ディズニーは誰もが知る世界トップのエンターテイメントの会社です。特にアニメーション映画はディズニーの名を世界に轟かせた中心となる事業ですが、その製作はディズニーの他にピクサーという会社が行なっている。それ自体は知っていても、2つの違いは曖昧な人も多いでしょう。この記事ではそれぞれの作品の特徴を含め、会社の違いや関係性についてディズニー映画が大好きなライターおとのと一緒にしてしていきます。

ライター/おとの

子供の頃からディズニー作品が大好き。特に『不思議の国のアリス』と『アラジン』はセリフを覚えるくらいに繰り返し見ていた。子供の頃に見たビデオと現代のDVDでは声優やセリフが異なっているので、ちょっぴり寂しい気もしている。

ディズニーとピクサーは会社が違う!

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ディズニーとピクサーの違いと言われたとき、まず思い付くのはどんなアイディアでしょうか。筆者は「手書きアニメーションがディズニー、フルCGのアニメーションがピクサー」だと思っていました。しかし、それは大間違い。2013年に主題歌が大ヒットした『アナと雪の女王』や世界観に日本が組み込まれている『ベイマックス』はフルCGですがピクサーではなくディズニーが製作したものです。調べてみると、ディズニーが製作したCGのアニメーションは意外なほどに沢山あります。ではアニメーションの種類の違いではないのなら、ディズニーとピクサーは何が違うのでしょうか。

結論から言うと、ディズニーとピクサーは大元の会社が一緒なだけであり、それぞれは完全な別の会社です。ディズニーは幅広い分野での事業を展開していますね。それらの事業を統括しているトップの会社がウォルト・ディズニー・カンパニー。その中でアニメーション映画の製作を行なっている会社がウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ。そしてピクサーはウォルト・ディズニー・カンパニーの完全子会社という関係です。

ディズニーとピクサーの会社の概要は?

ディズニーとピクサーは会社が違うと上記しましたが、それだけでは今ひとつピンときませんよね。具体的に何がどう違うのかを知るために、ディズニーとピクサーの会社について、もう少し詳しく学んでいきたいと思います。ここではそれぞれの会社の概要について解説していきますね。

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ:アニメーション主要制作部門

ディズニーと一口に言っても、そこには多くの会社と部門が存在しているため、まずはその形態から説明します。全てのトップであるウォルト・ディズニー・カンパニーはもともとアニメーションの作成から始まった会社。現在では世界の6都市にあるテーマパークの運営や、可愛いからお洒落まで網羅したグッズの販売など、様々な方面で私たちを楽しませてくれています。そんなウォルト・ディズニー・カンパニーを支える部門は大きく分けて以下の4つ。

ウォルト・ディズニー・スタジオ(映画・音楽)
パーク&リゾート(テーマパーク・クルーズライン)
メディア・ネットワーク(テレビ放送)
コンシューマ・プロダクツ&インタラクティブ・メディア(衣類やおもちゃなどのグッズ)

以上のうち、映画や音楽を担当しているのはウォルト・ディズニー・スタジオです。そしてその映画製作の中でもアニメーション制作を担う主要部門がウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ。ディズニーアニメーションの代表作や名作をいくつも生み出し、ディズニーを世界的な成功に導きました。1923年にウォルト・ディズニー・スタジオが創設されたのと同時に設立された、非常に歴史の長く由緒ある部門です。

ピクサー・アニメーション・スタジオ:ウォルト・ディズニー・カンパニーの子会社

ピクサーという名称を知らない人でも、映画が始まる前のオープニングロゴを思い出してみて下さい。ぴょこんぴょこんと跳ねてPIXARの“I”に成り代わる、あの愛嬌のある電気スタンドのキャラクターには心当たりがあるのではないでしょうか。彼(彼女?)はルクソーJr.と呼ばれ、ピクサーファンに愛されるマスコット的存在です。

ピクサーは略称で、本来の会社名はピクサー・アニメーション・スタジオ。もともとはディズニーと提携の契約をしてアニメーションを作っていた会社ですが、2006年に74億ドルでディズニーが買収して完全子会社となりました。つまりピクサーがディズニーの傘下に入ったカタチとなりますが、当時ピクサーの職員がディズニーの重役の席を得ていたことから、ディズニーとピクサーが一体化し、より密接な関係を築くことによって強力な体制ができたと言えますね。

作品の特徴を確認しよう!

