今回はケイ素がテーマです。

ケイ素よりもシリコンやシリカの方がなじみ深いかもしれない。シリコンはケイ素の別名でシリカとはケイ素の酸化物、二酸化ケイ素SiO2やの二酸化ケイ素で構成された物質のことです。また乾燥剤のシリカゲルはケイ素の酸化物です。またケイ素と聞いて半導体を思い浮かべる人も多いでしょう。

それではケイ素について説明する。解説は化学系科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

周期表が好きな科学館職員。化学、元素、周期表と書かれた本を見るととりあえず手に取ってみる。

ケイ素って何?その特徴を解説

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コトバンクでケイ素を調べるとケイ素とは次のように書かれています。

周期表第14族に属し、炭素族元素の一つ。工業的にはシリコンということのほうが多い。石英やガラスは古代から知られており、とくにシリカ(二酸化ケイ素)とソーダなどを混合融解してガラスをつくることはよく知られていた。

結晶は灰色で金属光沢がある。ダイヤモンド型構造で、ゲルマニウムとともに半導体としてよく知られている。

高純度ケイ素は半導体としてダイオード、トランジスタ、IC(集積回路)、整流器、その他の半導体素子に盛んに利用される。シリコーンゴム、シリコーン油など各種シリコーン高分子材料の原料として広く用いられるほか、金属精練における還元剤、脱酸剤として重要。

ケイ素(珪素)という元素にあまりなじみのない人も多いでしょう。そこでまず、ケイ素という元素に注目します。

ケイ素(Si)

ケイ素(Si)

image by Study-Z編集部

元素番号:14 (14族、非金属元素)

原子量:28.1

密度:2.3290 g/cm3

融点:1414℃

ケイ素は炭素と同じ14族の元素です。炭素と同じグループという事で、炭素(C)とケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)で炭素族元素と呼ばれています。14族の特徴は最外殻の電子が4個という事です。炭素も4つの腕を使って様々な化合物を作ています。

炭素の腕が4つってどういうこと?という人は、共有結合をキーワードに確認してみてくださいね。

ケイ素は地殻を構成する元素の一種であり、酸素の次に多く存在する元素です。これはクラーク数と呼ばれ次の順で元素は含まれています。

酸素(O)46.6%>ケイ素(Si)27.7%>アルミニウム(Al)8.1%>鉄(Fe)5.0%>カルシウム(Ca)3.6%>ナトリウム(Na)2.8%>カリウム(K )2.6%>マグネシウム(Mg)2.1%

地殻の質量の約46.6%が酸素、ケイ素が約27.7%という事で酸素とケイ素だけで3/4近くを占めています。これは地殻には石英(無水ケイ酸・二酸化ケイ素SiO2)が多く含まれているためです。

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ここで石英、二酸化ケイ素について解説します。石英は二酸化ケイ素の結晶です。無色透明な二酸化ケイ素の結晶は水晶(玻璃)といいます。

ところで、石英はクォーツとも言いますが、クォーツと言えば時計のイメージがありますね。水晶は交流電圧をかけると、周期的に振動します。この性質を利用して作られたいのがクォーツ時計なのです。

\次のページで「ケイ素は何に使われている?」を解説!/

ケイ素は何に使われている?

それではケイ素がどんなものに使われえいるのか見てみましょう。

石英ガラス

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二酸化ケイ素の純度が高いのが石英ガラスです。このガラスは耐熱性、耐食性に優れ透明度が高いことが特徴。そのため、実験用のガラス器具と言えば石英ガラスアからできているのです。

シリカゲルって何?

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シリカゲルを化学式で表すとSiO2・nH2O。二酸化ケイ素が主成分となっています。シリカゲルは多孔質です。多孔質とは小さな孔がたくさんあり、その孔によって表面積が広くなっています。

お菓子の袋などの中に小さな袋に入った透明や青、赤の玉があるのを見たことがあるでしょう。これがいわゆるシリカゲルです。シリカゲルは水との吸着性が強く、水を吸湿してくれます。そのため、乾燥材として利用されているのです。

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ところで、シリカゲルは本来無色か白色の固体ですが、先ほど説明したように青や赤いものも入っています。これは、シリカゲルに塩化コバルト(Ⅱ)が添加されているためです。塩化コバルトは水を含むと青から赤へと変化します。そのため塩化コバルト(Ⅱ)で着色されたシリカゲルの乾燥剤も乾燥していれば青色、水を含むと赤に変色するのです。シリカゲルが赤くなっても、レンジやフライパンで加熱して水を飛ばしてまた使うことができます。

乾燥させて保管したい食品にシリカゲルは欠かせないのですね。

珪藻土の便利アイテム

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珪藻土とは珪藻という藻の一種の殻の化石からできた堆積岩のことでダイアトマイトとも言います。この珪藻の殻の主成分は先ほど登場した二酸化ケイ素です。珪藻土も多孔物質であり、吸水性に優れています。

この性質を利用して、珪藻土のバスマットやコースターなどが売られていますね。

\次のページで「半導体」を解説!/

半導体

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乾燥剤や珪藻土など説明してきましたが、ケイ素と言えば半導体を思い浮かべる人も多いでしょう。純度の高いケイ素の結晶から作られたシリコン半導体は、コンピューターなどの電子部品として欠かすことができません。半導体とは、その条件によって電気を通すことも通さないようにすることもできるもののことです。これを利用して作られた半導体集積回路(LSI)と言います。

