
今回は鉄鋼、非鉄金属の2つの分野の金属材料について、機械系専攻で金属材料に詳しいライター、ふっくらブラウスと一緒に解説していきます。

ライター/ふっくらブラウス
機械系を専攻した理系ライター。力学をはじめとした四力学のほか、金属材料や樹脂材料の特性、加工法なども学習した。塾講師時代の経験を活かした「シンプルでわかりやすい解説」がモットー。
非鉄金属という分類の意味

image by iStockphoto
皆さんは非鉄金属という金属の分類に見覚えはあるでしょうか?
金属材料を扱う産業、業界の方などでなければ、おそらくは聞き覚えのない言葉かと思います。
非鉄金属とは鉄以外の金属すべてという言葉そのままの意味なのですが、この分類自体には学術的な意味はありません。ではなぜこのような大雑把な分類が存在するのかといえば、工業分野での鉄鋼材料の取り扱いが圧倒的に多いことが理由です。
鉄鋼材料が年間数十億トン単位で生産されているなか、非鉄金属材料は1億トン程度しか生産されていません。しかし、非鉄金属は鉄が持っていない様々な工業的メリットがあり、ハイテク分野でも使われています。
そこで、今回は鉄鋼材料と非鉄金属材料からいくつかピックアップして、特性や用途などについて見ていきましょう。
鉄と鉄鋼の違いって何?
鉄鋼材料の解説に入る前に、まず鉄鋼とは何なのか確認しましょう。
鉄鋼と鉄の違いはなんでしょうか?
実は純粋な鉄(純鉄)というのはやわらかいうえすぐに錆びてボロボロになってしまいます。そこで、鉄に炭素を混ぜることで、加工に耐えられる硬度、強度を確保したものが鉄鋼です。炭素含有量が2%までの鉄を鋼、炭素含有量が2%以上の鉄を鋳鉄と呼びます。
これで鉄鋼とはどんなものかおさらいできたので、引き続き代表的な鉄鋼材料である炭素鋼、ステンレス鋼について見ていきましょう。
鉄鋼材料その1:炭素鋼

image by iStockphoto
鉄鋼の中でも最もメジャーな素材といえるのが、炭素鋼です。鉄鋼の中でも炭素以外の成分が添加されていないものになります。
炭素鋼の大きな特徴は、熱処理により幅広い特性の材料が得られることです。
鉄は高い温度下では結晶構造および性質が変化するのですが、炭素鋼では結晶構造が変化するときに炭素が作用します。そのため炭素鋼は炭素含有量や加熱温度・速度を調整することにより、結晶構造や硬さ、加工性といった性質を変化させることが可能です。
この利点から、ビルや橋などの構造材やバイト・ドリルなどの機械工具、旋盤・フライス盤といった加工機そのものの構成部品と幅広い用途に用いられています。
\次のページで「鉄鋼材料その2:ステンレス鋼」を解説!/