この記事では豆苗ともやしの違いについてみていきます。見た目は全く違うが、実は豆苗ともやしは同じジャンルの野菜です。違いはずばり種子のようですが、味や栄養成分など調べてみるといろいろ違いがあるみたいです。
今回はそんな豆苗ともやしの違いを、種子の種類から確認しつつ、料理好きライター田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

料理好きライター。最近は健康を意識するようになり、糖質控えめなメニューを勉強中。日頃の料理経験を活かして違いを分かりやすく解説していく。

ざっくりした豆苗ともやしの違いって?

image by iStockphoto

豆苗ともやしはジャンルで言うと、どちらもスプラウト(発芽野菜)という分類に当てはまります。スプラウトとは、豆や穀物などの種子から出た新芽のことです。

豆苗ともやしは同じジャンルの野菜なうえ、どちらも元が豆という点も共通しています。いったい何が違うのか、ざっくりした違いをみていきましょう!

豆苗:えんどう豆から発芽したもの

豆苗は、えんどう豆から発芽したものを指します。英語だとPea(えんどう)のSprout(新芽)ということで、「Pea sprouts(ピースプラウト)」と呼ばれることが多いです。

原産地は中国で、中国との国交が回復した1972年頃に日本へ。今ではスーパーでよく見かける野菜ですが、当時の豆苗は高級品。特別なときにしか食べることのできないレアな食材でした。

1995年頃から日本でも植物工場で栽培されるようになったおかげで、手頃な価格でいつでも食べられるようになったのです。

もやし:人が手を加えて大豆などを発芽させたもの

もやしは豆や穀物などの種子を、人が手を加えて発芽させたもの全般を指します。この通り、もやしはある特定の野菜を意味する名前ではありません。

ちなみにもやしという名前は、「芽が出るようにする」という意味を持つ「萌やす」という動詞が由来。英語でもやしを指すときは「Bean sprout(ビーンスプラウト)」と言って、他のスプラウトと区別されたりします。

日本でもやしというと、大豆・緑豆・ブラックマッペ(黒まめ)などを発芽させたものが一般的です。この中では緑豆もやしが1番多く販売されています。

もやしは歴史がかなり古いので、はっきりとした原産地はわかっていません。食用ではなく薬用としてですが、日本でも平安時代から栽培されていたという記録が残っています。

もやしを栽培する業者が出てきたのは1907年頃。1950年頃には全国で栽培されるようになり、1960年頃からはスーパーなどで手軽に購入できるようになったそうです。

豆苗ともやしの詳しい違いをチェック!

image by iStockphoto

豆苗ともやしはスプラウトのマメ科に分類される野菜です。しかし元になっている豆の種類が違うので、色々と異なる点があります。

見た目・味・栄養素・賞費期限の違いまで詳しくチェックしてみましょう。

豆苗ともやしの「見た目」の違い

大きく分けると同じジャンルである豆苗ともやしですが、見た目はかなり違います。「見分けは簡単につくよ!」という方も多いと思いますが、それぞれの見た目の特徴をおさらいしてみましょう。

\次のページで「豆苗ともやしの「味」の違い」を解説!/

豆苗の見た目
・根っこ:もじゃもじゃとしていて本数が多い
・豆:薄茶色で形は丸い
・茎:薄い緑色で細くシュッと伸びている
・葉っぱ:濃い緑色の楕円形で、1本につき複数枚ついている

もやしの見た目
・根っこ:ヒョロっとした細いひげ根が1本ついている
・豆:黄色いしずく型の豆がひげ根と反対側の先端にある(大豆もやし)/先端に黒い豆殻がついている場合もある(ブラックマッペ)
・茎:白く太めな茎(大豆もやし・緑豆)/白く細い茎(ブラックマッペ)
・葉っぱ:黄色く小さな双葉が先端についている(緑豆・ブラックマッペ)

豆苗ともやしの「味」の違い

豆苗ともやし3種の味の違いをみていきましょう。豆苗ともやしはもちろんですが、もやしも種類によって少し味が変わってきます。

豆苗は、ほのかに豆の風味を感じるのが特徴。生で食べると少し青臭い苦味を感じることもあります。爽やかな風味がいいアクセントになるのですが、苦手な方は加熱すると和らぐのでおすすめです。

また豆苗の可食部は茎と葉の部分になるので、根っこや豆がついている場合は切りましょう。

よく売られているもやしは大豆・緑豆・ブラックマッペ(黒豆)の3種です。まず先端に豆がついている大豆もやしですが、他のもやしでは感じない豆の風味や歯ごたえが特徴。

緑豆は味にクセがなくあっさりしています。味より食感を楽しむ食材と言えるでしょう。

ブラックマッペは3種類の中で1番甘みが強いもやしです。茎部分の水分が少ないので、火を通してもシャキシャキ食感を楽しめますよ!

