今回は「ダイオードの整流作用」について解説していきます。

ダイオードは電子部品の1つで、その部品は電流を一方向にしか流さないという性質を持っている。これがダイオードの整流作用です。今回の記事では、ダイオードの整流作用がなぜ存在し、どのような特性をもつかという点を解明していきます。また、記事の最後にはダイオードの開発史についても触れるぞ。ぜひ、この機会にダイオードの整流作用についての理解を深めてくれ。

中学時代に独学で第二種電気工事士免状を取得した理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

小学生のころ、電子工作にドハマリし、中学時代には独学で第二種電気工事士免状を取得した。電気について独学する機会が多かったこともあり、電気の学習がいかに難しいかということもよく理解している。

ダイオードの整流作用について学ぼう!

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ダイオードは最も単純な半導体素子です。ダイオードは多くの電気製品に組み込まれており、私たちの生活を支える電子部品の1つですよ。今回の記事では、ダイオードの整流作用について工学技術の視点で説明していきますね

最初にダイオードの整流作用の説明をし、その後ダイオードの仕組みや開発の歴史などにも触れます。これらの事柄を説明することができるようになれば、ダイオードの整流作用について理解ができたと言えるでしょう。それでは解説をはじめていきます。まずはダイオードの役割と特性を解説しますね

ダイオードの役割

ダイオードの役割

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まずはダイオードの役割について学んでいきましょうダイオードの役割は電流を一方向にしか流せなくすることにあります。ダイオードには2つの端子があり、それぞれにアノードカソードという名称がついていますよ。電流はアノードからカソードに向かって流れます

ダイオードの図記号は上記のようになっており、矢印の方向が電流の流れる向きになっていますよ。例えば、直流電源にダイオードと抵抗負荷を左図のように接続すれば回路に電流が流れます。一方で、右図のようなケースでは回路に電流が流れません。

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ダイオードの特性

Diode current wiki.png
By User:Hldsc - Own work, CC BY-SA 4.0, Link

ここでは、ダイオードの特性をより詳しく考えてみましょう。上記の図は、ダイオードに印加される電圧と電流の関係を示したグラフです。電圧と電流はともに順方向を正としています。Forward領域はダイオードに順方向電流が流れている部分です一定の電圧Vdを超えると抵抗が0に近くなり、ダイオードが導体として振る舞います

Reverse領域はダイオードに順方向と逆に電圧がかかり、電流が流れていない領域ですこの領域では抵抗は極めて大きな値となり、ダイオードは絶縁体として振舞いますよ。ですが、逆方向へ印加する電圧の値が降伏電圧Vbrを超えるとダイオードとしての機能を失い、再びダイオードは導体として振舞うようになります。この領域がBreakdown領域です。

ダイオードに整流作用がある理由

続いて、なぜダイオードには整流作用があるのかということについて考えてみましょう。このチャプターでは、最初にダイオードの構造について述べ、それをもとにしてダイオードの仕組みについて解説しますね。

この部分はダイオードの整流作用に関する説明の中で最も理解をするのが難しいところになります。この部分を突破することができたら、ダイオードの整流作用についてほぼ完全に理解したと言っても良いでしょう。できるだけ簡単な表現で説明することを心がけますので、最後まで目を通してみてくださいね。

ダイオードの構造

ここでは、ダイオードの構造について説明しますね。一般的なダイオードは、P型半導体とN型半導体を接合することで作られていますよ。P型半導体が存在する側がアノードになり、N型半導体が存在する側はカソードになっています。

P型半導体は純シリコン(Si)にホウ素(B)を添加したもので、結晶中にはホール(正孔)と呼ばれる電子欠乏が存在しますよ。一方、N型半導体は純シリコン(Si)にリン(P)を添加したもので、結晶中では電子が過剰に存在する状態になります。また、近年になってから、P型半導体とN型半導体の主成分を純シリコン(Si)から窒化ガリウム(GaN)シリコンカーバイド(SiC)に置き換えたものが登場するようになりました。

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ダイオードの仕組み

続いて、ダイオードの仕組みについて考えましょう。ダイオードを電源に接続していないとき、P型半導体とN型半導体の接合面には電位差が生じることが知られています。この電位差が生じた層のことを空乏層と呼びますよ。

