

チタンは金属元素の1つだが、ほかの金属にはない特殊性を多く持ち合わせている。このような理由から、航空宇宙産業をはじめとする最先端技術において、チタンやその合金が活用されているぞ。この記事では、チタンの性質と用途について詳しく述べるつもりだ。ぜひ、この機会にチタンについての理解を深めてくれ。
化学に詳しいライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/通りすがりのペンギン船長
現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。資源材料学、環境化学工学、バイオマスエネルギーなども勉強中。
チタンについて学ぼう!
Alchemist-hp (pse-mendelejew.de) – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
皆さんはチタン(チタニウム)という名前の金属をご存知でしょうか?チタンは金属の中でも周囲の環境に影響を受けにくい強い金属であり、その強さは白金や金などの貴金属にも匹敵するほどだという意見も存在します。その特徴を活かして、チタンは多くの最先端技術の分野で用いられているのです。
今回の記事では、化学・物理学・工学などの様々な学問の視点で、特殊な金属であるチタンについて解明していきます。また、記事の後半ではチタンがどのような用途で用いられているかについても述べますね。それでは早速、チタンがどのような物質であるのかを説明していきます。

今回の記事のメインテーマはチタンという金属元素だ。
チタンとは?

image by Study-Z編集部
チタンは元素記号がTiで、原子番号が22の金属元素です。元素周期表の中では、チタンは上から5行目に位置しており、第4族元素や遷移元素に分類されます。単体のチタンは金属光沢をもっていますよ。また、チタンは空気中では表面に酸化被膜をつくり不動態になります。これにより、非常に高い耐食性や安定性をもたらすのです。
チタンは強度が比較的高いという特性をもちます。これは長所の1つです。しかしながら、強度が高いことで切削などの材料加工がしにくいというデメリットにもなります。その他にも、チタンには密度が低く軽量であるという性質がありますよ。
そして、環境負荷が低く、生体に与える影響が少ないこともチタンの長所です。さらに、電気伝導率や熱伝導率が低いということもチタンの特徴として挙げられます。

チタンの性質を説明できるようにしておけ。
チタンの化合物と合金
続いて、チタンの化合物と合金について学んでいきましょう。チタンの化合物は多数存在しますが、その中で最も有名なものは酸化チタンです。酸化チタンは工業的な価値が非常に高い素材で、様々な製品開発において用いられていますよ。
チタン合金は、チタンにアルミニウムやバナジウムなどの金属元素を添加したものです。このような物質の添加によって、チタンがもつ耐食性や高い強度などの特長を向上させることができます。
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