今回は生物に最も重要な元素、炭素について学ぶぞ。

炭素Cは化学を学ぶ上でとても重要な元素です。炭素は単体でもダイヤモンドやグラファイト(黒鉛)、カーボンナノチューブと様々な物質がある。一方炭素の化合物には一酸化炭素や二酸化炭素、そして様々な有機化合物があるんです。植物を構成するセルロースにも炭素は含まれているし、動物の体を作るたタンパク質にも炭素が含まれている。炭素がこんなにも色々な化合物になることができるポイントは、炭素の価電子が4つということです。

それでは炭素の性質やその単体・化合物について学ぶ。担当は元素周期表マニアの科学館職員、たかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

元素や原子、化学という言葉が好きな科学館職員。幼稚園児から小中学生、保護者と幅広い世代に科学を楽しんでほしいと実験の本を読み漁っている。基礎知識を求めて化学辞書を読むことも。学生時代はテスト対策としてノートの書き写しや用語の確認を行っていた。

元素から見る炭素

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鉛筆の芯、ダイヤモンド、二酸化炭素など炭素を含む物質はたくさんあります。まずは炭素がどんな元素か見てみましょう。

炭素C

炭素C

image by Study-Z編集部

原子番号:6

原子量:12.01

炭素はフランス語でcarboneと言います。この語源はラテン語のcarbo、木炭のことです。炭素には同素体があります。同素体とは

同じ元素の原子からできているが、単分子を構成する原子数の異なる単体、あるいは同一の化学組成でありながら、原子の配列、結合様式の異なる単体を互いに同素体であるという。(コトバンク)

のことです。炭素の同素体は黒鉛(グラファイト)、ダイヤモンド、フラーレンがあります。これらの特徴については後程解説しますね。

ちなみに高校化学に出てくる同素体は硫黄S(斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄)、炭素C(黒鉛、ダイヤモンド、フラーレンC60)、酸素O(酸素、オゾン)、 リンP(黄リン、赤リン)の4つ。SCOPと覚えましょう。

炭素は非金属元素です。第14族で、同じ族にはとケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)があります。

炭素はこんな元素

それでは炭素の特徴を見ていきましょう。

腕が4つ!結合の幅が広がる炭素

腕が4つ!結合の幅が広がる炭素

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化学で結合の説明をするとき、結合に関係する最外殻にある価電子のことを腕、手という表現します。

例えば原子番号1番の水素は価電子を1つ持ち、最外殻には2つまでしか電子が入りません。そのため、2つの水素原子がひとつずつ電子を出し合って水素分子を作るのです。ふたりの人が手を出し合って握手している様子をイメージしてください。お互いに1本の手を出し合って共有している状態で、同じように水素もお互い手(価電子)を共有して分子を作ります。

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炭素の最外殻(L殻)には電子が4つ入っています。炭素の最外殻には後4つの電子入ることができるのです。この価電子から炭素は3種類の結合を作ることができます。これが単結合、二重結合、そして三重結合です。

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炭素原子に4つの電子が入るなら四重結合もできるのでは?と思うかもしれません。三重構造の図を見たらイメージできますが、4つ目の電子は反対方向にあります。このため四重結合は作ることができない、とされていました。しかし近年研究が進み、2020年に常温下でのC2の合成に日本の研究チームが成功したのです。これにより、四重結合ができるのではと考えられるようになりました。これは最近のトピックであり、四重結合はまだ一般的はありません。そのため、四重結合の扱いについては教科書や授業に沿って覚えてくださいね。

また、炭素は環状の物質も作ります。環状構造は環式化合物とうのです。環状構造のうち、6個の炭素原子でできた環状骨格を含むものを芳香族化合物、それ以外のものを脂環式化合物と言います。

\次のページで「炭素を含む物質」を解説!/

炭素を含む物質

それでは炭素を含む物質につて紹介していきます、

炭素の単体

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先ほど説明したように、炭素には同素体があります。

最も硬い鉱物であるダイヤモンドは炭素原子が共有結合してできた結晶です。共有結合とは電子を共有し合う結合のことでしたね。ダイヤモンドは4つの価電子すべてが結合に使われているため、電気を通さない・非常に硬い・融点が高いという特徴があります。