ダイオードに順方向電圧を印加すると、P型半導体のホールとN型半導体の自由電子が空乏層付近で次々と結合し、ダイオードに電流が流れるようになるのです。一方で、ダイオードに逆方向電圧を印加すると、P型半導体のホールとN型半導体の自由電子は互いに空乏層から離れようとしますこれにより空乏層の電位差はより大きくなり、ダイオードに流れようとする電流を止めることができるようになりますよ

ダイオード開発の歴史

最後に、ダイオードの開発の歴史について学んでいきましょう。ダイオードがどのように発明され、どのような進化を遂げてきたのかを考えます。また、ダイオードの誕生が世の中にどのような影響を与えたのかという点も考察しますよ。

ここまでに学んできたダイオードの特性や仕組みに対する理解も、ダイオードの開発史を知ることでより深いものになるでしょう

ダイオードの開発の黎明期

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ダイオードが発明されたのは1900年代初頭で、当時のダイオードは真空管ダイオード半導体ダイオードの2種類が存在しましたよ。ダイオードが発明された頃は、無線受信機の検波回路が主なダイオードの使用用途でした

その技術を応用して、ラジオ放送が誕生したのです。日本では1925年(大正14年)にラジオ放送が始まっています。当時は半導体ダイオードの信頼性が低かったことから、多くの製品には真空管ダイオードが使われていました

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半導体時代の到来

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1950年代ごろから半導体ダイオードの信頼性が大幅に向上し、真空管ダイオードが半導体ダイオードによって置き換えられるようになりました。その後、コンピュータなどの誕生によりダイオードを含む半導体部品が広く使われるようになります。これらの部品は現在ありとあらゆる製品に組み込まれていると言っても過言ではありません。

そして、近年は大電力用ダイオードの研究開発が進んでいます。大電力用ダイオードは、スマートグリッドの実現電気自動車の製造に不可欠であり、今後もダイオードの需要は増加すると考えられていますよ。

ダイオードの整流作用について学ぶ意義

この記事では、ダイオードがもつ最大の特徴である整流作用について、数値特性やメカニズムといった視点で明らかにしていきました。また、記事の後半ではダイオードの技術がどのように発展してきたのかという点も述べましたよね。

ダイオードを含む半導体部品の需要は、IT化や脱炭素化が進むにつれてさらに大きくなることが予想されています。人類の未来を支えるであろうダイオードについて、ぜひこの機会に学んでみてくださいね。

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物理理科電磁気学・光学・天文学

3分で簡単ダイオードの整流作用!一方向にしか電流を流さない?そのメカニズムを現役理系学生ライターが5分で徹底わかりやすく解説!

ダイオードの特性

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ここでは、ダイオードの特性をより詳しく考えてみましょう。上記の図は、ダイオードに印加される電圧と電流の関係を示したグラフです。電圧と電流はともに順方向を正としています。Forward領域はダイオードに順方向電流が流れている部分です一定の電圧Vdを超えると抵抗が0に近くなり、ダイオードが導体として振る舞います

Reverse領域はダイオードに順方向と逆に電圧がかかり、電流が流れていない領域ですこの領域では抵抗は極めて大きな値となり、ダイオードは絶縁体として振舞いますよ。ですが、逆方向へ印加する電圧の値が降伏電圧Vbrを超えるとダイオードとしての機能を失い、再びダイオードは導体として振舞うようになります。この領域がBreakdown領域です。

ダイオードに整流作用がある理由

続いて、なぜダイオードには整流作用があるのかということについて考えてみましょう。このチャプターでは、最初にダイオードの構造について述べ、それをもとにしてダイオードの仕組みについて解説しますね。

この部分はダイオードの整流作用に関する説明の中で最も理解をするのが難しいところになります。この部分を突破することができたら、ダイオードの整流作用についてほぼ完全に理解したと言っても良いでしょう。できるだけ簡単な表現で説明することを心がけますので、最後まで目を通してみてくださいね。

ダイオードの構造

ここでは、ダイオードの構造について説明しますね。一般的なダイオードは、P型半導体とN型半導体を接合することで作られていますよ。P型半導体が存在する側がアノードになり、N型半導体が存在する側はカソードになっています。

P型半導体は純シリコン(Si)にホウ素(B)を添加したもので、結晶中にはホール(正孔)と呼ばれる電子欠乏が存在しますよ。一方、N型半導体は純シリコン(Si)にリン(P)を添加したもので、結晶中では電子が過剰に存在する状態になります。また、近年になってから、P型半導体とN型半導体の主成分を純シリコン(Si)から窒化ガリウム(GaN)シリコンカーバイド(SiC)に置き換えたものが登場するようになりました。

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