
ヨウ素と言えばうがい薬やデンプンとの反応を思い浮かべる人も多いでしょう。そんなヨウ素の性質を知っているか?ヨウ素はヒトの体に欠かせない元素である一方、過剰に摂取しても体に害が及ぶ。
そんな知っているようで知らないヨウ素の特徴を学ぶ。解説は化学系科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか
高校は化学部、大学は工学部化学系のリケジョ。職場大好き、実験大好き、研究大好きの科学館職員。
周期表から見る”ヨウ素”
まずはヨウ素がどんな元素か、確認していきましょう。
こちらの記事もおすすめ

3分で簡単「デンプン」と「ブドウ糖」!体内でどうやって分解される?現役理系大学院生がわかりやすく解説!
ヨウ素I

image by Study-Z編集部
元素記号:I
原子番号:53
原子量:126.9
密度:4.933g/cm3(室温)
融点:113℃
沸点:184℃
比重:4.93
主な用途:造影剤、消毒薬、うがい薬
Greenhorn1 – 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
ヨウ素が発見されたのは1811年のこと。ヨウ素を含んだ海藻灰(海藻を乾燥後、焼却したもの)はもともとガラスや肥料の原料として使われていました。それが戦争が起きたことによって、硝石(酸化剤の役割を果たす火薬の材料)の材料として使われるようになったのです。そして硝石を作っている際、硝石業者のクールトア(フランスの化学者、1777~1838)が酸を大目に加えると、気体が発生することに気が付きました。この蒸気を冷やして得られたのヨウ素の結晶です。この結晶が黒紫色であることからギリシャ語で紫を意味するIoeidesからIodoneと名付けられました。
ヨウ素の生産・輸出量ともに日本は世界2位(2013年)となっています。ちなみに世界1位はチリです。そして日本の生産の75%を千葉県が占めています。
単体のヨウ素の固体は、金属光沢のある黒紫色です。単体のヨウ素は毒物及び劇物取締法により、医薬用外劇物に指定されています。
毒劇物についてはこちらを参考にしてください。
こちらの記事もおすすめ

毒とは?「毒殺事件」にはどんなものがあった?元家庭教師がわかりやすく解説
ヨウ素はX線を吸収することができ、X線造影剤として使われています。またヨウ素は反応性が高く、様々な化合物を作ることができる元素です。またヨウ素分子には殺菌作用があり、消毒液やうがい薬に使われています。
ヨウ素は水に溶けづらい元素です。その一方、有機溶媒には溶けやすいという性質があります。
\次のページで「ヨウ素のキーワード「昇華」」を解説!/