共有結合のおさらい

共有結合のおさらい

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・電子を共有し合う結合

・分子を作る(水素・水・二酸化炭素など)

・基本的に硬い・融点が高い・電気伝導性がない

・共有する電子対の数によって単結合・二重結合・三重結合がある

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黒鉛(グラファイト)も炭素の単体です。黒鉛は4つの価電子のうち3つは共有結合、1つは結晶内を自由に動くことができます。黒鉛の結晶は層が重なった構造となっているのです。そのため、柔らかく電気を通します。また、結合にすべての電子が使われているダイヤモンドは透明ですが、黒鉛は黒色です。これは、不安定な価電子が光を吸収するためで、電子が余っていないダイヤモンドは透明に黒鉛は黒色となっています。

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また、フラーレンやカーボンナノチューブという物質もあります。フラーレンC60、C70などの分子式で表すことのできる、サッカーボールのような構造をした炭素分子の総称です。フラーレンは医薬、化粧品、電子材料と様々な分野での活用されています。そしてカーボンナノチューブは6個の炭素から作られた六角形がいくつも連なり、網目のような構造をした物質です。ちなみにカーボンナノチューブのナノとは大きさの単位で、1nmは10億分の1mのことになります。カーボンナノチューブは軽さと柔軟性、伝導性、熱伝導性、そして耐熱性と様々な特徴を併せ持っている素材です。そのため、様々な応用が期待されています。

有機物?無機物?一酸化炭素と二

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炭素の化合物としてまず思いつくのが一酸化炭素COと二酸化炭素CO2でしょう。物を燃やした時、不完全燃焼だと一酸化炭素、完全燃焼だと二酸化炭素となります。

一酸化炭素といえば火事の死因に多い一酸化中毒のイメージが強いでしょう。二酸化炭素は皆さん知っていますね。地球温暖化の原因物質やドライアイスを思い浮かべる人が多いと思います。炭酸飲料のシュワシュワの素も二酸化炭素です。二酸化炭素は空気中に0.04%ほど含まれています。

有機化合物とは炭素を含む化合物のことですが、その例外が二酸化炭素や一酸化炭素です。これらは炭素を含んいますが、無機化合物になります。有機物は元々生物の活動によってのみできるものとされていました。そのため合成できる無機物と作ることができな有機物というように分けられていたのです。それが1828年、ドイツの科学者ウェーラーによって尿素が合成できることが判明し、合成できるかどうかという分類が成立しなくなりました。そして有機化合物は炭素を含む化合物、無機化合物は炭素以外の元素からなる化合物と言う風に分類されましたが、慣習として二酸化炭素などの炭素を含む化合物は無機物とされています。

二酸化炭素とあわせて化石燃料や再生可能エネルギーについても確認してくださいね。

有機化合物と炭素

有機化合物と炭素

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有機化合物とは先ほど説明したように二酸化炭素や一酸化炭素を除く炭素を含む化合物のことです。炭素を骨組とした化合物でその種類は1000万種類にもなります。有機化合物の代表的なものといえばエタノールやアセトン、酢酸などです。高校化学にもいろいろな有機化合物が登場するのでしっかり覚えてくださいね。

有機化合物についてはこちらの記事がおすすめです。

有機化合物と無機化合物

構成元素

・有機化合物 少ない(基本的に炭素C・水素H・酸素O・窒素Nからできている)

・無機化合物 多い(ほぼすべての元素から作られている)

融点・沸点

・有機化合物 低い

・無機化合物 低いものも高いものもある

化学を理解するのに欠かせない炭素元素

動物や植物の体を作る炭素。炭素は化合物の骨格となる元素です。また単体として誰もが想像しやすい黒鉛やダイヤモンドがあります。炭素は化学を学ぶ上で大切な元素なのです。