豆苗ともやしの「栄養素」の違い

「豆苗はともかく、もやしに栄養ってあるの?」と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は豆苗だけでなく、もやしも栄養がいっぱい詰まった野菜なのです。

それぞれどんな栄養素を含んでいるのか、特徴的なものをいくつかご紹介していきます!

豆苗の特徴的な栄養素
・ビタミンK:骨の健康補助/コラーゲンの生成を促進
・βカロテン:皮膚や粘膜の健康維持/アンチエイジング
・葉酸:胎児の育成補助

もやしの特徴的な栄養素
大豆もやしのみ
・大豆イソフラボン:乳がん予防/更年期障害の予防/骨粗しょう症予防
・大豆タンパク質:脂肪燃焼/高血圧や肥満予防
・GABA:免疫力の向上/リラックス効果

もやし3種に共通
・ビタミンB群:代謝UP
・アスパラギン酸:疲労回復
・食物繊維:便秘予防/血糖値の減少

豆苗ともやしの「消費期限」の違い

豆苗ともやしは消費期限が書かれていない商品も多くあります。保存状況によって違いはありますが、ここではどちらも「未開封で冷蔵庫に入れた場合」をみていきましょう。

豆苗はカットされていないものなら、購入してから約1週間ほど。開封後にカットしたものは約10日を目安に食べ切るようにしましょう。

もやしは水分が多く含まれているので腐るのが早い野菜です。袋に製造日が書かれているので、購入したもやしの製造日から3日以内に食べるようにしてください。

ただどちらも日数のみで判断することは避けましょう。消費期限内でも異臭がしたりぬめりが出ていたり、見た目が変色して溶けている場合は使うのをやめて下さいね!

カットした豆苗ともやしの保存方法

まずは茎と葉の部分だけにカットした豆苗ともやしを冷蔵保存する場合。保存容器に水を入れて浸しておきましょう。腐りやすいもやしも約1週間ほど日持ちします。ただ容器内の水は2日に1度は交換するようにしてください。

すぐに使う予定がない場合は、フリーザーバッグに入れて冷凍保存するのがおすすめ。もやしの場合、未開封ならそのまま冷凍庫に入れることができます。保存期間は1ヶ月が目安です。

冷凍した豆苗やもやしは解凍せずにそのまま調理すると、シャキシャキした食感が楽しめますよ!

豆苗ともやしは家庭栽培が可能!

