今回は「原子」と「分子」の違いを紹介していくぞ!

身の回りにあるものは、ほとんど分子でできている。人の身体も、たくさんの分子でできているんです。そして、分子を作っているのが原子なんだ!
分子と原子は名前は似ているけど、実は全然違うものなんです。じゃあ、分子と原子って何が違うんだ?

今回はそんな疑問にも答えていくために、化学に詳しいライターリックと一緒に解説していきます。

ライター/リック

高校生で化学にハマり、大学院までずっと化学を勉強してきた化学オタク。今は化学メーカーで働きながら化学の楽しさを発信する。

原子ってなに?

image by iStockphoto

まずは、「原子」とは何か?紹介していきます。「原子とは…通常の化学的な方法でそれ以上分割できない、物質の構成単位粒子」です。教科書的にはこう書かれていますが、ちょっとわかりにくいですよね。「すべての物質の元になるいっちばん小さな粒子」が原子のイメージです。

原子にはたくさんの種類があり、すべての原子が書かれているのが「周期表」。周期表を見れば、その原子がどんな構造で、どんな特徴があるのか、いろんなことが分かるんです。ただ適当に振り分けられてるわけじゃないんですよ(笑)

原子は一番小さな粒子

ここからは、原子がどんな作りをしているのか、紹介していきますね!原子は、「中性子、陽子、電子」の3つからできています。中性子と陽子はペアになって原子の中心「原子核」を作っているんです。原子核の周りを陽子と同じ数の電子がまわっています。

なので、中性子、陽子、電子の3つがセットになることで「原子」ができているんです!

原子の例を見てみよう

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ここからは、具体的に原子を見てみましょう。皆さんもよく知っている原子の一つ。「酸素原子」を詳しく見てみましょう。酸素は原子番号8番の原子です。原子番号は原子核の中にある陽子の個数のことで、基本的に原子番号と電子の数も一緒です!

実際に酸素原子を見てみて、気になったことないですか?「どうして一番内側の円に電子は2つなの?」って思いませんでしたか?原子核の周りをまわっている電子には、それぞれ「入ることのできる部屋」と「その部屋にはいれる電子の個数」が決まっています。

その部屋のことを「電子核」と呼びます!原子核に一番近い電子核をK殻と呼び、K殻に入ることができる電子は2個なんです!

最外殻電子が〇個なのが大切!

ここからは、周期表の一番右の列の原子を見てみましょう。第18族元素の原子たちですが、この原子の電子核へどのように電子が入っているかが、とっても重要なんです。電子核はK核、L核、M核…ってどんどん原子核から外側に広がっていきます。そして原子核から一番遠い電子核に入っている電子を最外殻電子と呼ぶんです。

最外殻電子の個数が8個なのは、原子にとって一番いい感じ(安定)って法則があるんです!この法則は「オクテット則」と呼ばれています。だから、どの原子も一番外側の電子核に入っている電子を8個にしたいんです。

ただし!水素とヘリウムは別です。この2つは最外殻電子が2個で安定なんです!

原子同士がくっつくと…分子になる!?

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ここからは、分子をご紹介していきます。まずは、分子とは…「原子同士が結合した物質の最小粒子」です。私たちの身の回りにあるのもは、基本的に分子でできています。たとえば、空気中のほとんどは、「窒素」と「酸素」ですよね。窒素や酸素は原子ではなく、分子として空気中に存在しているんです。

窒素原子同士がくっついて、窒素分子に。酸素原子同士がくっついて、酸素分子になっているんです!原子同士がくっつくと、分子が出来上がるんですよ!なら、どうやって原子同士はくっつくことができるんでしょうか?それを詳しくご紹介していきますね!

\次のページで「原子同士がくっつくには、電子を「共有」する」を解説!/

原子同士がくっつくには、電子を「共有」する

原子同士がくっつくには、電子を「共有」する

image by Study-Z編集部

ここからは、分子を詳しく見ていきましょう。まずは、酸素分子を見てみます。酸素原子は最外殻電子を6個持っていました。ここで大事になるのがオクテット則です。「原子は最外殻電子が8個になると安定していい感じ!」ていうあの法則です(笑)

酸素原子の最外殻電子は6個なので、あと2つ電子が来れば、8個になりますよね。そして、原子って基本的に安定になりたがっているんです。だから、酸素原子はあと2つの電子を探しています。そんな時、2個の電子を探している別の酸素原子と出会ったら…お互いの酸素原子は2個ずつ電子を出し合って、共有するんです。

図で見ると分かりやすいかな?と思います。2つの酸素が2個ずつ電子を出し合うと…2つの酸素の最外殻電子の数は「見かけ上」8個になるんですよ!だから、酸素原子同士がくっついて、酸素分子になった方が、お互いにとって「安定」なんです。

基本的に、原子同士が同じ数の電子を出し合って共有することで、分子を作ります。原子同士がくっつくときに共有した電子を2個セットで「共有電子対」、共有しなかった電子を2個セットで「非共有電子対」と呼びます!

化学の世界では、電子を「共有」して原子同士が「結合」するので、これを「共有結合」って呼び方をします。そして、実は共有結合でくっついていないモノは基本的に分子とは呼ばないんです!

これは、大学で勉強する化学の知識なんですが…ほんとは酸素分子の電子配置って、ご紹介したのは少し違っているんです。このことについてはまた別の記事でご紹介しますね

原子なのに分子…ってどうゆうこと?