炭素からできら化合物は有機物化合物と教科書に書いてあるかと思いますが、一酸化炭素と二酸化炭素は例外。これらは無機化合物です。

" /> 炭素とはどんな元素?二酸化炭素は有機物?その特徴や化合物を科学館職員が分かりやすくわかりやすく解説 – Study-Z
化学原子・元素有機化合物無機物質理科

炭素とはどんな元素?二酸化炭素は有機物?その特徴や化合物を科学館職員が分かりやすくわかりやすく解説

今回は生物に最も重要な元素、炭素について学ぶぞ。

炭素Cは化学を学ぶ上でとても重要な元素です。炭素は単体でもダイヤモンドやグラファイト(黒鉛)、カーボンナノチューブと様々な物質がある。一方炭素の化合物には一酸化炭素や二酸化炭素、そして様々な有機化合物があるんです。植物を構成するセルロースにも炭素は含まれているし、動物の体を作るたタンパク質にも炭素が含まれている。炭素がこんなにも色々な化合物になることができるポイントは、炭素の価電子が4つということです。

それでは炭素の性質やその単体・化合物について学ぶ。担当は元素周期表マニアの科学館職員、たかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

元素や原子、化学という言葉が好きな科学館職員。幼稚園児から小中学生、保護者と幅広い世代に科学を楽しんでほしいと実験の本を読み漁っている。基礎知識を求めて化学辞書を読むことも。学生時代はテスト対策としてノートの書き写しや用語の確認を行っていた。

元素から見る炭素

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鉛筆の芯、ダイヤモンド、二酸化炭素など炭素を含む物質はたくさんあります。まずは炭素がどんな元素か見てみましょう。

炭素C

炭素C

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原子番号:6

原子量:12.01

炭素はフランス語でcarboneと言います。この語源はラテン語のcarbo、木炭のことです。炭素には同素体があります。同素体とは

同じ元素の原子からできているが、単分子を構成する原子数の異なる単体、あるいは同一の化学組成でありながら、原子の配列、結合様式の異なる単体を互いに同素体であるという。(コトバンク)

のことです。炭素の同素体は黒鉛(グラファイト)、ダイヤモンド、フラーレンがあります。これらの特徴については後程解説しますね。

ちなみに高校化学に出てくる同素体は硫黄S(斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄)、炭素C(黒鉛、ダイヤモンド、フラーレンC60)、酸素O(酸素、オゾン)、 リンP(黄リン、赤リン)の4つ。SCOPと覚えましょう。

炭素は非金属元素です。第14族で、同じ族にはとケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)があります。

炭素はこんな元素

それでは炭素の特徴を見ていきましょう。

腕が4つ!結合の幅が広がる炭素

腕が4つ!結合の幅が広がる炭素

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化学で結合の説明をするとき、結合に関係する最外殻にある価電子のことを腕、手という表現します。

例えば原子番号1番の水素は価電子を1つ持ち、最外殻には2つまでしか電子が入りません。そのため、2つの水素原子がひとつずつ電子を出し合って水素分子を作るのです。ふたりの人が手を出し合って握手している様子をイメージしてください。お互いに1本の手を出し合って共有している状態で、同じように水素もお互い手(価電子)を共有して分子を作ります。

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炭素の最外殻(L殻)には電子が4つ入っています。炭素の最外殻には後4つの電子入ることができるのです。この価電子から炭素は3種類の結合を作ることができます。これが単結合、二重結合、そして三重結合です。

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炭素原子に4つの電子が入るなら四重結合もできるのでは?と思うかもしれません。三重構造の図を見たらイメージできますが、4つ目の電子は反対方向にあります。このため四重結合は作ることができない、とされていました。しかし近年研究が進み、2020年に常温下でのC2の合成に日本の研究チームが成功したのです。これにより、四重結合ができるのではと考えられるようになりました。これは最近のトピックであり、四重結合はまだ一般的はありません。そのため、四重結合の扱いについては教科書や授業に沿って覚えてくださいね。

また、炭素は環状の物質も作ります。環状構造は環式化合物とうのです。環状構造のうち、6個の炭素原子でできた環状骨格を含むものを芳香族化合物、それ以外のものを脂環式化合物と言います。

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