や趣味にあった友人も見つけやすくなってきていると思います。一度、信用を失ったがために委縮して、肩身の狭い生活をおくる必要はありません。「人間とは失敗するものです。」ですから反省すべきことは反省して、好奇心を持ってまた胸を張って歩き始める方よいのではないでしょうか?

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【慣用句】「世間を狭くする」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「世間を狭くする」について解説する。

端的に言えば世間を狭くするの意味は「信用を失い交際の範囲を狭くする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「世間を狭くする」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な7年目のライター、eastflower。「世間を狭くする」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「世間を狭くする」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「世間を狭くする」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「世間を狭くする」の意味は?

まずは「世間を狭くする」の辞書の意味を見ていきましょう。

1. 世間に対する信用を失い、交際の範囲を狭くする。肩身を狭くする。

出典:日本国語大辞典 (精選版) 「世間を狭くする」

「世間を狭くする」(せけんをせまくする)の「世間」(せけん)とは、「世の中」や「社会」、「交際の範囲」(こうさいのはんい)という意味ですから、「世間を狭くする」は、辞書に説明されているとおり「交友関係や地域での人付き合いなどの交際の範囲を狭くする」という意味になるのです。

「世間を狭くする」とよく似た言葉に「世間が狭い」(せけんがせまい)という慣用句がありますが、「世間を狭くする」が、「世間に対する信用を失った結果、交際範囲が狭(せば)まった」のであるのに対して、「世間が狭い」は、「交際範囲が狭い」という状態を表現する言葉であって、原因が必ずしも世間に対する信用を失ったからではありません。生まれつき内向的な性格で人に感情を伝えることが少し苦手で交流範囲が狭かったり、他の人と価値観が合わないために交際範囲が少ない場合もあるでしょう。

「世間を狭くする」の語源は?

次に「世間を狭くする」の語源を確認しておきましょう。
「世間を狭くする」は「世間の信用を失い交際の範囲が狭く、肩身の狭い生活をおくること」でしたが、このような生活を強いられてきた人は昔から少なくなかったでしょう。農耕社会であり、島国であった日本で生活をおくるためには、村のルールを守り、平和な生活を維持していくことがなによりも大切だったのだと考えられています。村の調和を乱したり害をもたらすおそれのある行動、社会に合わない考え方などは排除されていったことでしょう。もちろん、村社会からはじき出された人たちは自動的に交際範囲が減り、肩身が狭くなったかもしれませんが、調和を維持するために伝統を守り新しいものを受け入れようとしてこなかった村の住人たちもある意味では、世間を狭くして生きてきたのかもしれませんね。

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