勘が鋭い人はこんな疑問もわいていませんか?「もともと最外殻電子が8個の原子はどうなの?」最外殻電子が8個の原子もありましたよね?…周期表でいうと、第18族元素の原子たち。

実は、第18族の原子たちはすでに安定なので、電子を探していないんです。

つまり!原子のままで分子としても存在できるんです!なので、ヘリウムやネオン、アルゴンは単原子分子と呼ばれています。余談ですが、第18族の原子はすべて気体なので、「希ガス」とも呼ばれているんです。

先ほど紹介した「酸素分子」も、2つの酸素原子を別々で見ると…最外殻電子の数が8個になっていました。なので、18族元素のネオン原子と同じ電子配置になっているんです!

身近にあった!分子っぽいけど分子じゃないもの

ここからは、身近にある分子っぽいけど分子じゃない物質をご紹介していきます。一番よく紹介されるのは「食塩」!食塩は塩化ナトリウムといって、ナトリウムイオンと塩化物イオンが結合した物質です。化学式は「NaCl」と書きます。

「食塩」は電子を共有しているわけじゃない

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「原子同士が同じ数の電子を共有して結合することで、分子ができる」んですが…食塩は電子を共有しているわけじゃないんです!食塩を作っているナトリウムイオンはナトリウム原子が最外殻電子を放出したプラスの電荷をもったイオンで、塩化物イオンは塩素原子が電子を取り込んで、マイナスの電荷をもったイオンです。

プラスとマイナスって…引っ張り合いますよね。これとおんなじことがナトリウムイオンと塩化物イオンの間でも起きるんですよ!プラスとマイナスのイオンが引き合って、結合することを「イオン結合」といいます。

イオン結合は、原子同士が電子を共有しているわけじゃないので、分子ではないんです!

\次のページで「まとめ」を解説!/

まとめ

今回は原子と分子の違い、原子がどうやって分子になるのかご紹介しました。

原子が分子になるためには、「同じ数の電子を出し合って共有すること」がポイントでした!もちろん、これは基本的なルールで例外もあります。それはまた別の機会にご紹介していきます!やっぱり化学は奥が深くて楽しいですね。

" /> 化学の基礎中の基礎!原子と分子の違いを共有結合や電子との関係とともに化学オタクがわかりやすく紹介 – Study-Z
化学理科

化学の基礎中の基礎!原子と分子の違いを共有結合や電子との関係とともに化学オタクがわかりやすく紹介

今回は「原子」と「分子」の違いを紹介していくぞ!

身の回りにあるものは、ほとんど分子でできている。人の身体も、たくさんの分子でできているんです。そして、分子を作っているのが原子なんだ!
分子と原子は名前は似ているけど、実は全然違うものなんです。じゃあ、分子と原子って何が違うんだ?

今回はそんな疑問にも答えていくために、化学に詳しいライターリックと一緒に解説していきます。

ライター/リック

高校生で化学にハマり、大学院までずっと化学を勉強してきた化学オタク。今は化学メーカーで働きながら化学の楽しさを発信する。

原子ってなに?

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まずは、「原子」とは何か?紹介していきます。「原子とは…通常の化学的な方法でそれ以上分割できない、物質の構成単位粒子」です。教科書的にはこう書かれていますが、ちょっとわかりにくいですよね。「すべての物質の元になるいっちばん小さな粒子」が原子のイメージです。

原子にはたくさんの種類があり、すべての原子が書かれているのが「周期表」。周期表を見れば、その原子がどんな構造で、どんな特徴があるのか、いろんなことが分かるんです。ただ適当に振り分けられてるわけじゃないんですよ(笑)

原子は一番小さな粒子

ここからは、原子がどんな作りをしているのか、紹介していきますね!原子は、「中性子、陽子、電子」の3つからできています。中性子と陽子はペアになって原子の中心「原子核」を作っているんです。原子核の周りを陽子と同じ数の電子がまわっています。

なので、中性子、陽子、電子の3つがセットになることで「原子」ができているんです!

原子の例を見てみよう

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ここからは、具体的に原子を見てみましょう。皆さんもよく知っている原子の一つ。「酸素原子」を詳しく見てみましょう。酸素は原子番号8番の原子です。原子番号は原子核の中にある陽子の個数のことで、基本的に原子番号と電子の数も一緒です!

実際に酸素原子を見てみて、気になったことないですか?「どうして一番内側の円に電子は2つなの?」って思いませんでしたか?原子核の周りをまわっている電子には、それぞれ「入ることのできる部屋」と「その部屋にはいれる電子の個数」が決まっています。

その部屋のことを「電子核」と呼びます!原子核に一番近い電子核をK殻と呼び、K殻に入ることができる電子は2個なんです!

最外殻電子が〇個なのが大切!

ここからは、周期表の一番右の列の原子を見てみましょう。第18族元素の原子たちですが、この原子の電子核へどのように電子が入っているかが、とっても重要なんです。電子核はK核、L核、M核…ってどんどん原子核から外側に広がっていきます。そして原子核から一番遠い電子核に入っている電子を最外殻電子と呼ぶんです。

最外殻電子の個数が8個なのは、原子にとって一番いい感じ(安定)って法則があるんです!この法則は「オクテット則」と呼ばれています。だから、どの原子も一番外側の電子核に入っている電子を8個にしたいんです。

ただし!水素とヘリウムは別です。この2つは最外殻電子が2個で安定なんです!

原子同士がくっつくと…分子になる!?

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ここからは、分子をご紹介していきます。まずは、分子とは…「原子同士が結合した物質の最小粒子」です。私たちの身の回りにあるのもは、基本的に分子でできています。たとえば、空気中のほとんどは、「窒素」と「酸素」ですよね。窒素や酸素は原子ではなく、分子として空気中に存在しているんです。

窒素原子同士がくっついて、窒素分子に。酸素原子同士がくっついて、酸素分子になっているんです!原子同士がくっつくと、分子が出来上がるんですよ!なら、どうやって原子同士はくっつくことができるんでしょうか?それを詳しくご紹介していきますね!

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