この記事では「銭湯」と「温泉」の違いについてみていきます。どちらも日々の疲れを癒してくれる入浴施設というイメージがあるよな。違いはずばり「温泉には3つの条件があり、銭湯には条件がない点」のようですが、料金の設定方法も異なっているようです。今回はそんな「銭湯」と「温泉」について、定義や料金の設定方法、似たような施設のスーパー銭湯やスパとの違いについて、銭湯・温泉大好きのライターSadaieと一緒に解説していきます。

ライター/Sadaie

プログラマー、ヘルプデスク経験者。パソコン関係以外では文学、歴史が好き。それらの知識をわかりやすいかたちで配信したいと考えている。銭湯、温泉をこよなく愛する。

銭湯と温泉は定義が全然違う!

銭湯と温泉は定義する法律が異なっています。温泉は温泉法に温度や成分の定義がありますが、銭湯には定義はありません。

銭湯の運営は公衆浴場法にもとづきますが、これは定義のようなものではなく衛生面の管理に焦点が当てられたもの。

銭湯に明確な定義は存在しない

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公衆浴場法には銭湯を含む公衆浴場について、下記のように記述されています。

公衆浴場法(昭和23年7月法律第139号)

1 定義
 公衆浴場は、「温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」と定義されているが、これらの営業を行う場合には公衆浴場法に基づき都道府県知事の許可を得なければならない。

(出典:厚生労働省 公衆浴場法概要 , 

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/seikatsu-eisei04/04.html)

公衆浴場法は銭湯を個別に管理する法律というわけではないので、ここで挙げられている定義の範囲は非常に広義。

成分の定義がないので、井戸水や水道水などを使用できます。

温泉もこの公衆浴場に含まれる施設です。

温泉には3つの基準が存在する

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環境省によると温泉は下記のように定義されています。

\次のページで「銭湯と温泉は管理する省庁も異なる」を解説!/

温泉は、昭和23年に制定された「温泉法」により、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、表1の温度又は物質を有するものと定義されています。

表1

1. 温度(温泉源から採取されるときの温度) 摂氏25度以上
2. 物質(以下に掲げるもののうち、いずれか一つ)溶存物質(ガス性のものを除く。) 総量1,000mg以上 遊離炭酸(CO2)(遊離二酸化炭素) 250mg以上 リチウムイオン(Li+) 1mg以上

※以下の成分は割愛

(出典:環境省 温泉の定義 , https://www.env.go.jp/nature/onsen/point// )

ポイントは「地中から自然に湧き出た水であるということ」、「25度以上であること」、「特定の成分を含有すること」の3つです。

銭湯と温泉は管理する省庁も異なる

上で紹介した定義を定めている省庁が違う点をお気付きになられたでしょうか。

銭湯と温泉では管理する省庁も異なり、銭湯は厚生労働省、温泉は環境省がそれぞれ管理しています。

銭湯と温泉 それぞれの歴史

我が国において、風呂の慣習が生まれたのは6世紀の仏教伝来のころと言われています。

仏教の経文の中には沐浴(からだを水で洗い潔めること。読み方はもくよく)の功徳を説いたものもあり、奈良の東大寺に今も残る浴堂は当時の世相を表しているといえるでしょう。

寺院から一般大衆に広まっていった銭湯

風呂の文化は6世紀ごろから始まったとはいえ、当然当時は寺院にしか浴室はありませんでした。一般庶民が利用するようになったのは時代は進んで平安時代の末ごろ。この時の「湯屋」が、銭湯の先駆けと言われています。

\次のページで「奈良時代から利用されていた温泉」を解説!/

奈良時代から利用されていた温泉

温泉についての記述が文献に見られるのは奈良時代(8世紀)の「古事記」と各地の「風土記」。

それらの歴史的文献にもとづき、道後温泉(愛媛県)、白浜温泉(和歌山県)、有馬温泉(兵庫県)が「日本三古湯」と呼ばれています。

ただし、最古の温泉については現在のところ不明。

銭湯、温泉と似た入浴施設

銭湯、温泉と似た入浴施設に「スーパー銭湯、健康ランド」、「スパ」がありますね。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

