この記事では「道を譲る」について解説する。

端的に言えば道を譲るの意味は「引退して地位を後輩に譲ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「道を譲る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な6年目のライター、eastflower。「道を譲る」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「道を譲る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「道を譲る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「道を譲る」の意味は?

まずは、「(後進に)道を譲る」と「譲る」の意味を見ていきましょう。

1. 引退してその地位・役割などを後輩に譲る。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「後進に道を譲る」

1. 自分の物・地位・権利などを他人に与える。譲渡する。
2. 欲しい人に売る。
3. 自分を後にし他人を先にする。
4. 自分の主張を抑えて他人の主張を通させる。譲歩する。
5. 他の機会にする。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「譲る」

国語辞典で「道を譲る」(みちをゆずる)を検索してみると「後進に道を譲る」(こうしんにみちをゆずる)で意味がでてきました。確かに「道を譲る」は、自動車で運転中、左折や右折して道路に入ろうとしている人に「お先にどうぞ」という意味で「先や前にいれてあげる行為」のことも「道を譲る」という言葉で表現しますよね。

この記事では、「自分の地位などを他人に譲渡する」という意味を有する「後進に道を譲る」の言葉の意味を中心に見ていきましょう。尚、「後進に道を譲る」の「後進」(こうしん)とは、「前の人が築いてきた道筋を後から進む人」のことで、「同じ道を進む後輩」などのことです。

「道を譲る」の語源は?

次に「道を譲る」の語源を確認しておきましょう。
「道を譲る」という慣用句がいつ頃から使われるようになったのかははっきりしませんが、「後進に道を譲る」という制度や行為は昔からありました。例えば「皇位継承」(こういけいしょう)です。日本の天皇陛下は、原則は長男に路を譲ることが定められています。企業などでは取締役など現職を続けられる場合でも年齢や体力の関係や将来の発展を目指して引退して後輩に次の時代を任せることは珍しいことではありません。

\次のページで「「道を譲る」の使い方・例文」を解説!/

「道を譲る」の使い方・例文

「道を譲る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.「社員の皆さまには長く多大なる協力やご支援をいただいてきて大変感謝しております。しかしながら私は、今年度をもって社長の職を後進に道を譲ることを決心しました。やはり、時代の変化のスピードが早くなる中、私の今までのやり方では時代の変化に対応していけないと思うようになったからです。」

2. 「会社の決まりで役員は、8年で後進に道を譲るルールになっているが長期的視点から見るとトップが変わるたびにすぐに方針が変わるという弊害がでてきているのも事実だ。もっとも無期限にすると組織が腐敗するという歴史的事実も多数存在する。」

「道を譲る」という行為は日本企業のトップにとって、とても大切な仕事のひとつだと考えられています。自分自身が去った後も企業は継続して発展するように計画することが「後進に道を譲る者の最後の仕事」だと言えるかもしれません

「道を譲る」の類義語は?違いは?

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それでは、「道を譲る」の類義語を見ていきましょう。

「第一線から退く」

「道を譲る」の類義語のひとつに「第一線から退く」(だいいっせんからしりぞく)がありますので、ご紹介しましょう。「第一線から退く」の「第一線(だいいっせん」とは、「戦争時で敵ともっとも近い地域のこと」です。同じ意味で「最前線」もよく使われますよね。そこから派生して「第一線」は「もっとも重要で華々しい場所や地位」という意味で使われるようになりました。ですから、「第一線から退く」は「会社などの組織では地位もあり花形としてバリバリ仕事をしてきた人が、その職から離れて、あるいは退職すること」の意味になります。ただ、「後進に道を譲る」が「後進の人たちに活躍の場を与える」ことが第一義であるのに対して、「第一線から退く」の方は、「重要な役割を担ってきた人がその職から退くこと」にフォーカスされたことばだと言えるでしょう。

\次のページで「「道を譲る」の対義語は?」を解説!/

「道を譲る」の対義語は?