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子供の頃からディズニーやピクサーの映画や短編アニメを見て育ったと言う人も多いでしょう。DVDのほか、専用のチャンネルや動画配信など、今ではより幅広い多くの作品が見られるようになっています。この項では、ディズニーとピクサーの長編アニメーション映画について、その特徴や魅力について確認していきましょう。

ディズニー:手書きからフルCGまで

世界初の長編アニメーション映画と言えば、かの有名なディズニーの『白雪姫』ですね。このヒットを皮切りに、ディズニーは『シンデレラ』や『ピーター・パン』や『不思議の国のアリス』などの手書きアニメーションを数多く生み出してきました。プリンセスの動きの研究のために、女優に演技をしてもらい、その動きを観察してアニメーションに取り入れたり、本物の動物をスタジオに連れてきてスケッチをしたりするなど、アニメの中のキャラクターを生き生きと動かすことに尽力し続けたようです。

いつから作品にCG技術が使われ始めたのかは定かではありませんが、1989年の『リトル・マーメイド』に始まるディズニーの第2次黄金期の前後なのは間違いありません。その後は『美女と野獣』の華麗なダンスシーンや『アラジン』のスリル満点の洞窟のシーンなど、随所でCGが使われるようになりました。2005年にはディズニー単独としては初のフルCGアニメーションである『チキン・リトル』を発表し、現在はCGアニメーションがメインとなっています。ディズニーの古典的な手描きアニメーションが大好きな筆者としては、ぜひ手描きも復活させて欲しいと願っているのですが、残念ながらしばらくその予定は無いようですね。

ピクサー:CGアニメーションに特化

後で詳しく解説しますが、ピクサーはもともとコンピューターの会社です。そのため、CG技術はお手の物。『モンスターズ・インク』のモンスターであるサリーやマイク、『ファインディング・ニモ』の隠れクマノミの子供のニモなど、表情豊かで愛らしいキャラクターをたくさん生み出しています

ピクサーの技術的な魅力の1つには、アニメーションならではの可愛らしさと、質感のリアルさや背景の美しさの融合があるのではないでしょうか。毛皮を纏ったキャラクターのふわふわで滑らかな毛。濃厚な香りが漂ってきそうな料理の数々。光が溢れる美しい海。全てが幻想的でありながらも、どこかに存在しそうな現実味を兼ね備えています。それもそのはずで、海を作るときにはスタッフがスキューバダイビングの免許を取り、料理のシーンを撮るときは高級レストランのシェフから調理を学んだのだとか。徹底的に本物志向なのはディズニーと一緒ですね。

\次のページで「作品に込められたメッセージは?」を解説!/

作品に込められたメッセージは?

この項では、ディズニーとピクサーの映画に込められたメッセージについて確認していきましょう。それぞれの会社がこだわりを持って作ったアニメーション映画。そこには単純に「面白かった」「楽しかった」という感想以上に、作品を通して伝えたいメッセージがあるはずです。ストーリーの構成やキャラクターの生き様から、私たちが感じ取れることや学べることはどのようなことなのか。ディズニーやピクサーが大好きな筆者の視点で解説していきます。

ディズニー:夢や希望

ディズニー作品の多くは元となったおとぎ話や童話があります。ざっくりとした流れは美しく心優しいプリンセスと勇敢なプリンスが恋に落ちて、様々な困難を乗り越えた末に結ばれるというハッピーエンド。「いつか幸せになれる」「信じていれば夢は叶う」と夢や希望を歌いながら逆境に立ち向かう主人公たちの姿に勇気づけられた人も多いでしょう。ハッピーエンドが原則のディズニー作品は元の物語を改変していることも珍しくありません。そこには賛否両論あるようですが、筆者としては「ディズニーなら幸せな結末を迎えるだろう」と安心して見られる点も魅力だと思っています。