半導体の研究についてはこちらの記事を参考にして下さい。

太陽電池とケイ素

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太陽電池にもケイ素が使われています。太陽電池の板は2重構造となっていて上の層はn型半導体(ケイ素とリン)、下の層はp型半導体(ケイ素とホウ素)からできているのです。そして光が当たると境界部分に自由電子と空席(ホール)が生まれ上に自由電子、下に空席が集まります。これを回路につなぐと自由電子が外を通って下の層へと流れ、電流が流れるのです。

image by Study-Z編集部

ここで太陽電池に関係する半導体について補足です。

上層のn型半導体はケイ素とわずかなリンからできています。リンはケイ素よりも最外殻の電子が1つ多い元素です。そのため電子が余った状態になり、この電子がシリコンの結晶の中で自由電子となっています。一方、下層のp型半導体。こちらではn型半導体と反対に最外殻の電子がケイ素よりも1つ少ないホウ素がわずかに混ぜられています。すると、共有結合を作るには電子が不足してしまい空席、ホールが生まれるのです。この2つが接する面(接合面)に光が当たると、光のエネルギーによって電子と空席が生まれ、電気が流れます。

自由電子ってなんだっけ?という人はこちらの記事を参考にして下さい。

シャンプーとシリコン

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シリコンはシャンプーなどにも含まれていて、髪の毛をコーティングして滑らかにしてくれます。しかしシリコン入りシャンプーには肌にダメージを与えたり、パーマやカラーリングをしてもその効果が薄れてしまうというデメリットも。そのため、最近のはノンシリコンのシャンプーが人気を集めています。また、シリコンは微生物が分解できないため環境への負荷を減らせるということも、ノンシリコンシャンプーが人気の理由のひとつです。

シリコーン樹脂とは

シリコーン樹脂はケイ素樹脂とも言います。シリコーン樹脂は200℃くらいまでは絶えることができ、電気を絶縁することができる素材です。そのため用途としては電気絶縁材料、耐熱塗料、接着剤などがあげられます。

あなたの生活の中にもあるケイ素

ケイ素は身近なところにある元素です。家の中を見ても窓ガラスや耐熱性のガラス食器、シャンプーやパソコン・スマートフォンなどがあげられます。

ケイ素の特徴は、炭素と同じく4本の腕で共有結合ができることです。どういう事?と思った人はもう一度共有結合について確認してくださいね。

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化学原子・元素理科

ケイ素とは?シリカって何?食品についているシリカゲルとの関係は?周期表マニアの科学館職員がわかりやすく解説

今回はケイ素がテーマです。

ケイ素よりもシリコンやシリカの方がなじみ深いかもしれない。シリコンはケイ素の別名でシリカとはケイ素の酸化物、二酸化ケイ素SiO2やの二酸化ケイ素で構成された物質のことです。また乾燥剤のシリカゲルはケイ素の酸化物です。またケイ素と聞いて半導体を思い浮かべる人も多いでしょう。

それではケイ素について説明する。解説は化学系科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

周期表が好きな科学館職員。化学、元素、周期表と書かれた本を見るととりあえず手に取ってみる。

ケイ素って何?その特徴を解説

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コトバンクでケイ素を調べるとケイ素とは次のように書かれています。

周期表第14族に属し、炭素族元素の一つ。工業的にはシリコンということのほうが多い。石英やガラスは古代から知られており、とくにシリカ(二酸化ケイ素)とソーダなどを混合融解してガラスをつくることはよく知られていた。

結晶は灰色で金属光沢がある。ダイヤモンド型構造で、ゲルマニウムとともに半導体としてよく知られている。

高純度ケイ素は半導体としてダイオード、トランジスタ、IC(集積回路)、整流器、その他の半導体素子に盛んに利用される。シリコーンゴム、シリコーン油など各種シリコーン高分子材料の原料として広く用いられるほか、金属精練における還元剤、脱酸剤として重要。

ケイ素(珪素)という元素にあまりなじみのない人も多いでしょう。そこでまず、ケイ素という元素に注目します。

ケイ素(Si)

ケイ素(Si)

image by Study-Z編集部

元素番号:14 (14族、非金属元素)

原子量:28.1

密度:2.3290 g/cm3

融点:1414℃

ケイ素は炭素と同じ14族の元素です。炭素と同じグループという事で、炭素(C)とケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)で炭素族元素と呼ばれています。14族の特徴は最外殻の電子が4個という事です。炭素も4つの腕を使って様々な化合物を作ています。

炭素の腕が4つってどういうこと?という人は、共有結合をキーワードに確認してみてくださいね。

ケイ素は地殻を構成する元素の一種であり、酸素の次に多く存在する元素です。これはクラーク数と呼ばれ次の順で元素は含まれています。

酸素(O)46.6%>ケイ素(Si)27.7%>アルミニウム(Al)8.1%>鉄(Fe)5.0%>カルシウム(Ca)3.6%>ナトリウム(Na)2.8%>カリウム(K )2.6%>マグネシウム(Mg)2.1%

地殻の質量の約46.6%が酸素、ケイ素が約27.7%という事で酸素とケイ素だけで3/4近くを占めています。これは地殻には石英(無水ケイ酸・二酸化ケイ素SiO2)が多く含まれているためです。

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ここで石英、二酸化ケイ素について解説します。石英は二酸化ケイ素の結晶です。無色透明な二酸化ケイ素の結晶は水晶(玻璃)といいます。

ところで、石英はクォーツとも言いますが、クォーツと言えば時計のイメージがありますね。水晶は交流電圧をかけると、周期的に振動します。この性質を利用して作られたいのがクォーツ時計なのです。

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