豆苗ともやしはどちらも土を使わずに育てることができる野菜です。家庭でも簡単に栽培することができます。

育っていく様子を見るもの面白いので、気になる方は試してみてください!さっそくそれぞれの育て方を確認していきましょう。

\次のページで「豆苗の栽培方法」を解説!/

豆苗の栽培方法

豆苗は再生栽培が可能です。1回購入したものを栽培すれば、そのあと1〜2回ほど豆苗をお家で作って食べることができます。

豆苗の栽培に必要なものは、根っこと豆がついたままの豆苗・2Lのペットボトル(タッパーも可)・キッチンバサミやカッターです。

豆苗の栽培方法

(1)容器の準備
育てる容器を2Lペットボトルにした場合、ペットボトルを横に寝かせて上側にきた面を長方形に切り抜く。豆苗が入れやすいように大きめに切るとよい。

(2)豆苗をカットする
根っこと豆がついたままの豆苗を購入したら、下から数えて2枚目の小さな葉っぱ(脇芽)の上でカット。

(3)豆苗をセットする
2でカットした豆苗の根っこ側を下にして容器に入れ、根っこだけが浸かる量を目安に水を注ぐ。

(4)窓辺に置く
室内の日当たりのいい窓辺に置く。

(5)水替え
1日1回(夏場は2回)水を替える。容器をペットボトルにした場合はキャップを開けて、飲み口から水を捨てられるのでおすすめ。

(6)収穫
1週間〜10日で収穫が可能。

もやしの栽培方法

もやしも室内で手軽に育てることができる野菜です。もやしは暗所で発芽させる必要があるので、お家で育てるときも「光を遮ること」が重要なポイントになってきます。

もやしの栽培に必要なものは、もやし栽培用の種・口が広い大きめな瓶・水切りネット(ガーゼも可)・輪ゴム・アルミホイルです。栽培方法をみていきましょう。

もやしの栽培方法

(1)瓶の消毒
洗浄した瓶を煮沸消毒する。

(2)もやしの種の洗浄
水の中にもやしの種を入れ、かき混ぜながら洗浄。

(3)もやしの種を瓶に入れる
洗浄したもやしの種を入れる。(種の量は瓶の10分の1の高さに収まる程度)その後、2〜3cm程度水を注ぎ、瓶の口に水切りネットを被せて輪ゴムで留める。

(4)遮光
瓶全体にアルミホイルを巻いて遮光。そのまま一晩置いておく。

(5)水の取り替え
一晩経ったらネットは外さずに、新しい水を入れて瓶を振って水を捨てるという作業を5回ほど繰り返す。水が濁らなくなるまで続けるのがポイント。

(6)水切り
5の作業を終えたらネットをつけたまま水を切って、瓶の中に種しか残っていない状態にする。

(7)遮光
再びアルミホイルを巻いて遮光する。

(8)毎日2回(5)〜(7)を繰り返す
毎日朝と夜に、水の取り替え→水切り→遮光の作業を繰り返す。夏は気温が高く痛みやすいので、昼間も作業を行う。

(9)収穫
だいたい1週間〜10日ほどで収穫が可能。もやしの白い部分(茎)が5cm以上の長さになっているかが目安に。

豆苗ともやしのおすすめな食べ方は?

image by iStockphoto

値段も手頃で栄養も豊富な豆苗ともやしは、食卓で活躍してくれる食品と言えます。どんな料理に適しているのか、それぞれのおすすめな食べ方をまとめてみました。

ぜひ参考にして取り入れてみてくださいね!

豆苗:サラダや和え物など

豆苗は生でも食べることができます。豆苗ならではの風味を存分に楽しみたい方は、サラダに混ぜてみるといいでしょう。豆苗のシャキシャキ感がいいアクセントになりますよ!

また、豆苗の苦味や青臭さが気になる方は和え物にするのがおすすめです。熱を通すと和らぎます。

レンジで豆苗に軽く熱を通して、ツナやめんつゆと和えるだけで一品完成!豆苗は下処理がほとんどいらない食品なので、忙しい方の味方です。

\次のページで「もやし:炒め物やスープなど」を解説!/

もやし:炒め物やスープなど

もやしは味にあまりクセがなく様々な料理に合う食品です。ただ、日本のもやしは加熱する前提で作られているので生食は推奨されていません。

もやしは生だと独特な青臭さがあります。また細菌が好む、日光を避けた暗室で育てられているというのも理由の1つです。出荷前に洗浄されているのでめったにないですが、食中毒を起こす可能性も0ではありません。

炒め物やスープ、茹でてナムルにするなど火を通して食べるようにしてください。味という点だけで言っても、加熱した方が甘みが出るので美味しいですよ。

スプラウトに分類される他の野菜も知りたい!

豆苗ともやしはスプラウトと呼ばれる分類の野菜です。スプラウトに分類される野菜は、豆苗ともやしだけではなく他にも様々な仲間がいます。

スプラウトはどれも栄養価の高いものばかりなので、健康が気になる方は特にチェックしてみましょう。

スプラウトの仲間の特徴

スプラウトに分類される野菜はいろいろとありますが、ここでは3種をピックアップしてご紹介していきます。それぞれの特徴を知って、いつもの料理にプラスしてみましょう。

スプラウトの仲間の特徴

カイワレ大根
・種子:大根
・味:辛味がある
・栄養素:βカロテン/カリウム/ビタミンC など
・おすすめな食べ方:サラダ/スープ など

ブロッコリースプラウト
・種子:ブロッコリー
・味:辛味も苦味も少なくクセがない
・栄養素:スルフォラファン/ビタミンB など
・おすすめな食べ方:サラダ・和え物 など

レッドキャベツスプラウト
・種子:紫キャベツ
・味:甘みがある
・栄養素:葉酸/ビタミンK/ビタミンC など
・おすすめな食べ方:サラダ・パスタ・炒め物 など

いろいろな料理で使ってみよう!