ディズニー映画を見るたびに感じるのは、他者に思いやりを持って寄り添うこと真っ直ぐに夢を信じることどんなときでも希望を忘れないことの大切さ。ディズニー映画に欠かせない要素に魔法がありますが、それはあくまでもサポートの役割。キャラクターが幸せになれるのは、あくまでも本人の心根が美しいからです。大人になればそれらがとても難しいことを知っているだけに、テーマの重要性も身に沁みますね。

ピクサー:想像力と信念

子供のいない場所で自由に動くおもちゃ達。クローゼットの向こうに広がるモンスターの世界。信じられない数の風船を使った空の旅。誰しも子供の頃に1度は空想したのではないでしょうか。そんな空想の骨組みにストーリーという肉付けをしてくれるのがピクサーです。CG技術に目が行きがちなピクサーですが、製作陣が非常に重要視かつ基本としているのが、良いストーリーを作るということ。原作のないピクサーの映画は想像力によって成り立っているのです。

ピクサーの主人公たちは誰しも強い信念と自分の生き方にプライドを持っています。子供の良い相棒でいることに誇りを持つウッディ。息子のニモを探すために勇気を振り絞るマーリン。厨房の嫌われ者でありながら料理人になる夢を持つネズミのレミー。ときにはそのプライドや信念が問題を呼び寄せることもありますが、彼らは自分に対していつでも真っ直ぐに生きています。ピクサーからのメッセージは、そんな彼らの姿からも伝わって来るのではないでしょうか。

それぞれの歴史を確認しよう!

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ディズニーとピクサーは歴史の長さも違えば発展の仕方も違います。しかし、それぞれの会社の歴史を紐解くと、互いに及ぼした影響や意外な繋がりなど、面白い発見が盛り沢山。ここではディズニーとピクサーの成り立ちから両社の出会い後の経歴までをまとめました。2社はどのような歴史を経て、今のような知名度と人気を誇る会社になったのかを確認していきましょう。

ディズニーの歴史

ディズニーの創設者はご存知の通りウォルト・ディズニーです。彼は夢の国、ひいては夢の世界を築き上げた成功者ですが、そこに至るまでには数多くのデザイン会社やアニメーション会社の倒産を繰り返していました。現在のウォルト・ディズニー・カンパニーの実質的な創立は1923年。ロイ・ディズニーと共に立ち上げた「ディズニー・ブラザース・カートゥーン・スタジオ」から引き継がれています。自由な発想で思い立ったら突き進むウォルトは、経理や経営にはあまり向いていませんでした。一方で几帳面な性格であるロイは彼のサポート役に適任だったようです。会社は複数回に及び社名変更がなされましたが、1986年に「ウォルト・ディズニー・カンパニー」となり、現在に至っています。

波乱万丈な人生を送っていたウォルト・ディズニーですが、彼が被った最も大きな悲劇は1928年の自社キャラクターの奪取でしょう。その頃ディズニーは、オズワルド・ザ・ラッキー・ラビットというウサギのキャラクターを主人公にしたアニメを作成。ユニバーサル・ピクチャーズがそれを配給していました。オズワルドは子供を中心に爆発的な人気を得て、ディズニー社を大企業に押し上げました。しかし配給手数料などの交渉が決裂。ディズニーは配給会社を失ったばかりか、多くの従業員を引き抜かれ、挙句の果てにはオズワルドの諸権利まで奪われてしまったのです。失意の中でも諦めることのなかったウォルトは、ディズニー再建のために新たなキャラクターを生み出しました。それこそが今や世界的スーパースターのミッキーマウスです。このミッキーマウスの大成功により、ディズニーは幅広い事業を展開するまでの大きな会社に再建され、現在の地位を築き上げました。

ピクサーの歴史

ピクサーはなんと、元々はアニメーションの製作会社ではありませんでした。既に少しだけ触れましたが、CGに特化したコンピューターとソフトウェアを作り、それを政府や企業に販売していたのです。

そもそもピクサーの前身は、ジョージ・ルーカスが設立した「ルーカスフィルム」という映画製作会社のコンピュータ部門。そのリーダーに抜擢されたエド・キャットムルは、幼い頃からディズニーが大好きで、その影響を強く受けていたそうです。さらにキャットムルは元ディズニーのアニメーターだったジョン・ラセターが退社したのをきっかけに、彼をルーカス・フィルムに引き入れます。もともとは縁のないように見えるディズニーとピクサーですが、スタッフ同士には繋がりがあったのですね。

全編CGアニメーションの制作を目指すキャットムルとラセターに最初の転機が訪れるのは1986年。スティーブ・ジョブズがその部門をルーカスフィルムから買い取り「ピクサー」と名付けて独立させました。ピクサーの由来は、彼らが商品としていた『ピクサー・イメージ・コンピュータ』という、解像度の高い画像を3Dに解析できるというコンピュータ。当時はたった40人ほどの従業員からスタートした企業だったようです。

\次のページで「ディズニーとピクサーの出会い後の歴史」を解説!/

ディズニーとピクサーの出会い後の歴史

ピクサーは自社の製品が優れた性能を持っていることをアピールするために、短編のCGアニメーション『ルクソーJr.』を制作。あの可愛い電気スタンドのキャラクターの誕生です。その出来の良さから徐々に評判となったピクサーには、ついにディズニーからもソフトウェア開発の依頼がきます。その内容はコンピューターに取り込んだ原画にデジタルペイントで着色ができるというもの。ディズニーもCG技術を本格的に取り入れる必要性を感じていたのですね。しかしピクサーの経営は思わしくなく、実は毎年赤字続きでした。1990年、スティーブ・ジョブズはハードウェア部門の売却を決断。ピクサーは「ピクサー・アニメーション・スタジオ」となり、アニメーション製作会社としての1歩を踏み出しました

1991年、ディズニーはピクサーのアニメーターであるジョン・ラセターの実力を買って、とある契約を持ちかけます。それはピクサーが長編アニメーションを作り、ディズニーが配給するという内容。その契約により製作されたのが1995年公開の『トイ・ストーリー』です。この映画が世界中で大成功を収めたことで、ディズニーとピクサーの縁は切っても切れないものとなりました。

1997年になると、ディズニーとピクサーは新たに5本の映画製作と配給という契約を結びます。その内容に沿うと2006年公開の『カーズ』を最後にディズニーとピクサーの契約は終了するはずでした。しかし同年、ディズニーがピクサーを買収したことによって、両社は一体化し現在の体制が生まれたのです。それに伴い、ジョブズはディズニーの筆頭株主、キャットムルはウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとピクサー・アニメーション・スタジオの社長を兼任、ラセターは両スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任することになりました。現在ジョブズは亡くなり、他の2名も退職されているようですが、ディズニーとピクサーを繋いだ功績は輝かしいものですね。

実写映画はどこで制作?

ウォルト・ディズニー・スタジオの子会社にウォルト・ディズニー・ピクチャーズという映画製作スタジオがあり、ディズニーの実写長編映画の製作をしています。代表的な映画は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ。自由奔放な海賊ジャック・スパロウの壮大な冒険物語で、同スタジオで最も成功した映画シリーズです。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオやピクサー・アニメーション・スタジオの作品も、このウォルト・ディズニー・ピクチャーズのブランドで発表されますよ。

ウォルト・ディズニー・ピクチャーズの映画製作はチャレンジ精神に満ちています。例えば2007年公開の『魔法にかけられて』はおとぎ話の国のプリンセスであるジゼルが現代のニューヨークにトリップしてしまうお話。どこでも歌って踊ろうとしたり、歌声で動物を呼んだらお世辞にも可愛いとは言えない生き物が集まってきたり……。ファンタジーの常識が現実では通用しないことをコメディチックに揶揄しています。『アリス・イン・ワンダーランド』や『マレフィセント』は既存の物語の続編や裏側という体裁を取りつつも、オリジナリティ溢れるストーリーが革新的。その反面『美女と野獣』や『アラジン』などは、アニメーションを見て育ったファンには堪らない、とても丁寧な実写化がされています。私たちを物語の世界に呼び寄せる、様々な手法とアイディアを考え出すのが得意な会社なのですね。

知れば知るほど奥深い!ディズニーとピクサーは魅力の宝島!

筆者はディズニー映画やキャラクターはもちろんのこと、それらに関する豆知識も大好きです。ディズニーがテーマのクイズ番組を見ながら答えが分かると得意になっており、自分のことを結構なディズニーオタクだと思っていました。しかし今では自分の知識などほんの一握りどころかひとつまみ程度だと痛感せざるを得ません。ディズニーにもピクサーにも製作スタッフがこだわり抜いた魅力や遊び心がまだまだ溢れかえっています。調べれば調べるだけ、新しい発見や楽しみをくれるこの2社。まるで宝島のような会社です。これは余談ですが、人気映画『トイ・ストーリー』の主人公のカウボーイ人形・ウッディ。彼のフルネームがウッディ・プライドだったなんてご存知でしたか?筆者はディズニーオタクの名に恥じぬよう、これからもっと研究を進めていこうと意気込んでいます。

" /> ディズニーとピクサーは別会社!?作品の特徴やメッセージ性の違いから会社の歴史までディズニー作品大好きライターが徹底わかりやすく解説! – Study-Z
趣味雑学

ディズニーとピクサーは別会社!?作品の特徴やメッセージ性の違いから会社の歴史までディズニー作品大好きライターが徹底わかりやすく解説!

ディズニーは誰もが知る世界トップのエンターテイメントの会社です。特にアニメーション映画はディズニーの名を世界に轟かせた中心となる事業ですが、その製作はディズニーの他にピクサーという会社が行なっている。それ自体は知っていても、2つの違いは曖昧な人も多いでしょう。この記事ではそれぞれの作品の特徴を含め、会社の違いや関係性についてディズニー映画が大好きなライターおとのと一緒にしてしていきます。

ライター/おとの

子供の頃からディズニー作品が大好き。特に『不思議の国のアリス』と『アラジン』はセリフを覚えるくらいに繰り返し見ていた。子供の頃に見たビデオと現代のDVDでは声優やセリフが異なっているので、ちょっぴり寂しい気もしている。

ディズニーとピクサーは会社が違う!

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ディズニーとピクサーの違いと言われたとき、まず思い付くのはどんなアイディアでしょうか。筆者は「手書きアニメーションがディズニー、フルCGのアニメーションがピクサー」だと思っていました。しかし、それは大間違い。2013年に主題歌が大ヒットした『アナと雪の女王』や世界観に日本が組み込まれている『ベイマックス』はフルCGですがピクサーではなくディズニーが製作したものです。調べてみると、ディズニーが製作したCGのアニメーションは意外なほどに沢山あります。ではアニメーションの種類の違いではないのなら、ディズニーとピクサーは何が違うのでしょうか。

結論から言うと、ディズニーとピクサーは大元の会社が一緒なだけであり、それぞれは完全な別の会社です。ディズニーは幅広い分野での事業を展開していますね。それらの事業を統括しているトップの会社がウォルト・ディズニー・カンパニー。その中でアニメーション映画の製作を行なっている会社がウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ。そしてピクサーはウォルト・ディズニー・カンパニーの完全子会社という関係です。

ディズニーとピクサーの会社の概要は?

ディズニーとピクサーは会社が違うと上記しましたが、それだけでは今ひとつピンときませんよね。具体的に何がどう違うのかを知るために、ディズニーとピクサーの会社について、もう少し詳しく学んでいきたいと思います。ここではそれぞれの会社の概要について解説していきますね。

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ:アニメーション主要制作部門

ディズニーと一口に言っても、そこには多くの会社と部門が存在しているため、まずはその形態から説明します。全てのトップであるウォルト・ディズニー・カンパニーはもともとアニメーションの作成から始まった会社。現在では世界の6都市にあるテーマパークの運営や、可愛いからお洒落まで網羅したグッズの販売など、様々な方面で私たちを楽しませてくれています。そんなウォルト・ディズニー・カンパニーを支える部門は大きく分けて以下の4つ。

ウォルト・ディズニー・スタジオ(映画・音楽)
パーク&リゾート(テーマパーク・クルーズライン)
メディア・ネットワーク(テレビ放送)
コンシューマ・プロダクツ&インタラクティブ・メディア(衣類やおもちゃなどのグッズ)

以上のうち、映画や音楽を担当しているのはウォルト・ディズニー・スタジオです。そしてその映画製作の中でもアニメーション制作を担う主要部門がウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ。ディズニーアニメーションの代表作や名作をいくつも生み出し、ディズニーを世界的な成功に導きました。1923年にウォルト・ディズニー・スタジオが創設されたのと同時に設立された、非常に歴史の長く由緒ある部門です。

ピクサー・アニメーション・スタジオ:ウォルト・ディズニー・カンパニーの子会社

ピクサーという名称を知らない人でも、映画が始まる前のオープニングロゴを思い出してみて下さい。ぴょこんぴょこんと跳ねてPIXARの“I”に成り代わる、あの愛嬌のある電気スタンドのキャラクターには心当たりがあるのではないでしょうか。彼(彼女?)はルクソーJr.と呼ばれ、ピクサーファンに愛されるマスコット的存在です。

ピクサーは略称で、本来の会社名はピクサー・アニメーション・スタジオ。もともとはディズニーと提携の契約をしてアニメーションを作っていた会社ですが、2006年に74億ドルでディズニーが買収して完全子会社となりました。つまりピクサーがディズニーの傘下に入ったカタチとなりますが、当時ピクサーの職員がディズニーの重役の席を得ていたことから、ディズニーとピクサーが一体化し、より密接な関係を築くことによって強力な体制ができたと言えますね。

作品の特徴を確認しよう!

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子供の頃からディズニーやピクサーの映画や短編アニメを見て育ったと言う人も多いでしょう。DVDのほか、専用のチャンネルや動画配信など、今ではより幅広い多くの作品が見られるようになっています。この項では、ディズニーとピクサーの長編アニメーション映画について、その特徴や魅力について確認していきましょう。

ディズニー:手書きからフルCGまで

世界初の長編アニメーション映画と言えば、かの有名なディズニーの『白雪姫』ですね。このヒットを皮切りに、ディズニーは『シンデレラ』や『ピーター・パン』や『不思議の国のアリス』などの手書きアニメーションを数多く生み出してきました。プリンセスの動きの研究のために、女優に演技をしてもらい、その動きを観察してアニメーションに取り入れたり、本物の動物をスタジオに連れてきてスケッチをしたりするなど、アニメの中のキャラクターを生き生きと動かすことに尽力し続けたようです。

いつから作品にCG技術が使われ始めたのかは定かではありませんが、1989年の『リトル・マーメイド』に始まるディズニーの第2次黄金期の前後なのは間違いありません。その後は『美女と野獣』の華麗なダンスシーンや『アラジン』のスリル満点の洞窟のシーンなど、随所でCGが使われるようになりました。2005年にはディズニー単独としては初のフルCGアニメーションである『チキン・リトル』を発表し、現在はCGアニメーションがメインとなっています。ディズニーの古典的な手描きアニメーションが大好きな筆者としては、ぜひ手描きも復活させて欲しいと願っているのですが、残念ながらしばらくその予定は無いようですね。

ピクサー:CGアニメーションに特化

後で詳しく解説しますが、ピクサーはもともとコンピューターの会社です。そのため、CG技術はお手の物。『モンスターズ・インク』のモンスターであるサリーやマイク、『ファインディング・ニモ』の隠れクマノミの子供のニモなど、表情豊かで愛らしいキャラクターをたくさん生み出しています

ピクサーの技術的な魅力の1つには、アニメーションならではの可愛らしさと、質感のリアルさや背景の美しさの融合があるのではないでしょうか。毛皮を纏ったキャラクターのふわふわで滑らかな毛。濃厚な香りが漂ってきそうな料理の数々。光が溢れる美しい海。全てが幻想的でありながらも、どこかに存在しそうな現実味を兼ね備えています。それもそのはずで、海を作るときにはスタッフがスキューバダイビングの免許を取り、料理のシーンを撮るときは高級レストランのシェフから調理を学んだのだとか。徹底的に本物志向なのはディズニーと一緒ですね。

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