娯楽が目的のスーパー銭湯、健康ランド

銭湯と似ているスーパー銭湯は、銭湯と同じく厚生労働省が管轄する公衆浴場です。

違いは、スーパー銭湯は入浴ではなく、サウナやマッサージといった「娯楽」に重点が置かれている点。この違いによって料金の差が生まれています。

療養が目的のスパ

スパとはラテン語で「水による治療」を意味する「SanitasPerAquas」の頭文字をとったものと言われています。

スパの特徴は、入浴が目的ではなく治療や癒しが目的であるという点。入浴は療法の一つに過ぎないのです。

銭湯と温泉では料金設定も異なる

銭湯と温泉では料金設定も異なり、基本的には銭湯の方が安価で温泉の方が高額となります。

\次のページで「都道府県によって定められた銭湯の料金」を解説!/

都道府県によって定められた銭湯の料金

銭湯の料金は大人、中人(小学生)、小人(未就学児)の3つの料金帯で定義されており、都道府県ごとに最高限度額を管理しています。

例えば2021年現在、東京都の大人料金は480円で千葉県が450円、隣の県でも数十円の差が。最安の佐賀県は280円なので数百円の開きがあるのです。

特に基準がなく、自由な温泉

温泉の料金に基準はありません。各温泉で自由に設定することができます。

銭湯と温泉では備品も違う!持ち物にも注意

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銭湯には石鹸(ボディーソープ)、シャンプーは備え付けられておらず、タオルやバスタオルも持参する必要があります。また、ドライヤーも有料での利用。

とは言え、石鹸、シャンプー、タオル類は全て番台で購入が可能なので、気ままに立ち寄ってみるのも全然ありですね。

温泉の場合は、温泉旅館か日帰り温泉かで少し異なります。温泉旅館の場合は基本的にすべてアメニティとして提供されますが、日帰り温泉の場合はタオルやバスタオルは持参するべきでしょう。

銭湯と温泉はそれぞれ異なる魅力がある

温度や成分の縛りがなく人工的な銭湯と、縛りの厳しい自然のままの銭湯。両者には異なった魅力があると言えます。銭湯の魅力は昔ながらのご近所さんとのコミュニケーションの場になりえる点と、リーズナブルな価格。古き良き日本文化の象徴ですね。温泉は成分の効能もさることながら、そこにいたる「旅行」そのものが魅力。旅館やそこに働く方々の心遣い、素晴らしい料理が私たちを非日常へといざなうのです。

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銭湯と温泉の違いって?成分や温度、料金、スーパー銭湯やスパとの違いについて銭湯・温泉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「銭湯」と「温泉」の違いについてみていきます。どちらも日々の疲れを癒してくれる入浴施設というイメージがあるよな。違いはずばり「温泉には3つの条件があり、銭湯には条件がない点」のようですが、料金の設定方法も異なっているようです。今回はそんな「銭湯」と「温泉」について、定義や料金の設定方法、似たような施設のスーパー銭湯やスパとの違いについて、銭湯・温泉大好きのライターSadaieと一緒に解説していきます。

ライター/Sadaie

プログラマー、ヘルプデスク経験者。パソコン関係以外では文学、歴史が好き。それらの知識をわかりやすいかたちで配信したいと考えている。銭湯、温泉をこよなく愛する。

銭湯と温泉は定義が全然違う!

銭湯と温泉は定義する法律が異なっています。温泉は温泉法に温度や成分の定義がありますが、銭湯には定義はありません。

銭湯の運営は公衆浴場法にもとづきますが、これは定義のようなものではなく衛生面の管理に焦点が当てられたもの。

銭湯に明確な定義は存在しない

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公衆浴場法には銭湯を含む公衆浴場について、下記のように記述されています。

公衆浴場法(昭和23年7月法律第139号)

1 定義
 公衆浴場は、「温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」と定義されているが、これらの営業を行う場合には公衆浴場法に基づき都道府県知事の許可を得なければならない。

(出典:厚生労働省 公衆浴場法概要 , 

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/seikatsu-eisei04/04.html)

公衆浴場法は銭湯を個別に管理する法律というわけではないので、ここで挙げられている定義の範囲は非常に広義。

成分の定義がないので、井戸水や水道水などを使用できます。

温泉もこの公衆浴場に含まれる施設です。

温泉には3つの基準が存在する

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環境省によると温泉は下記のように定義されています。

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