スプラウトの仲間である豆苗ともやしは、ビタミンや葉酸など体に嬉しい栄養が豊富です。他の食品の味を邪魔するようなクセもほとんどないので、色々な料理で活躍してくれるでしょう。

いつものサラダに豆苗をトッピングしたり、もやしを炒めてパパッと1品追加したりするのもいいですね!どちらも手軽に家庭栽培できるので、実際に育てたものを調理するという楽しみ方もできますよ。

豆苗ともやしは美味しく食べれて健康にもいいので、ぜひいろいろな料理で使ってみてください。

" /> 3分で簡単豆苗ともやしの違い!どっちもスプラウトって本当?味や栄養の違い、おすすめの食べ方など料理好きライターが詳しくわかりやすく解説 – Study-Z
雑学食べ物・飲み物

3分で簡単豆苗ともやしの違い!どっちもスプラウトって本当?味や栄養の違い、おすすめの食べ方など料理好きライターが詳しくわかりやすく解説

この記事では豆苗ともやしの違いについてみていきます。見た目は全く違うが、実は豆苗ともやしは同じジャンルの野菜です。違いはずばり種子のようですが、味や栄養成分など調べてみるといろいろ違いがあるみたいです。
今回はそんな豆苗ともやしの違いを、種子の種類から確認しつつ、料理好きライター田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

料理好きライター。最近は健康を意識するようになり、糖質控えめなメニューを勉強中。日頃の料理経験を活かして違いを分かりやすく解説していく。

ざっくりした豆苗ともやしの違いって?

image by iStockphoto

豆苗ともやしはジャンルで言うと、どちらもスプラウト(発芽野菜)という分類に当てはまります。スプラウトとは、豆や穀物などの種子から出た新芽のことです。

豆苗ともやしは同じジャンルの野菜なうえ、どちらも元が豆という点も共通しています。いったい何が違うのか、ざっくりした違いをみていきましょう!

豆苗:えんどう豆から発芽したもの

豆苗は、えんどう豆から発芽したものを指します。英語だとPea(えんどう)のSprout(新芽)ということで、「Pea sprouts(ピースプラウト)」と呼ばれることが多いです。

原産地は中国で、中国との国交が回復した1972年頃に日本へ。今ではスーパーでよく見かける野菜ですが、当時の豆苗は高級品。特別なときにしか食べることのできないレアな食材でした。

1995年頃から日本でも植物工場で栽培されるようになったおかげで、手頃な価格でいつでも食べられるようになったのです。

もやし:人が手を加えて大豆などを発芽させたもの

もやしは豆や穀物などの種子を、人が手を加えて発芽させたもの全般を指します。この通り、もやしはある特定の野菜を意味する名前ではありません。

ちなみにもやしという名前は、「芽が出るようにする」という意味を持つ「萌やす」という動詞が由来。英語でもやしを指すときは「Bean sprout(ビーンスプラウト)」と言って、他のスプラウトと区別されたりします。

日本でもやしというと、大豆・緑豆・ブラックマッペ(黒まめ)などを発芽させたものが一般的です。この中では緑豆もやしが1番多く販売されています。

もやしは歴史がかなり古いので、はっきりとした原産地はわかっていません。食用ではなく薬用としてですが、日本でも平安時代から栽培されていたという記録が残っています。

もやしを栽培する業者が出てきたのは1907年頃。1950年頃には全国で栽培されるようになり、1960年頃からはスーパーなどで手軽に購入できるようになったそうです。

豆苗ともやしの詳しい違いをチェック!

image by iStockphoto

豆苗ともやしはスプラウトのマメ科に分類される野菜です。しかし元になっている豆の種類が違うので、色々と異なる点があります。

見た目・味・栄養素・賞費期限の違いまで詳しくチェックしてみましょう。

豆苗ともやしの「見た目」の違い

大きく分けると同じジャンルである豆苗ともやしですが、見た目はかなり違います。「見分けは簡単につくよ!」という方も多いと思いますが、それぞれの見た目の特徴をおさらいしてみましょう。

\次のページで「豆苗ともやしの「味」の違い」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: