燃焼範囲とは?引火点と発火点って何?原理や計算方法を機械系出身ライターが5分でわかりやすく解説!
燃焼範囲の計算方法
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燃焼範囲の計算では、下限、つまり爆発下限界を計算する機会の方が多いです。これは、日常では空気濃度の方が高い状況が多いうえ、爆発上限界はより反応が活発で誤差が出やすいことが理由となります。
単一の可燃性気体の濃度を求めたい場合は、単純に可燃性気体の体積を気体全体の体積で割り、百分率に変換する計算でOKです。この計算で求められる濃度[vol%]が燃焼範囲に収まっているとき、燃焼させることができます。
一方で、複数の可燃性気体が混ざった混合気体の爆発下限界は、上の画像の式で計算が可能です。少し分かりにくい式なので、簡単に解説していきます。
この式に右辺において、ある気体の濃度が爆発下限界を超えていれば(このときC/Lは1以上になる)、その気体は燃焼範囲に入っていることになりますね。この数値を合計し逆数にすると、逆に燃焼範囲をみたす気体濃度の目安となります。最後に100をかけてパーセントに変換するという流れの計算です。
引火と発火について
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現実の燃料に火がつくプロセスは、引火と発火の2つに分かれています。
これらの違いは、点火源の有無です。
「燃焼の持続と発熱反応」の項で、燃焼を起こすにはエネルギーが必要になると説明しました。このエネルギーを外部の点火源からもらう燃焼が引火、温度が高すぎて自然に反応が起きて燃焼するのが発火です。
これらは燃料の温度によって引き起こされる現象で、燃料が引火する温度を引火点、燃料が発火する温度を発火点と呼びます。これら引火点、発火点についてもう少し掘り下げて見てみましょう。
引火点とは燃料が引火を引き起こす最低温度のこと
液体燃料は周囲の熱を受けて気化、蒸発しています。そして、蒸発した可燃物蒸気と空気の量が燃焼範囲に入っている場合、点火源を使って引火させることが可能です。
また一般的に、液温が上がるほど液体は蒸発しやすくなります。
これらの内容をふまえると、燃料の液温が低いと蒸発した可燃性蒸気が少ない、つまり蒸気の濃度が燃焼範囲に到達しないため燃焼することがありません。
つまり、引火点とは最低限燃焼できる分の蒸気が生じる液温、言いかえると燃焼範囲の下限をみたす燃料の温度となります。気温ではなく燃料の温度であることに注意が必要です。
引火点が低い燃料は室温でも燃焼範囲をみたす、つまり引火する条件が揃っていることになるので、扱いに注意が必要となります。
発火点とは燃料が点火源なしで自発的に燃焼する温度のこと
一方で発火とは、点火源なしに燃料が自然発火する現象のことを指します。
外部からエネルギーをもらうことなく、内部のエネルギーのみで起こる反応であるぶん、引火よりも高い温度が必要となるのが一般的です。
発火が起こる燃料の温度を発火点といいます。
日常的に使っている食用油の引火点はおよそ300℃、発火点は330~350℃程度です。そのため、火災原因でよくあるコンロに天ぷら油を長時間放置してというのは発火が起こったことが原因といえます。
代表的な燃料の燃焼範囲と危険性
物質によって、燃焼範囲や引火点、発火点はそれぞれ異なります。最後に、代表的な燃料についてどのような特徴および危険性があるか見てみましょう。
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