次に「道を譲る」の対義語を見ていきましょう。

「独裁」

「道を譲る」は、「自身の地位や権利を他人に与えること」であり、「後進に道を譲る」は、「自分の引退に伴い、同じ道を歩んできた同志や後輩たちに自分の地位を引き継ぐこと」でしたね。「もし、反対に引退すべき時期に当人が道を譲らなかったらどうなるのでしょうか?」引き続き、当人が権力や地位を保持し続けていくと、やがて特定の個人に権力は集中し強い力で組織を支配するようになっていくことでしょう。もちろん、ひとりの個人が長い期間、組織をリードし続けるメリットもあるでしょう。長期的な視点から組織を動かすことができるためです。しかし、民主的だとはいえないかもしれませんね。

「道を譲る」の対局にある言葉のひとつに「独裁」(どくさい)があります。「独裁」は、「強い力で物事を裁決・支配すること」また、「独断で物事を決めること」を意味しますが、極めて優秀なリーダーであっても任期が長ければ長いほど体制の腐敗(ふはい)が進む事象が歴史的にもしばしば見らますね。

「道を譲る」の英訳は?

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次に「道を譲る」の英訳を見ていきましょう。

「retire to make room for younger workforce」

「後進に道を譲る」は、「引退してその地位などを後輩に譲る」という意味でしたね。英語にもこれにピッタリの表現があります。「retire to make room for younger workforce」です。直訳すると「若い働き手の活躍できる余地を作るために引退する」になります。「retire to make room for younger workforce」の「room」(rúːm)とは、「余地」(よち)や「機会」(きかい)という意味で使われているのです。「workforce」(ˈwɝˌkfɔrs)の方は、ここでは、「労働力」の意味になります。「かって活躍してきたトップが引退するということ」は「後進である若い社員が機会を得る」結果につながるという考え方ですね。

「道を譲る」を使いこなそう

この記事では、「道を譲る」の意味や使い方を見てきました。「自分の地位を他人に与える」ことでしたね。「家制度」が確立されてきた日本では当主がいい状態で息子などに家督を譲ることは大変重要なことでした。しかし、考えてみると人間の寿命は長くなりました。80歳や100歳まで生きる人も少なくありません。60代や70代でも元気に仕事されている方々も多くなりました。ひとつのことを一生やり抜くことは大切なことですが、寿命が長くなったおかげでふたつやみっつのことを成し遂げることもできるようになりました。「道を譲る」ことは後進にチャンスを与えるという点で大切ですが、「道を譲った方」もこれで人生終わりではありません。新しいことを始めればよいのではないでしょうか?

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【慣用句】「道を譲る」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「道を譲る」について解説する。

端的に言えば道を譲るの意味は「引退して地位を後輩に譲ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で7年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「道を譲る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な6年目のライター、eastflower。「道を譲る」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「道を譲る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「道を譲る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「道を譲る」の意味は?

まずは、「(後進に)道を譲る」と「譲る」の意味を見ていきましょう。

1. 引退してその地位・役割などを後輩に譲る。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「後進に道を譲る」

1. 自分の物・地位・権利などを他人に与える。譲渡する。
2. 欲しい人に売る。
3. 自分を後にし他人を先にする。
4. 自分の主張を抑えて他人の主張を通させる。譲歩する。
5. 他の機会にする。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「譲る」

国語辞典で「道を譲る」(みちをゆずる)を検索してみると「後進に道を譲る」(こうしんにみちをゆずる)で意味がでてきました。確かに「道を譲る」は、自動車で運転中、左折や右折して道路に入ろうとしている人に「お先にどうぞ」という意味で「先や前にいれてあげる行為」のことも「道を譲る」という言葉で表現しますよね。

この記事では、「自分の地位などを他人に譲渡する」という意味を有する「後進に道を譲る」の言葉の意味を中心に見ていきましょう。尚、「後進に道を譲る」の「後進」(こうしん)とは、「前の人が築いてきた道筋を後から進む人」のことで、「同じ道を進む後輩」などのことです。

「道を譲る」の語源は?

次に「道を譲る」の語源を確認しておきましょう。
「道を譲る」という慣用句がいつ頃から使われるようになったのかははっきりしませんが、「後進に道を譲る」という制度や行為は昔からありました。例えば「皇位継承」(こういけいしょう)です。日本の天皇陛下は、原則は長男に路を譲ることが定められています。企業などでは取締役など現職を続けられる場合でも年齢や体力の関係や将来の発展を目指して引退して後輩に次の時代を任せることは珍しいことではありません。

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